陸山会事件:小沢一郎被告の控訴審26日に 即日結審か

2012年09月24日

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1審判決が認定した陸山会事件の資金の流れ

 資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた「国民の生活が第一」代表、小沢一郎被告(70)=1審無罪=の控訴審が26日、東京高裁(小川正持裁判長)で始まる。記載の違法性を小沢代表が認識していたかどうかが焦点。被告人質問は行われないため、検察官役の指定弁護士による新しい証拠の請求が認められなければ、即日結審となる可能性がある。【鈴木一生】

 4月の1審・東京地裁判決は陸山会の04、05年分政治資金収支報告書の記載を虚偽と認定。代表が衆院議員、石川知裕被告(39)=1審有罪、控訴中=らから記載について報告を受け了承したとも認めた。

 一方で、石川議員が04年10月の土地代金支払い後、事実と異なる報告をして代表から銀行融資の関係書類に署名をしてもらったと指摘。その結果、代表が「代金の支払いが05年に先送りされた」などと考え、虚偽記載が生じているという違法性を認識していなかった可能性に言及し、無罪と結論づけた。

 これに対し、指定弁護士の控訴趣意書は(1)過去何度も銀行融資で不動産を取得し、署名から近日中に融資され土地代金が支払われることを代表は理解しており、先送りされたと考える可能性はない(2)代表の政治生命に直結する重大な問題で石川議員が事実と異なる報告をするはずがない−−などと1審判決の事実誤認を強調した。

 弁護側は裁判の早期終結を図る構えで、1審判決が認定した「報告・了承」についても答弁書で「証拠から合理的に推認できる範囲を超え、疑問だ」と指摘するにとどめた。指定弁護士の新たな主張については「証拠に基づかない想像に過ぎない」としている。

 26日の公判で指定弁護士は、罪に問われた元秘書3人とは別の元秘書2人の供述調書▽東京地検特捜部の捜査で作成された代表の供述調書▽事務所の会計帳簿−−など約10点の証拠を請求する予定だが、弁護側は採用しないよう求めるとみられる。

 ★陸山会事件 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」が04年10月、代表提供の4億円を元に土地を購入しながら、同年分の政治資金収支報告書に記載せず、購入の事実だけを翌05年分にずらして記載したとされる事件。東京地検特捜部が10年、石川知裕衆院議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕、起訴(1審有罪、控訴中)。小沢代表は不起訴となったが、東京第5検察審査会の議決に基づき、検察官役の指定弁護士が11年、強制起訴。東京地裁は今年4月、無罪とし、指定弁護士は控訴した。

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