美貌(びぼう)の天才少女として一世を風靡(ふうび)し、日本人で初めて国際的に活躍したバイオリニスト、諏訪根自子(すわ・ねじこ)さんが3月に死去していたことが24日、分かった。92歳だった。葬儀は近親者だけで行った。
3歳でバイオリンを始め、ロシアの名教育者、小野アンナらに師事。品格と情熱を併せ持つ演奏が巨匠ジンバリストに高く評価され、12歳でデビューする。かれんな容姿も相まって、日本中に「天才少女」ブームを巻き起こした。
1936年、16歳でベルギーに留学し、39年に欧州デビュー。開戦をきっかけにドイツに移り、クナッパーツブッシュ率いるベルリン・フィルとも共演する。日独友好のシンボルとなり、ナチス高官のゲッベルスから名器ストラディバリウスを贈られたというエピソードも。終戦後に帰国し、井口基成や安川加寿子らとともに日本の楽壇を率いたが、ここ数十年は表舞台から遠ざかっていた。