中国、製造業の楽観論が後退 民間調査 人員削減企業も増加 (1/3ページ)

2012.9.25 05:00

江蘇省蘇州市の自転車工場で、溶接作業を行う従業員。製造業者の景気見通しが急速に悪化している(ブルームバーグ)

江蘇省蘇州市の自転車工場で、溶接作業を行う従業員。製造業者の景気見通しが急速に悪化している(ブルームバーグ)【拡大】

 中国の製造業者と小売業者の売り上げに対する楽観的な見方が3カ月前に比べて後退しており、人員削減に踏み切る企業が増えていることが、米連邦準備制度理事会(FRB)のベージュブック(地区連銀経済報告)をモデルにした民間調査で分かった。

 ◆“ベージュブック”

 中国版ベージュブックは、中国の企業幹部とバンカー2000人余りを対象に8月9日から9月3日までの間に行った聞き取り調査を基にまとめられた。調査を手掛けた米CBBインターナショナル(ニューヨーク)によると、6月と7月に利下げが実施されたが、金融緩和の効果は限定的で、銀行は与信を緩めているものの、融資を求める企業数が少なくなっていることが今回の調査で判明した。

 今回の調査は中国の製造業活動や貿易、小売売上高の伸びが7~9月期に減速していることを示す経済指標に基づくもので、経済成長率が7四半期連続で鈍化し、年間で22年ぶりの低成長に陥る可能性を示唆している。4~6月期を対象とした前回調査では、公式統計に表れない中国経済の復調が示唆され、「夏の中盤から後半」までに政府統計に景気回復が反映されるとの見通しが示されていた。

 報告書をまとめたディレクターのクレイグ・チャーニー氏は「欧州危機の劇的かつ予想外の悪化と米景気の減速によって、中国の輸出受注の伸びはほぼ止まっている」と指摘した。

 同氏は7~9月期の調査について、「全般的な成長鈍化にもかかわらず」、相対的に高い伸びの小売業やサービス業、不動産市場の回復、工業が発展した沿海部よりも貧しい周辺地域の高い成長を含め、一部のトレンドは継続したことが示されたとも説明した。