'12/9/26
近鉄松下百貨店閉店へ 周南、来年2月末
周南市の近鉄松下百貨店(安井洋一社長)は25日、同店を来年2月末で閉店すると発表した。郊外型店の増加で売り上げ減に歯止めがかからず事業継続を断念。同日の取締役会で決定した。山口県東部唯一の百貨店は50年余りで営業を終える。従業員約170人の処遇や閉店後の店舗活用は未定。空洞化の進む市中心部にも深刻な影響を与えそうだ。
近鉄松下百貨店は1962年に開業。売上高は1993年2月期の約118億円がピークだった。郊外型店に押されて伸び悩み、2012年2月期には約47億円まで減少。断続的に赤字経営が続き、12年2月期は3年連続の赤字決算となり純損失は6億4100万円。累積赤字は11億2700万円に膨らんでいた。
周南市内で25日夕に会見した安井社長は、「他業態との競争激化や消費動向の変化に全社一丸となって営業努力や経費削減に取り組んだが、これ以上の事業継続は不可能と判断した。地域のお客に迷惑を掛け、申し訳ない」と説明した。
安井社長によると、百貨店は来年2月28日に閉店。会社を同4月下旬に解散し、同7月下旬に清算を終える予定。地元採用している社員、パートの従業員は閉店後に順次、解雇する方針。再就職支援については未定としている。
8階建ての本館、5階建ての南館は、資本参加する地元の不動産管理会社「松下」が所有しているが、閉店後の利用については決まっていないという。
周南市は同日夕、木村健一郎市長ら幹部が緊急に集まって対策会議を開催。26日に対策本部を設置し、従業員の再就職支援などを検討することを決めた。
中国地方では、ことし3月に広島市中区の天満屋八丁堀店が閉店。6月には呉市のそごう呉店が来年1月末の閉店を発表するなど、地方都市にある百貨店の厳しい経営環境が浮き彫りになっている。(岩崎秀史)
【写真説明】周南市の近鉄松下百貨店。開店50年の節目の年に閉店することが決まった(撮影・山本誉)