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東アジア和平と絡む韓日関係(05.3.16)
前回の教科書一斉採択時にも、韓日市民の連帯が育まれた(01年・東京)
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歴史歪曲はNO! 広がる共感
俵義文「教科書全国ネット」事務局長の報告

 子どもと教科書全国ネット21事務局長の俵義文氏に、今年夏に行われる中学生用教科書採択に向け、「新しい歴史教科書をつくる会」の動向と、歴史歪曲教科書の採択を許さない運動の現況について、報告していただいた。

各地で勉強会が続々 「つくる会」支援を阻もう

「つくる会」の会員は3割減

 4年前に私たちは、「つくる会」の教科書を公立中学校の採択地区では1地区も採択させなかった。基本的にはゼロに抑えたと言える。そこで、早くからリベンジを宣言してきた彼らは昨年、改訂版の教科書を検定申請し、採択率10%、約13万冊販売を目標に活動している。

 「つくる会」自身の力は4年前に比べれば、後退したと私たちは見ている。それは端的に会員数に表れており、この4年間で会員は3割以上減った。前回の採択の際には1万1千人近くいたが、今は7千8百人。「つくる会」は、自分たちの力では採択させられないということで、前回以上に政治家、他の右翼組織への依存を強めてきた。

 日本で最大の右翼組織に「日本会議」がある。「つくる会」の10倍くらいの会員がいて、財界人も多い。「つくる会は」この日本会議と連携を強めている。また、日本会議につながる超党派の議員連盟には、自民党と民主党の330人ほどが入っている。

 自民党は前回、「つくる会」教科書が全く採択されなかったのは、自らの認識が甘かったからだととらえている。バックアップしなくても、もっと採用されるだろうという認識を持っていた。今回はその点を反省し、全面的に後押しすることを党に徹底している。

 まず昨年6月、当時自民党の幹事長だった安部晋三さんが通達を出した。歴史教育を国家の将来の根幹に関わる重要課題と位置づけ、歴史教育は憲法改正、教育基本法改正の問題と表裏一体であり、こういう重要課題には国と地方が一体的に取り組むことが必要だと強調した。これを受けて、今年1月18日に行われた党大会では、今年度の運動方針の重要課題として教科書問題をあげ、党として本格的に採択運動をやることになった。

 自民党の動きは4年前に比べてはるかに組織的で、強力になっていると言える。自民党の「つくる会」と連携している議員連盟(日本会議の国会議員懇談会という議員連盟のいわば双子組織)に、日本の前途と歴史教育を考える会というのがある。この組織が2月、文科省に提案という名目で教科書の採択手続きについての改定要求を出した。要求内容はすべて、「つくる会」が総会議案書で決めたのとまったく同じだ。そのほとんどについて文科省が承諾したと、産経新聞が3日の紙面で大きく報道した。

 自民党だけでなく、現政権も「つくる会」を全面的にバックアップする内閣改造を昨年の9月に行った。文科相になった中山成彬氏は、先ほど紹介した議員の会でずっと副代表をしてきた。昨年の1月から、大臣になった現在でも座長を務めている。そして大臣政務官の下村博文氏が事務局長になっている。つまり文科省のトップに「つくる会」と最も密接に連携している議員連盟の座長を置き、その下の政務官に事務局長を置いている。

 もう一つ重要なのは、外相に町村信孝という人を起用したこと。町村氏は教科書問題では数々の「実績」がある。彼が文部大臣をやっていた98年当時は、中学校の歴史教科書でいえば最もよくなった時だと私は思っているが、それが非常に偏向していると文句をつけ、検定に出てくれば近隣諸国条項などがあって、事実を変えさせることができないので出版社に事前に自主規制をさせる、という旨を国会で述べた。

従軍慰安婦の削除迫る圧力

 この国会答弁を受けて、99年の1月に文部省の幹部が出版社を訪れ申し入れをした。従軍慰安婦などの記述についてはもっと慎重にし、著者の構成を見直してほしいという内容だった。その結果、いくつかの出版社が慰安婦の記述から「従軍」や「強制」という言葉を削除した。そのあと町村さんは、森内閣の教育担当の首相補佐官に就いていた99年12月に官僚に指示し、中学校の社会科教科書7社の社長に直接電話を入れ、慰安婦については慎重に扱ってほしいという申し入れをさせている。

 7社全社が「慰安婦」について97年版と同じ記述にする予定だったのを、その首相官邸からの電話によって、1社だけを残して他の2社は「慰安婦」を「慰安施設」という表現に変え、あとの4社はすべて削除した。検定に出す直前に歴史の改ざんを行ったわけだ。そのあと町村さんは文科相になって前回の検定をやった。そして「つくる会」の教科書を合格させ、中国や韓国からの修正要求を拒否した。

 「つくる会」は前回、自分たちの教科書が採用されなかった理由を三つあげた。まずは、中国や韓国からの干渉と批判。その干渉は日本の市民組織がいわば手引きをしてやらせたのだと総会議案書で書いている。そしてマスコミの批判や日本国内の市民運動だ。

 外務省はこの間、一番目の韓国、中国からの批判をシャットアウトしようと動いてきた。検定結果が発表されれば、その韓国や中国からの批判が起こるだろうと予想して、外務大臣、外務省がシャットアウトできる体制をつくるということで町村さんを外務大臣に据えた、という風に私は分析している。その町村さんを補佐する副大臣、政務官には、歴史歪曲に与してきた議員連盟に所属している人を配置している。

 こういう形で、自民党だけでなく政府そのものが「つくる会」のバックアップ体制をつくりあげてきたということができる。そういう意味で、情勢は大変容易ではないという認識だ。しかし私どもは、この教科書をもう一度ゼロにする可能性は十分にあると考えている。

 この教科書はやはり、日本の多くの人たちに受け入れられる内容ではない。簡単に言えば、日本が過去に行ってきた戦争をすべて正しい戦争だったというように書き、子どもたちに日本の過去の戦争は正しい戦争であると教え、戦争はやってもいいことだと教える。

 そういう教科書の内容を日本の多くの国民がきちんと知れば、自分の子どもや孫や、あるいは兄弟姉妹や地域の子どもに、そんな教科書で教えてほしいと思う人はそう多くはいない。私たちは昨年の10月に今年の具体的な取り組みの提案を発表し、これに基づいていま全国各地で運動をつくっている。

立ち上がりも前回より早い

 私どもの会員はもう少しで5300人。そのうちの250は団体会員だ。団体会員の構成員を合わせると20万人ほどになる。その力を総結集して地域ごとにいろんな市民組織や、あるいは教員組合や労働組合の人たち、それから組織に所属していない普通の市民の人たち、こういった人たちと手をつないで立ち上がれば、私は580くらいになる採択地区すべてで「つくる会」はNOだという世論を高めることは可能だと思っている。

 実際、右派・自民党・政府の動きに対応し、地域の市民たちが前のときよりもはるかに早く立ち上がっている。私はこの1月以降、月のうち半分は講演で全国を回るというような状況になっている。それだけ各地で集会や講演会をやる動きが出てきている現われだろうと思う。私たちは確かに日本の中では少数派だ。しかし、「つくる会」、あるいはそれを支持する人たちも少数派だ。

 つくる会はこの7年間で、入会した1万7千人のうち1万人がやめた事実を昨年の総会資料で認めている。つまり、歴史歪曲を支持する人というのは本当に少数に過ぎない。日本の場合には圧倒的多数はその中間にいる人たちだ。

市民の目で歴史読本 韓・中・日で共同編集 5月中旬に3国で出版

 前回は中間にいるかなりの人たちが「つくる会」の教科書はNOだと立ち上がった。それがゼロ採択をもたらしたと私は考えている。そういう意味では今年も、中間にいる人たちを私たちがどうやって組織するのかにポイントがあると考えている。これは、必ずやれる。

 今回、「つくる会」の教科書採択をゼロにするような運動を私たちが展開できれば、いま日本で進められている教育基本法改悪、憲法改悪の大きな流れを食い止めて、日本がアジアの火種になる方向ではなくて、東アジアの平和な共同体をつくっていくために働く、そういう方向に転換させていくことができる。そういう意味で、私たちはむしろ、日本社会のあり方、政治のあり方を変えていく大きなチャンスだという呼びかけをしてきた。そういう考え方が少しずつ市民の間に広がってきている。

 一方で、大変心強く思っているのは、民団で教科書問題を今年の運動方針の非常に重要な部分として位置づけていただき、すでに各地で活動をしていただいていることだ。在日韓国青年会は私どもの「子どもと教科書全国ネット21」に団体会員として参加していただいて、かなり緊密に連携をとりながら活動ができる状態になっている。在日の人たちと活動ができるというのは、私どもにとって大きな力だ。

 私たちは、「つくる会」の教科書を批判していくだけでなく、日本の子どもたち、市民たちに、東アジアの平和な共同体をつくるうえで、歴史認識の共有を目指す必要があり、どのような歴史認識を提示すべきかを前回の運動が終わったときに考えた。

 そして韓国、中国の研究者、市民運動の人たちとこの3年間、その作業を進めてきた。韓国でもキャンペーンが始まっていると思うが、日本・韓国・中国3国共同編集ということで、未来を開く歴史「東アジア3国の近現代史」という本を、5月18日に同じ内容のものを3国のそれぞれの言語で出版する。

 それぞれの国の歴史教科書はどうしても自分の国中心の記述になりやすい。そうではなく、東アジアという視点から、日本の歴史、韓国の歴史、中国の歴史、そしてその三つの国が結びついて近代の歴史がどう動いてきたのかを描き出している。こういう歴史を日本の子どもや市民の人たちに提示することによって、「つくる会」教科書に対する内容的な批判は、もっと豊かなものになるだろうと考えている。

■□
<寄稿>尹徳敏(韓国・外交安保研究院教授)
両国は緊密連携を・地域の安定均衡へ急務…北韓の核問題解決

 国交正常化40周年であり、「友情年」である今年は、韓日関係にとって大きな意味を持つ年だ。また、東アジアの平和と繁栄においても非常に重要な年である。中国の浮上、北韓の核兵器開発、日本の国連常任理事国への進出努力と影響力の拡大促進など、最近の東アジア情勢は急速に変化している。こうした状況を考慮すると、韓国と日本、さらに東アジアは転換の岐路に立っている。

 地域秩序の転換期において、平和と繁栄を確保するための国家間の緊密な協力は特に重要だ。東アジアでは韓半島に見るように、冷戦の後遺症がまだ完全になくなっておらず、「ヨーロッパ安保協力機構」(OSCE)のような政治安保協力体制も形成されていない状況だけになおさらだ。

 幸い、韓国と日本は自由民主主義と市場経済という価値を共有しており、こうした価値は21世紀のグローバル化時代の国際秩序において、最も重要な二つの軸でもある。こうした価値の共有は両国に非常に貴重な資産となるだろう。

 共同繁栄の新しい時代を切り開くために、韓日両国は東アジア地域の国々と互いに協力しなければならず、両国の未来志向的関係構築は、両国だけでなく、東アジア地域の平和と繁栄においても必要なことである。

 第一に、韓日両国は地域秩序の変化よりは、安定を国家利益と認識している。両国とも地域の安定的均衡の下で現在の平和と繁栄を築いてきた。

 第二に、地域の安定的均衡の維持において、両国ともに米国の主導的役割を重視し、対米同盟を築いており、領内に米軍基地を受け入れ、地域の安定のため米国の役割を支援している。

 第三に、両国はともに自国の繁栄を国際関係に大きく依存しており、特に、「世界市場への自由な接近」が保障されることに死活的利害がある。 産業活動のために欠かせないエネルギーなどの戦略物資をほとんどすべて海外に依存し、付加価値を高めた商品を海外に輸出することにより現在の繁栄を築いている。従って、世界市場への自由な接近を保障する問題は、両国において非常に重要である。

 一方、北韓の核問題は、こうした問題よりも現実的に最も重要な変数である。韓日両国が緊密に協力することにより、いかに北韓の核問題を平和的に解決していくかに、東アジアの未来がかかっているといっても過言ではない。しかし、これまでの北韓の交渉姿勢を考えると、速やかな核放棄という戦略的決断は容易ではなさそうだ。

 北韓は10年前の核危機の時も、最後の瞬間まで政治的決断を先延ばしにしながら、反対給付を極大化しようとし、その結果、韓半島にかなりの緊張をもたらした。こうした状況で、6カ国協議の参加国の確固たる北韓核受け入れ否定の立場を考えると、北韓の核問題解決が遅延すればするほど、東アジア地域の負担が加重され、平和と繁栄にもプラスにならないのは確かである。

 北韓の核問題を解決するには、東アジア地域の協力とともに、韓日の協力が絶対的に必要だ。

 第一に、韓国と日本は北韓の核問題の平和的解決に共通の利害を有している。韓半島で軍事的緊張がもたらされる場合、両国は少なからぬ被害を受けるようになる。

 第二に、両国はともに米国の同盟国としての協力を通じて、北韓の核問題を解決していく核心軸をなしている。

 第三に、韓国と日本は北韓の核問題に対する国際的合意がなされ、北韓に経済的支援が提供される場合、実質的支援をしなければならず、北韓の経済発展に伴う恵沢を受けることができる。

 結局、北の核問題を解決するのに、韓日両国は米中より大きな利害関係とテコを有しており、北韓の核問題に対する両国の協力は、核問題を平和的に解決するための決定的な変数となるだろう。従って韓日両国は、まず北韓が核放棄の戦略的決断ができるよう最善の努力を傾けなければならず、長期的な東アジアの平和と安定のための観点から、北韓が自ら変化していくことができるよう誘導するための環境を造成しなければならない。北韓の核問題を両国の緊密な協力の下で解決していくことが、未来志向的韓日関係を確かにする始発点となるだろう。

(2005.3.16 民団新聞)
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