トップページ科学・医療ニュース一覧RSウイルス感染症 去年の2.7倍
ニュース詳細

RSウイルス感染症 去年の2.7倍
9月25日 17時39分

RSウイルス感染症 去年の2.7倍
K10052741511_1209251932_1209251942.mp4

乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が全国で急増し、この時期としては、統計を取り始めて以降、最も多かった去年の2.7倍に上る異例の流行となっていることから、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼びかけています。

RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、かぜに似た症状の出る病気で、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、初めての感染では肺炎や脳炎を引き起こして重症化することがあります。
国立感染症研究所によりますと、今月16日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は3789人で前の週を1000人余り上回りました。
この時期としては統計を取り始めた平成15年以降、最も多かった去年の2.7倍に上る異例の流行となっています。
都道府県別に見ると、福岡県が643人、東京都が358人、宮崎県が353人、大阪府が225人など、都市部のほか九州で多くなっています。
RSウイルス感染症の流行は例年12月ごろにピークを迎えることから、患者数は今後もさらに増えると見られています。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「流行は、これから患者数が少ない地域に拡大していくと考えられる。0歳児の場合、呼吸状態が悪化して入院が必要になることも珍しくないので、熱が下がってもせきが続いているようであれば早めに医療機関を受診してほしい」と注意を呼びかけています。

東京都内の小児科では

東京・大田区の小児科の診療所では、今月に入って、かぜのような症状を訴える患者が増え始め、1歳児と0歳児を中心にこれまでに20人がRSウイルス感染症と診断されています。
1週間前にRSウイルス感染症と診断され、その後もせきが止まらないという生後7か月の女の子が24日、父親に連れられて受診しました。
医師は女の子に聴診器を当てて肺炎を起こしていないことを確かめたあと、父親に「RSウイルスの排出は2週間程度続くので、夜中にせきをして起きるうちは保育園に行かないように」とアドバイスしました。
そして、症状を和らげるため鼻水を機械で吸い取ったり、気管支を広げる薬を吸わせたりしていました。
女の子の父親は「ずっとぜいぜいしたせきをして、特に夜はせきをし始めると5分くらい治まらないのでつらそうで心配でした」と話していました。
診療所の内山浩志院長は「近くの保育園では1歳児クラスで瞬く間に感染が広がった。集団生活をしている乳幼児は特に注意が必要だ。RSウイルス感染症は昼間は調子がよくても夜になると呼吸困難がひどくなるので、せきが続いて眠れない、水分が取れないという状態の時は、速やかに医療機関で受診してほしい」と話しています。

東京都内の保育所では

東京都は、1週間の患者数が、統計を取り始めて以降、最悪の358人となり、RSウイルスを意識した感染症対策を進める保育所も出てきています。
このうち、およそ120人が通う東京・江戸川区の保育所では、給食の前に、保育士が0歳児の手や指を、消毒したおしぼりで丁寧に拭き取っていました。
また、子どもたちが口をつけて遊ぶことの多い積み木などのおもちゃを一つ一つ手に取って、塩素系の消毒剤をつけた布巾で拭き、さらに、布製の絵本などと合わせて専用の機械で消毒する作業に追われていました。
通園している子どもがことし4月以降、RSウイルス感染症と診断されたケースはないことから、保育所ではこうした対策が効果をあげているとしています。
保育所の石川美智子副園長は「RSウイルスなどの感染症は広がるとあっという間なので、消毒などの対策をこまめに続け、感染を防いでいきたい」と話していました。

[関連ニュース]
このページの先頭へ