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【政治】

市町村機能マヒなら 震災がれき処理 都道府県が責任

 政府は、東日本大震災で大量に発生したがれきの処理が遅れたことを教訓に、阪神大震災後の一九九八年に初めて策定した国の「震災がれき処理」の指針を見直す方針を固めた。大規模な津波で市町村の行政機能がまひした場合に備え、市町村から要請があれば、都道府県が当事者としてがれき処理をするよう責任を明記する。

 震災がれきの処理は、家庭ごみなどの一般廃棄物と同じく、処理は市町村や複数の自治体でつくる事務組合の仕事になっている。しかし、将来に起きる可能性が指摘される首都直下地震や南海トラフ巨大地震では、大規模な津波被害が想定されているため、政府は新指針に基づき、都道府県それぞれが持っている現行の防災計画の見直しを促す。

 現在の国の指針は、災害発生時の都道府県の役割を、市町村のがれき処理に対する指導や広域処理の調整など後方支援に限定。阪神大震災では起きなかった津波の被害も想定していない。政府は二〇一二年度中に抜本的に改めた暫定案をまとめ、一三年度中に最終案をまとめる方針だ。

 東日本大震災では、沿岸部の市町村が津波被害に遭い、多数の職員が犠牲になったことで、行政機能が混乱。がれき処理の初動対応が思うように進まず、復興の遅れにつながったとの指摘が出ている。がれきの量が宮城県で一般廃棄物の十九年分など膨大なこともあって、処理の進捗(しんちょく)状況は八月末現在、岩手、宮城、福島三県の沿岸部で25%にとどまっている。

 処理費用は、国が最低でも九割を負担する制度があり、東日本大震災でも国がほぼ全額を負担している。 (中根政人)

 

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