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「刷り込み」にホルモン影響
9月26日 10時54分

生まれたばかりの鳥が親を記憶して後を追うなどのいわゆる「刷り込み学習」には、甲状腺ホルモンが大きな影響を与えていることが帝京大学などの研究でわかりました。

「刷り込み学習」は、生後、間もない動物特有の学習行動で、行える時期が限られています。
たとえば、ヒヨコが親を覚えて後を追う行動を学ぶのは、生後3日までで、4日目以降になると親を記憶できません。
ところが、帝京大学などで作る研究チームが、ヒヨコに甲状腺ホルモンを注射して観察したところ、生後4日から6日でも親を記憶することができ、本来の時期を過ぎても「刷り込み学習」が可能になることがわかりました。
また、色を識別する学習でも甲状腺ホルモンを注射したヒヨコは、しなかったヒヨコに比べて能力が大幅に向上したということです。
幼少期に習得することが欠かせない学習は、人間の場合でも絶対音感や社会性などがあり、研究チームは、人間の学習メカニズムを解明するうえでも手がかりになると期待しています。
研究にあたった帝京大学の本間光一教授は、「本来、学習できる時期を過ぎても人為的に習得できるようになる可能性を示したもので、今後も学習とホルモンの関係を調べていきたい」と話しています。
この研究成果は、26日、イギリスの科学誌、「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されます。

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