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企画・解説

原発ゼロ、断固反対−経済3団体首脳が共同会見

掲載日 2012年09月19日 06時00分
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 政府が決定した「革新的エネルギー・環境戦略」の「2030年代の原発ゼロ」に対し、経済界が反発している。経団連、日本商工会議所、経済同友会は18日、異例となる共同会見を開き、政府批判を展開した。3首脳は原発ゼロによる経済的損失に加え、日米関係の悪化、国民生活への影響などを指摘。エネルギー政策の抜本的見直しを求めた。原発ゼロをめぐり政府と経済界の確執は決定的となった。(10面に関連記事)

 会見には経団連の米倉弘昌会長、日商の岡村正会頭、同友会の長谷川閑史代表幹事がそろって出席。経済界が一致して原発ゼロに反対する姿勢を鮮明にした。米倉経団連会長は、「われわれの声をまったく受け止めてくれなかった。極めて遺憾だ」と語り、「エネルギー戦略を再度作り直すことを強く求める」との強い姿勢を改めて示した。


会見する(右から)岡村日商会頭、米倉経団連会長、
長谷川同友会代表幹事

 3首脳は安定供給不安に加え、電気料金の引き上げに伴う直接・間接的な影響を指摘。「立地競争力が低下し、海外からの投資は期待できない」(岡村日商会頭)、「世界はまだ原発を必要とする中で、原発ゼロは人材育成や確保に支障をきたす」(長谷川代表幹事)と、ゼロ政策への不満をあらわにした。

■不断の見直し・検証姿勢を説明−国家戦略担当相
 古川元久国家戦略担当相は18日、産業界から政府の原発ゼロ方針に反対の声が強まっているのに対して、「きちんと方向性を示した上で、不断の見直し・検証の姿勢を伝えて説明していくことが大事」と述べた。同日開催した国家戦略会議で2030年代の原発稼働ゼロを含めた革新的エネルギー・環境戦略を説明。ただ、メンバーである経団連の米倉弘昌会長が欠席するなど、両者の距離は依然縮まっていない。

■複数委員が懸念を表明−総合エネ調基本問題委
 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本問題委員会が18日開かれ、革新的エネルギー・環境戦略について、懸念を表明する意見書を複数の委員が提出した。槍田松瑩三井物産会長ら5人は共同で「日本経済の崩壊・空洞化につながり、日本の国際的責務を果たす能力を減殺する。一定の規模の原子力を維持するよう再考を」と表明。柏木孝夫東京工業大学特命教授は「今後時間をかけて内外を見すえ、複眼的にじっくり考えていくことを示すべきだ」と指摘した。