だが、通信モジュールの契約を除いた純増数を示した図(2)を見れば、NTTドコモに4度抜かれていることがわかる。ソフトバンクは携帯端末で負けそうになれば、通信モジュール契約を伸ばすよう別の端末を配っていたわけだ。
こうした「純増経営」に他社は冷ややかであった。毎月、純増数だけ発表しても、契約単価がわからなければ経営の実態は見えない。それでも、「純増トップ」と報じられるたびに通信事業者の株価が変動するため、他社が純増数の発表をやめたいと言っても好影響の出るソフトバンクは聞く耳を持たなかった。
それを自ら否定するように動いたのだから他社が驚くのも無理はない。そこには純増トップを維持できない背景がありそうだ。
今後、2年縛りが解けてデジタルフォトフレームなどの解約の増加が見込まれるが、それを上回るばらまきには限界がある。新規契約を増やすにも、頼みのiPhoneはKDDIにもある。
ソフトバンク側は「公表の意義が薄れているため他社と意見交換をしているだけ」と言うが、公表を取りやめたいのが本音なのだ。他社も同様で、時間の問題だ。
これだけではない。ソフトバンク最大の特徴であった「価格破壊」も鳴りを潜めているのだ。