(2012年9月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
インドの首都デリーから郊外に向かって伸びるハイウエー沿いには、「エキゾティカ・ドリームビラ」などと名付けられた新興住宅地の広告がいくつも掲げられている。
手入れされた芝生の上に立った若い夫婦が微笑んでいる絵が描かれ、「ライフスタイルここにあり」といったキャッチコピーが添えてあるのが典型的なパターンだ。
トイレも整備されておらず、子供が栄養失調に苦しむインドの現実
しかし、このハイウエーを走り続けて隣のウッタルプラデーシュ州の奥深くに入り込むと、エキゾチックでもなく夢も感じられないライフスタイルが目に飛び込んでくる。ブダウンという都市の郊外では子供たちの多くが栄養失調の徴候を見せており、不潔な街中をヤギや水牛、雌牛やラクダが歩き回っている。
インドは世界最大の貧困層を抱える国〔AFPBB News〕
この地区では現在、国連児童基金(ユニセフ)がすべての家屋に近代的なトイレを設置するキャンペーンを展開している。
また、乾式のトイレに溜まった排泄物を手で掻き出す仕事で生計を立てている「マニュアルスカベンジャー」と呼ばれる人たちのために新しい仕事を探す取り組みも行っている。
ブダウン自体も汚物処理プロジェクトに取り組んでおり、ゆっくりとではあるが着実に成果を上げている。しかし、この都市があるウッタルプラデーシュ州――その人口は2億人を超えており、ブラジルのそれを上回る――にとって、これはまだ気が遠くなるほど大きな課題だ。
ユニセフの推計によれば、同州でちゃんとしたトイレを利用できる住民の割合は21%にすぎない。インド全体で見ても、12億の国民のうち約6億人は現在でも野原や都市部の空き地で「屋外排泄」を行っている。
インドの汚物処理問題は公衆衛生上の大惨事であり、ぞっとするようなほかの統計データの背景にもなっている。
1人当たり国民所得は中国の3分の1未満
ユニセフによれば、インドでは昨年だけで170万人もの5歳未満児が命を落とした。これは世界全体の4分の1に迫る数だ。また、インドの子供の42%は低体重児に正式に分類されている。インドは中国とともに台頭する超大国として論じられることが多いが、実はかなり貧しい国であり、1人当たり国民所得は中国の3分の1にも満たない。
こうした統計は、インドは新興の大国だという考え方を嘲笑するために使われることがある。当然ながら、実態はもっと複雑だ。
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