北海道経済連合会など北海道の主要経済4団体は25日、今冬の電力安定供給に向け、高橋はるみ北海道知事に泊原子力発電所(北海道泊村)の再稼働を求める要望書を提出した。国に対しても来週、同様の要望書を提出する。寒冷な北海道で冬場の電力不足が深刻な事態を招くことを国が理解していないと危機感を募らせている。
25日、北海道庁で知事に要望書を渡した道経連の近藤龍夫会長(北海道電力相談役)は「北海道は厳寒・積雪などの気象条件や、1日を通じて電力使用量が高く推移する特徴がある」と指摘。「企業は夏場にかなりの節電をやった。冬場の節電でさらに上回るのは難しさがある」と強調した。
冬期に計画停電などが実施された場合、生産・物流の停滞、観光への悪影響、暖房、融雪設備の停止や交通への影響など「重大事故が懸念される」(近藤会長)。
今回の要望の背景として近藤会長は「道内企業から再稼働への強い要望があった。北海道の特殊な事情も説明していきたい」と発言。北海道経済同友会の坂本真一代表幹事(JR北海道相談役)も「鉄道会社では冬は夏の2倍の電力量が必要。列車が止まれば市民生活にも大きな影響を与える」と語った。
この日要望書を受け取った高橋知事は「北海道電と政府に、精度の高い今冬の需給見通しを出すよう求めている」と応じたが、泊原発の再稼働の是非には言及しなかった。泊原発を巡っては、原子力規制委員会が再稼働を判断する新しい安全基準案づくりが年度末までかかる見通しを示し、今冬の再稼働が困難視されている。
北海道電は冬場に備え、ディーゼル発電機の設置や自家発電の余剰電力の購入量を増やすなどの対策を進めている。それでも来年1、2月は電力の安定供給に必要とされる3%の供給予備率に届かない見通しだ。
高橋はるみ、近藤龍夫、泊原発、北海道、北海道経済連合会
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