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医師不足招く、医学部新設反対 岩手県医師会・石川会長に聞く
 | 医学部新設反対の理由を説明する石川会長 |
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岩手県医師会は8月、宮城県や神奈川県などで大学の医学部新設を求める動きがあるのに対し、「既に定員が増えているほか、新たな医師不足が生じる」として、新設に反対の意思を機関決定した。石川育成会長に反対を表明した理由を聞いた。
−反対の理由は。 「不足している中堅医師が教員になることで、別の医師不足が生まれる。2008年からの定員増により、全国で医学部生は1366人増えた。医学部が13〜14校新設されたのと同じだ。(国の人口減により)将来医師が過剰になる時に対応できるのだろうか」 「新設には時間と資金がかかる。東北市長会が5月に医学部新設を求める特別決議をしているが、東北の首長にも反対する人がいると聞いており、議論を尽くしていない。医師不足の解決策としては、短絡的発想で愚策だと言わざるを得ない」
−仙台厚生病院と東北福祉大(仙台市青葉区)の構想は、東北の地域医療の現場から医師の引き抜きはしないとしている。 「医師の多い所から教員を連れてくると言っても、簡単ではない。県内に来る研修医を見ていても都市部を選ぶ傾向がある。地域枠で入学した医師を適切に配置するなど、医師が定着する方法を考えるべきだ。既存のものを拡充するほうが効率がいい」
−超高齢化社会では医師が必要になるという意見もある。 「超高齢化社会になれば予防医学が大事になる。医者にかかる人を減らす努力をしないと、医療費が増大する」
−地域医療を担う人材を育てるためにも、新設は必要ではないか。 「医師が偏在しないよう、国か地方自治体が調整するのがいい。岩手県は東日本大震災の際、内陸の医師会が沿岸の担当を決めて支援した。知恵を出せばこういうこともできる。院長のやり方次第で、地方でも医師が集まる病院もある。もっと工夫するべきだ」
2012年09月25日火曜日
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