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千曲川流域下水道上流処理区終末処理場の保管庫に保管されている放射性物質を含む焼却灰=20日 |
県は20日、東京電力福島第1原発事故後に放射性物質が検出され保管を余儀なくされている千曲川流域下水道の上流・下流処理区終末処理場(ともに長野市)の下水道汚泥焼却灰約300トンについて、県外業者による道路用建設資材への再利用のめどが立ったと発表した。10月以降、毎月20トン程度を搬出し、予定では来年中に全量がなくなる見通し。業者名は「風評被害を受ける可能性がある」などとして公表していない。
原発事故後、放射性物質を検出した汚泥焼却灰を専用の保管庫に袋詰めして保管していたが、昨年8月ごろから汚泥焼却灰の放射能濃度が下がってきたため、以降はセメント原料として搬出を再開している。再開当時までにたまった焼却灰量は2処理場で312トンで、放射性セシウム濃度は1キロ当たり150〜3千ベクレル。
県は7月、312トン中のうち約20トンについて、県外の業者に再利用が可能か試験を委託。焼却灰は処理方法から灰が細かく飛散しやすい処理上の難点があったが、他の湿った焼却灰と混合することで道路用建設資材として再利用は可能―との結果を得た。国が定めたセメント製品の放射能濃度の基準である1キロ当たり100ベクレル以下の基準も下回った。