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明日です。ぜひ傍聴にいらしてください。おもしろいですよ。ただいつも第3回で結審されてしまうので結審かも。
4月28日(火)11:30~12:00 東京地裁 522法廷(5階) 地下鉄丸ノ内線霞が関A1出口すぐ 私たちの裁判がなぜすぐに結審され、門前払いされるのか。そんなことは簡単です。権力の中枢に挑戦する裁判だからです。安倍裁判しかり、教基法違憲訴訟しかり、「つくる会」採択取り消ししかり。この国の政府の目指す方向を変えようとする重大な中身だからです。こんなものを取り上げたら、せっかく戦争のできる国に向かって着々と進んでいるのに頓挫してしまいます。権力が許すはずがありません。
それに対して、今回の和田中夜スペはそれほどではないので、少しは可能性があると思っています。被告は門前払い(裁判をする条件がないとして却下する)させようとしているのですが、裁判長が訴状の「請求の趣旨」を変更すれば、中身に入ることができる(門前払いはなし)と教えてくれています。自分から教えたのですから、門前払いはしないと思います。気を取り直してがんばらなくちゃ。 なんとかかんとか、明日の会議に間に合うように、準備書面、3つ書きました。書きっぱなしだけど、みんなが検討してくれるでしょう。この裁判(和田中夜スペ)の裁判長は、新石垣空港設置許可処分取り消し訴訟で、なんと東京地裁始まって以来じゃないかという沖縄・石垣現地調査を行ってくれるという画期的な裁判長です。(でも判決はどうなるかわからないけど。とにかく裁判というものを信用してないので)。 なーんて、期待してると裏切られるので、決して期待はしませんよ。それだけのことを相手(裁判所)はさんざんしてきたのですから。 単純な性格なので、苦労しても書き上げるとうれしいものです。裁判官に読んでほしいなあ。 あのねえ、弁護士は1回の口頭弁論に3つも4つもの準備書面は出さないのです。それなのに裁判官はすぐに結審はせず、何回も機会を与えます。私たちは素人でこんなにがんばっているのに、どうして裁判官は審理せず、すぐに結審するのか。素人差別なのか! 私たちの準備書面は弁護士級。生田弁護士(元大阪高裁裁判官)の保障付きだというのに。 今日、和田中住民訴訟第2回口頭弁論がありました。
ちょっとうれしかったので、教科書裁判支援ネットMLに走り書きしたメールをここにも載せておきます。(準備書面で目が痛いのにがんばったので、今日はもうゆっくりして寝ます)。 ***** 詳しくはまたJANJANに書きますが、生まれて初めて法廷で人間として扱ってもらい、日本語で話すことができました。30分の予定だったのですが、50分もやりました。それも12:25まで。一度も時間のことを言われず、4人が言いたいだけ陳述し、そのあとの対応も丁寧。請求の趣旨をより的確化すれば、中身に入れるとも教えてくれ(門前払いなしを約束)、被告にも「こうしますから」と言ってくれて、反対させませんでした。 被告に求釈明に答え、反論を提出するように言ってくれました。 弁護士を相手にしている時と同じように、対等に相手にしてもらいました。まともな口頭弁論を初めてやってもらいました。傍聴人含め、閉廷した時には、思わず立ち上がっておじぎしていました。 こんな裁判官が東京地裁にいたとは驚きです。と言っても、初めだけで豹変するかもしれませんが。でも初めだけでも、1回でもこんなに普通に対応してもらってうれしいです。 と、あまりに喜ぶとあとが怖いので、この辺にしておきます。 それにしてもどうしていつもこういう態度が取れないのでしょうか? いつもこのようにやってくれれば、たとえ棄却されても、今までのように憤慨することはないと思います。国民をおとなしくさせておくためには、あまりひどい訴訟指揮をして反抗心を燃やさせる方が得策ではないと思うのですが・・・。 あの藤原和博氏が杉並・和田中で行った本当のこと~独断専行と公教育の破壊
大阪の橋下知事は藤原氏を教育顧問とし、藤原流教育「改革」を大阪でも行おうとしています。危機感を持つ大阪の仲間のために書いた原稿を少し直してJANJANにも載せてもらいました。 全国に広がる恐れもある公教育の危機です。ぜひお読みください。 *****以下、記事です。 藤原和博氏は2003年度に東京・杉並区立和田中学校に民間会社「リクルート」出身の校長として鳴り物入りで登場しました。それ以来、「よのなか科」、有名人による「特別授業」、地域本部(学校支援本部)の立ち上げ、土曜日に補習授業を行う「ドテラ(土曜日寺子屋)」、民間の塾との提携による「夜スペ」と、いわゆる「改革」を次々に行ったとされます。しかしその実態はどうか? 地元住民の1人としてお伝えします。 1.地域本部の実態 藤原前校長の取り巻きを集めた地域本部、その不透明な会計 文科省は和田中の地域本部(学校支援本部)をモデルとし、全国の学校に学校支援本部を作るため、今年度50億円の予算を組みました。でも、和田中地域本部が全国のモデルにふさわしいとは到底思えません。情報公開により入手した唯一の文書は、「和田中地域本部連絡名簿」1枚のみで、校長と事務局長の名前といくつかの担当名(例:地域本部会計、安全管理、顧問など)が残っているだけで、まっ黒に墨塗りされています。 藤原前校長は、地域本部は杉並区の公認団体であると公言していますが、団体認可等の書類もありません。出来てから約4年間、規約もなく(夜スペ開始の直前に必要に迫られ、後追いで作成)、メンバーは藤原前校長の独断で任命され、任期も不明瞭で、校長の意向通りに動く「取り巻き」を集めたというのが実態です。区から補助金が約560万円出ており、区議会議員が決算報告の開示を要求しましたが、未だなされていません。 和田中地域本部は出来てから会計報告が全くなく、この7月に初めて和田中地域運営協議会の席上、「決算のようなもの」が出されました。「のようなもの」というのは、そこに書かれているのは公費と私費に分けた収支だけで、明細が一切ないからです。領収書もありません。 昨年度の収入は、なんと1,677万円もあるのに、何に使われたのか、何もわかりません。198万円の収支差益が出て、今年度に繰り越していますが、もとは保護者から集めた受講料なので、余ったら返還すべきものです。驚くべきことに、地域本部には会計監査もなく、千万円台の大金をこのようにずさんに使っているのです。この不透明な会計については、区議会でも取り上げられています。 現在、藤原氏の信任厚い地域本部長は、この「使途不明金」問題で学校運営協議会から不信任され、代わりに元伊藤忠のサラリーマンで現・土曜寺子屋の校長をしている人物が地域本部長に選ばれました(藤原前校長と代田現校長はこの更迭に強く反対したが、学校運営協議会で決定された)。ごく一部の特定の人間が多額のお金を管理、運営することにより、いわゆる個人流用が疑われており、この不信任劇に見られるように「校長の取り巻き」による地域本部のあり方そのものが問われています。 学校選択制による地域の破壊 それ以前の問題として、和田中には実質的な「地域」がありません。杉並区では隣接する学校への学校選択制が敷かれており、特に和田中は特別に杉並全域から希望してよいことになっており、特別なカラー刷りのパンフレットもあります。予算面で優遇されているのです。その結果、以前の学区域からの生徒が3分の1、杉並区内の生徒が3分の1、区外からの越境入学が3分の1となっています。藤原氏は「地域を大事に」と唱えていますが、こんな状態で「地域」と言えるのでしょうか。 和田中の隣接地域の町内会長は、新聞に夜スペ反対の投書をし、掲載されました。地元町会は地域本部には入っていません。その代わりに地域本部とは別組織ですが、学校運営協議会に「協力企業」として藤原氏と個人的に関わりの深いゲームソフト会社やIT企業が名前を連ねています。藤原氏は地元の町会よりも企業との関係を重要視しているのです。もともとあやふやな「地域」ですが、これではますます「地域を大事に」しているとは思えません。 最近、東京都江東区や群馬県前橋市で、子どもと地域との関係の希薄化とともに、児童生徒数の偏りによる教科指導や部活動への支障が懸念される、などとして学校選択制が見直されました。学校支援本部立ち上げに予算をつけた文科省も、学校選択制の中で「地域」を大事にすることが可能かどうか、まじめに考えてほしいものです。 2.公教育の破壊 公教育の市場開放は政府の方針 2000年に政府の「21世紀日本の構想」懇談会の報告が出ていますが、その中に次のように書いてあります。 ―広義の教育における国の役割は二つある。一つは、主権者や社会の構成員として生活していく上で必要な知識や能力を身につけることを義務づけるものであり、もう一つは、自由な個人が自己実現の手段を身につけることへのサービスである。つまり、「義務として強制する教育」と「サービスとして行う教育」である。 現在の日本の教育では、この二つの教育が混同され、授業内容についていけない子どもには過大な負担を与えながら、それを消化してより広く好奇心を満たしたい子どもには足踏みを強いる結果を招いている。そこで、21世紀にあっては、これまで混同されてきた二つの教育を峻別し、「義務としての教育」は最小限のものとして厳正かつ強力に行う一方、「サービスとしての教育」は市場の役割にゆだね、国はあくまでも間接的な支援を行うことにすべきである。 例えば、初等中等教育では、教育の内容を精選して現在の5分の3程度まで圧縮し、週3日を「義務としての教育」にあて、残りの2日は「義務としての教育」の修得が十分でない子どもには補習をし、修得した子どもには、学術、芸術、スポーツなどの教養、専門的な職業教育などを自由に選ばせ、国が給付するクーポンで、学校でもそれ以外の民間の機関でも履修できるようにすることが考えられる――。 和田中はまさにこの報告書にある考え方に基づき、国家として責任を持つ公教育を削減し、市場開放する方向に進もうとしています。少子化の現在、営利企業の一つである塾にとって、顧客獲得合戦は生き残りをかけた熾烈なものです。 報道によれば、進学教室チェーン「サピックス」が顧客獲得作戦の一環として学校に乗り込もうとし、「交通費と教材費を出してくれれば講師料は無料」というダイレクトメールを150通出しました。藤原氏が「すぐに電話した」とされていますが、実は声をかけたのは藤原氏の方だということが分かっています。藤原氏は政府の尖兵となって、公教育を市場開放しようとし、サピックスの営利と結びついたのです。 企業論理を持ち込んで公教育を破壊 区教育委員会庶務課長は、「塾にとってもメリットがある、それから学校側、生徒側にとってもメリットがあるという中で、お互いの利害が一致した。じゃ、これを地域本部としてやっていこう」ということで進めてきたと答弁しています。しかし、教育の場に「メリット」「利害関係」という言葉が登場すること自体、教育の退廃を意味すると言わざるを得ません。教育は長期にわたり子どもを「人格」として育てる営みであり、「メリット」「利害」をすぐに計算できるものではないからです。 公立学校に利害や経済効率を至上命令とする企業理論を持ち込むことは、公教育の破壊です。教育は全人的なものとして行われるべきであり、成績を上げること、偏差値の高い学校に合格することのみを取り上げ、企業理論に基づいて子どもを儲けのターゲットとすることは、人間としての子どもを否定することになる、と思います。こうした子ども観は、子どもを一人の人間として見るのではなく、「企業に役立つ人材」として、「人的資源」、「商品」として見るものです。藤原氏は企業の人で、企業に役立つ教育以外には興味がないのだ、ということが分かります。 もう一つ、日本の教育にとっての重大な変換を指摘したいと思います。この社会には少し前まで、受験戦争は子どもたちにとって決して好ましいものではなく、できるだけ緩和すべきである、という教育理念がありました。しかし現在では、私立中学受験のため小学生も熾烈な競争に巻き込まれるようになり、いつの間にかそれを当たり前とする社会になってしまいました。そのため、和田中のみならず公立学校に塾を入れ、受験のために成績を上げることを公立学校の一部で率先して行うようになりました。受験戦争への問題意識を捨て、競争して(受験のための)成績を上げることは当然のことだ、と社会が認めたということになります。これは子どもたちにとって、非常に大きな教育理念の変換です。 サピックスへの利益誘導 杉並区は「実費程度しか取らないから営利性はない」として目的外使用を許可し、公立学校施設を1企業であるサピックスに無料で貸与しています。しかし、住民監査請求の監査結果でも、「私塾の主観的意図はどうであれ、客観的には私塾の本事業への関与は営利事業として行われているとみることが妥当である」としています。 区は、非営利団体の地域本部が行っているので営利事業ではないと言い逃れています。なんという詭弁でしょうか。地域本部自体に営利性がないとしても(ずさんな会計を見れば、これもあやしいとの疑義もあります)、マスコミにあれだけ取り上げられたことによるサピックスという企業にとっての実益は、計算不能なほどです。公立中学校がこのように1企業の利益誘導をはかることは許されません。 3.プール事故の隠ぺいと過剰すぎるマスコミへの露出 和田中では2007年7月にプール事故があり、1年生男子生徒が意識不明の重体になって、しばらくの間、植物状態でした。現在、意識は回復しましたが、養護学校の訪問学級在籍です。このような重大事故を、藤原前校長に傷をつけまいと、杉並区は徹底的に隠ぺいし、事故調査委員会さえ作りませんでした。事故報告書も紙1枚のズサンこの上ないものしかありません。 その後、大分県でも同様の事故が起こっています。杉並区長、藤原氏は子どもの命をなんと心得ているのでしょうか。区民はこの重大事故について取材、報道するようマスコミ各社に訴え続けましたが、現在に至るまで報道はありません。ちなみに、今年起こった同じ杉並の小学校の天窓転落死亡事故では校長と担当教員が、是非はともかく、刑事告発されました。藤原氏はここでも特別扱いされているのです。 藤原氏は、重大事故は隠ぺいする代わりに、自己宣伝のためには生徒の顔も露出させてマスコミを利用しています。藤原氏の、利用できるものはなんでも利用するという貪欲な自己宣伝欲に対し、区教育委員会、区議会文教委員会などでそういう姿勢をたしなめる意見が頻繁に出ています。 4.低い地元での評価 和田中についてはマスコミが大きく取り上げ、絶賛したので、それを見たり読んだりしている限り、本当の改革であると錯覚させられても不思議ではないと思います。しかし、地元・杉並での評価はいたって低く、「つくる会」支持の教育委員や与党会派の議員の間でも藤原氏の評判は芳しくなく、酷評されていると言っても過言ではありません。夜スペ開始にあたっては、野党会派はむろん、与党会派の議員からも次のような疑義が出されました。夜スペに賛成した文教委員、教育委員はゼロでした。 ・富本委員(自民党) 新聞報道で先に知って、文教委員会では初めて報告された。教育委員会が平等とか機会均等という視点を持ってチェックすべきである。その上で学校や地域の自主的な取り組みを重んじるというスタンスがあるのではないか。それがないように見える。厳しく言えば教育委員会が藤原校長に引きずられている。 和田中は私立中学ではないという批判があるが、どうか。藤原校長は地域運営学校の会長にもなっているが、その会長は校長に対する人事権も持っているので、藤原氏がなるのはおかしくないか。また、2代目の民間人校長も和田中だということだが、院政を敷くのではないかという噂もある。1学校が記者会見までやる必要があるのか。 「夜スペ」は地域本部でやると言っているのに、インタビューに出るのは藤原氏ばかりで、地域本部を隠れ蓑にしているのではないか。学校支援本部(地域本部)とはなんぞや? 権限はどこまであるのか? これでは区教育委員会はいらないことになる。公教育における機会均等の原則はどうなっているのか? ・青木委員(公明党) 富本委員とだぶらない点について。マスコミ発表は必要なかったのではないか。藤原氏の実践にはよい点もあるが、マスコミ優先、報道優先で子どもが利用されている部分もあるのではないか。子どもや保護者はどう思っているのか? これをやって全体としてプラスになるのかマイナスになるのか疑問である。将来にわたって弊害をもたらすことはないのか。テレビでサピックスが生き残りをかけて、経営戦略を考えていると言っていたのを聞いて、サピックスの宣伝に利用されたのではないかと思った。今後公教育、義務教育に力を注いでいくことが大切である。 ・小川委員(民主党) 藤原氏のマスコミへの出方には過ぎたものがあるが、教育委員会としてきちっと対処しないのか。杉並は地域とのかかわりが低いが、自分としては学校支援本部がこれからそれをよくしていくとは思っていない。学校支援本部の活動には校長の承認が必要だということだが、学校支援本部の性格と矛盾するのではないか。 今回のことについて和田中の先生は全員が賛成したということだが、反対の先生もいたが言えなかったという話を聞いている。学校選択制があるために、生徒が減らないよう、次々にいろいろなことを始めているという、うがった見方もあるようだ。また、和田中に集まってくる子どもだけをよくすればいいと考えているとも見られているようだ。夜の安全対策は区としてどう考えているのか。和田中だけやって隣の中学はどうなるのか。公教育なのだから地域が同じスタートラインに立ってやらなければならない。 (3氏の発言は2008年1月25日の文教委員会で) また、教育委員会では「つくる会」支持の教育委員からも多くの疑義が出され、その委員は最後に「自分は成績のいい子どもの問題もあるが、『どちらかと言えば下の方』の子どもが『ちゃんと覚えて卒業してもらう』ことが基本であり、義務教育とは何かということについて十分に論議したい」と述べました(2008年1月23日教育委員会)。 実際、昨年度開講に当たって、夜スペには申し込みがほとんどなく、特定の部活に声をかけて生徒を集めたため、女子に片寄っていました。「ふきこぼれ」(成績上位)の生徒対象ということで、希望した子どもの中には断られた子どももいます。学年127人中たった17人が学校でボランティア手作りの夕飯まで食べて、校長先生も仲良く一緒に特別授業を受けるということをやっていました。このことについては和田中の保護者の間で批判的な人が多かったということです。 藤原氏の旗振りをしたマスコミの宣伝効果があったのでしょう、今年度の希望する生徒は増えましたが、手作りの夕食は廃止、教育の機会均等に反するという批判に抗せず、成績上位の子どもに限るのをやめ、能力別のクラス編成をして、すべてサピックスが対応しているということです。藤原氏が理念を持って始めたはずの「ふきこぼれ」対策も頓挫し、つまりは子どもという顧客のいる学校という市場に、私塾という企業を入れただけの結果になっています。しかも、すべてを独断で進め、規則や要綱、契約書(非常に不備で契約書の体をなさないもの)など必要書類はつじつま合わせのため、後追いで作成しています。 和田中の地元では、仕方なくついていってはいるものの、辟易としている保護者もいて、春には和田中の保護者が区内の全小中学校PTA会長宛てに匿名で内部告発の文書を送り、PTAの間で話題になりました。また、和田中の教員は藤原氏の「改革」を全く評価していません。和田中から異動したいという教員が多くいます。 5.まとめ 私は、重大事故を隠ぺいする藤原氏が誠実な人とは思いませんし、子どもの教育に携わる能力や資質があるとも思いません。また、教育「改革」以前に保護者同士がオープンに話し合えないような雰囲気の学校、会計さえ不透明で藤原氏の取巻きである地域本部、地元の隣接地域の町会長が直接話しに行けず、新聞に投書するしかない状態などなど……に信頼を抱くことができません。藤原氏の問題は、教育「改革」以前に、人間としての資質にあると言っても過言ではないでしょう。 このことは、与野党区議会議員や教育委員に藤原氏が信頼されていないことからも明らかです。区議会や教育委員会を無視してワンマンで進め、自己宣伝欲の強い藤原氏の体質は身近な教員、地元町会、保護者たちからも支持されません。 大阪でも橋下知事のもと、藤原氏を教育顧問として和田中と同じ教育「改革」が進められようとしていると聞いています。これから全国に広がる可能性も大です。私は地元杉並区民として、マスコミの知らせない和田中の実態を多くの人に知らせたいと思い、このレポートを書きました。 公教育は決して市場開放してはならないものだと思っています。市場開放すれば必ず企業の論理が入り込み、顧客への「サービス提供」を競うようになりますが、教育とは教員と子どもたちの共同作業であり、「サービス」ではないからです。 和田中夜スペ住民訴訟 傍聴のお願い
和田中夜スペに関して公立学校施設の目的外使用は違法であるとして住民監査請求を行いましたが、棄却されたため、6月26日、東京地裁に住民訴訟を提訴しました。その第1回口頭弁論が以下のように開かれますので、みなさま、是非傍聴にお集まりください。 記 10月3日(金)午前11:30から 東京地裁 522号法廷(5階) (地下鉄丸ノ内線 霞が関駅 A1出口すぐ) 違法な和田中裁判の会 連絡先:渡辺容子 03-3334-3824 私たちが提訴した和田中夜スペに係る住民訴訟で、裁判官は、「請求の趣旨」が3つあるからと、印紙代を3倍要求してきました!!!13,000円×3で39,000円だそうです!!!
原告が多数の場合、東京地裁や大阪地裁に限り(地方の裁判所ではそんなことはしない)、原告数掛け算した印紙代を請求されました(嫌がらせです)が、これは初めてです。今までの裁判でも「請求の趣旨」は1つではなかったのに初めてです。 完全な嫌がらせです。嫌がらせのためには早期の結審だけでは足りずに、ここまでこじつけるんですね!! おいおい、日本の裁判所よ、そこまで落ちたか!! でも、これは私たちの裁判をそれほど嫌がっているということの証明なので、それなりの成果はあるのかも???これからもこのような裁判を起こされたら面倒なので、早めに切ってしまいたいということでしょう。ほらほら、チャンスですよ。どんどん起こしましょう! 住民監査請求が棄却されたため、本日夜スペ住民訴訟を提訴しました。これで裁判は6つ目です。
すでに終わった裁判 1.「つくる会」教科書採択取り消し訴訟 訴額で争って最高裁まで、最高裁は判断せず。印紙代を払っていないため中身の審理には入らず。 同じ裁判を行っている松山地裁、宇都宮地裁では1件として考え、訴額は160万円で印紙代は13000円ですが、東京地裁はいやがらせで原告数掛け算した訴額とし、印紙代は57000円と言われました。これに対して、異議を申し立て最高裁まで行ったのですが、最高裁は判断しなかったため、絶対に負ける裁判に57000円を払うのはもったいないので、払わず、そのままになりました。 2.教育基本法改正案国会上程差し止め訴訟―却下 3.安倍裁判(安倍、自民党が「つくる会」教科書採択に関わり、ありとあらゆるところで圧力をかけた)―却下(控訴したが、杉並で問題山積のため、労力と効果を考え取り下げました) 現在まだ続いている裁判 1.「つくる会」教科書採択に関わる公金支出の無効確認住民訴訟 地裁で却下及び棄却され、控訴。控訴審第1回口頭弁論で結審されそうになり、現在忌避申立が最高裁まで行っています。 2.教基法違憲訴訟 地裁で却下及び棄却され、控訴。控訴理由書作成中。 3.「夜スペ」に関わる目的外使用許可処分の無効確認住民訴訟 本日提訴。 ヒラメ裁判官ばかりの堕落し切った「司法」ですが、それにしても舞台が東京地裁であるのは厳しいです。裁判所に入るのに荷物検査があるのは東京地裁だけらしいです。大阪地裁も名古屋地裁もないとのこと。傍聴席もいっぱいになると席をつめて入れてくれるそうだし、傍聴席からの拍手もお咎めなしとのこと。名古屋地裁は裁判所の庭(?)に芝生があり、傍聴席に入れなかった人たちがそこで歓談しているそうです。のんびりしてるなあ。 しみずえいこさんがJANJANに監査請求意見陳述の記事を書いて下さいました。
和田中「夜スペ」に杉並区住民58名が監査請求 2008年3月24日、東京都杉並区の住民58名が、杉並区立和田中学校が大手進学塾SAPIXグループを使って行っている※夜間塾経営(夜スペ)について、経営実態について監査を行うよう杉並区監査委員会に請求した。5月1日、請求者代表2名による意見陳述が行われたので、取材した。 住民側によれば、杉並区教育委員会は夜スペを「学校教育外の活動」として認めたが、この処置は「学校施設の目的外使用の禁止」(「学校施設の確保に関する政令」第3条)に反し、公共用財産である学校施設に私権の設定はできないとする「地方自治法」第238条の四第1項に違反しているとし、夜スペ事業の停止と、違法に便宜供与した財産に関する費用を管理責任者に損害補填させることを、杉並区に対して求めている。 杉並区監査委員は、これを受け60日間以内に監査報告を行うこととなった。住民は、区の監査委員ではなく外部監査を求めていたが、これは予め拒否された。「すぎなみオンブズ」に参加している傍聴者の一人によると、昨年杉並区は、税金の徴収業務がきちんと行われているかについて、公認会計士を雇い、500万円かけて外部監査を行った。本来、監査とは税金の使い道について行われるものと筆者は思っていたが、税金の取り立ての監査とは恐れ入る。ちなみに、杉並区は『大変よく税金を徴収している』という監査結果であった。 マスコミによる批判がほとんどなく、それどころか宣伝ともとれる扱いを受けている和田中の夜スペ経営。監査請求による「異議あり」の声がどこまで届くのか。この十年、郵政民営化をはじめとする「官から民へ」の潮流は、今日、雇用の不安定化による格差の拡大など、さまざまな弊害を生んだ。 今回の住民の告発には、和田中の取り組みが、裏を返せば、企業が学校を使い、子どもをダシにして利益を得る構造を可能にしたとの指摘を含み、学校の民営化による弊害を先見する内容となっている。市場原理による熾烈な販売競争が偽装などの問題を招き、コンプライアンス(法令遵守)が叫ばれる社会情勢のなかで、和田中の取り組みが果たして法令を遵守していたのかどうか、まずは注目したい。 ※杉並区では、区の教育ビジョンのなかで「学校経営」という言葉を使っており、校長も学校経営という言葉を多用している。筆者は、学校は「運営」するものだと考えているが、和田中の夜スペは「経営」という言葉があてはまると思われ、あえて夜塾経営という表現にしている。 ◆以下、監査委員会・詳報 傍聴者20名、あの夜スペに住民が「異議あり」 意見陳述の当日、杉並区役所の8階・監査委員室には、傍聴者が20名ほど集まっていた。委員会前、職員は10名分しか椅子がないとして傍聴券を配布していたが、集まった人々から「立って傍聴します」という声が上がった。職員が「立って傍聴はできません。監査委員が落ち着かないので」と説明すると、「そんなことで落ち着きを失う監査委員なんですか?」という人がいて、筆者はちょっと笑ってしまった。情報公開と宣伝しているわりに、せっかく足を運んだ住民が委員会の傍聴もできないなんて。しかし声に押されたのか、結局、椅子が用意され、全員が傍聴できた。 夜スペに対し監査請求を行う住民「学校教育外活動」「塾と子どもの利害が一致」。だから夜スペは ? 監査委員は、四居誠、向山清志、伊田明行、田代聡の4氏。その他、監査委員事務局の職員が同席。委員会が始まると、監査請求する住民の代表2名が、請求の主旨を口頭陳述した。 最初の代表者は、2007年12月9日に朝日新聞一面トップ「夜の学校の教室で、大手進学塾の指導が受けられます」をはじめ、新聞各紙による報道を皮切りに、報道に驚いて初めて動き出した杉並区教育委員会、文教委員会の動き、東京都教育委員会が「学校教育外の活動」として夜スペを許可することとなった2008年1月末までの経緯を説明した後、次のように述べた。 「SAPIX社は学校に乗り込もうと、『交通費と教材費を出してくれれば講師料は無料』というダイレクトメールを150通出しました。つまり、夜スペの始まりはSAPIXの顧客獲得戦略でした。これに対して杉並区教育委員会庶務課長は、『塾にとってもメリットがある、それから学校側、生徒側にとってもメリットがあるという中で、そういう意味で利害関係と申しましょうか、お互いの利害が一致した中で、じゃ、これを地域本部としてやっていこう』ということで進めてきたと答弁しています (2008.1.25文教委員会)。 しかし、教育は長期に渡り子どもを『人格』として育てる営みであり、メリットや利害をすぐに計算できるものではありません。公立学校に利害や経済効率を至上命令とする企業理論を持ち込むことは、公教育の破壊です。教育は全人的なものとして行われるべきであり、成績を上げること、偏差値の高い学校に合格することのみを取り出して、企業論理に基づき子どもを儲けのターゲットとすることは、人間としての子どもを否定することと言えます。 そのことに気がついているからこそ、「つくる会」支持の大蔵教育委員、宮坂教育委員や与党会派の文教委員も批判的なのです。これは政治的な立場を越えた問題であり、人間の尊厳に関わる問題です。藤原前校長や山田宏区長は人間の尊厳に関して非常に低劣な意識しか持っていないと言わざるをえません。これが「夜スペ」の正体です。だから、適正な手続きを経ては実行できませんでした。「学校外」の取り組みと位置づけ、後追いで書類をでっちあげ、なんとか体裁を取り繕おうとはしていますが、こんなずさんなやり方を納税者として認めることはできません。」 2人目の代表者は、「杉並区在住の納税者であり区民である立場から、夜スペ許可は余りにいい加減な公共用財産の管理と目的外使用許可処分であり、区行政内部の規律とコンプライアンス無き業務に唖然としました」と述べ、次の項目の監査請求を行った。 <監査請求の項目> 1.和田中地域本部の実態監査 藤原前校長は、和田中地域本部は杉並区の公認団体であるとマスコミにも公言しているが、その根拠が情報開示請求によっても確認できない。監査請求人らが入手した唯一の文書は、「和田中地域本部連絡名簿」の1枚のみ。電話番号しか書いておらず、所属(企業か団体か)も居住地も保護者か地域住民か、あるいは学生かも不明である。税金を投入している以上、公的に審理・団体認可等書類が無くてはならないにも関わらず、団体の組織実態が不透明。適格性の厳重監査を求める。 2.目的外使用許可処分の規定、前例等の調査に基づく監査 目的外使用許可処分といういわゆる財産許可処分は、例外としての厳重な慎重審査があってしかるべき。しかし、当初から学校側も区教委側も全く審理の形跡が無く不当。区内の学校財産ではどのような前例があるのか?調査の上公表を求める。 また、和田中地域本部から申請(平成20年1月23日付け)を受け、区教委が許可した4教室等の使用料免除(全額)とは具体的にいくらなのか、監査を求める。本来、規定無く目的外使用許可の対象とならないはずであり、料金規定がないのに免除とはいかなる解釈なのか極めて不透明。学校教育外の活動であるSAPIX社及び和田中による夜スペ事業は独占禁止法に抵触している疑いもある。これらの観点から充分な監査を求める。 3.夜スペ事業の経理監査 目的外使用許可を与えた理由の中に「実費程度しかとらないから営利性がない」という非常識な暴論があるが、まずどのような実費計算をしたのか監査し、更に区教委の実費の基準、営利性の基準を具体的に監査結果として公表を求める。 スーパーの半額セールは公益事業か? 夜スペは公益事業ではない また、同代表者は次のように述べた。 「企業は営利活動を行う組織であり、マーケティング戦略として製品計画、価格決定、プロモーション、マーケティングチャネル(立地・商流)、物流計画などを通して利益を追求するものです。授業料(価格)だけを取り上げて実費程度だから営利性はないなどという初歩的な誤りは、産業界・企業社会ではこっけいであり、結論ありきのための杉並区教委にしかない論法にすぎません。 SAPIX社にとって、夜スペは経費ゼロのプロモーションです。たとえ無料授業としたり、更に受講生らに景品をつけたり、正規本講習の割引券を渡すと言っても、これらはマーケティングの一環であり、公益性ある社会活動でも何でもありません。スーパーの店頭で目玉商品に『通常の半値!』という表示があっても誰も公益事業をやっているとは思わないわけです」 質疑応答 陳述が終わると、監査委員より質問があった。 田代委員: Q.和田中は英検対策授業もやっているが、これについては監査請求しないのか? A.そちらで疑義をお持ちであれば、監査してください。 Q.和田中では年に3万7,000時間も補習授業を実施している。線引きが難しいのだが? A.それを調査するのが監査委員ではないのか。なお、私たちは杉並区が行った財産許可処分に対し監査請求している。授業内容の良し悪しの判断を求めているのではない。 向山委員: Q.請求の主旨は、費用弁償ということですね?呈示している金額を払えばいいのですか? A.違います。措置請求として、そちらが費用弁償としてはいくらになるかと補正で求めてきたので、金額は呈示していますが、私たちが求めているのはお金ではありません。公共施設という区の財産の管理をきちんと行ってほしいということです。 四居委員: Q.独占禁止法違反について述べていましたが、もう少し詳しく説明してください。 A.藤原前校長は、保護者への事前説明会で夜スペを「学校教育の一環だ」と説明した。ところがフタを開けてみたら「学校教育外の活動」。これは独占禁止法に禁じられている欺瞞的勧誘です。消費者である保護者には「学校だから安心」という安心感がある。夜スペはその安心感に依拠した塾のサービス商品だった。しかし、夜スペは「学校教育ではない」商品になった。景品表示法にも違反する不公正な取引ではないですか?何度も言いますが、夜スペは、放課後に地域のバレーボールチームが学校の体育館を使用するのとは違います。SAPIX社という私権の設定なんです。主催の主体は地域本部だと言いますがその実態は不透明です。たとえ住民であったとしても、公共施設への私権の設定です。入札はしたのかという話です。 最後に、監査請求の代表者は、「監査委員の方々には、マスコミによる和田中の宣伝にのせられないで、和田中の実態を調査し、区の財産管理をきちんとやってほしい」と結び、委員会は閉会した。 委員会後の傍聴者の集まりで 閉会後、傍聴者からは、あの監査委員たちできちんと監査ができるのだろうかという不安の声がいっせいに上がった。「請求人の請求している主旨を理解しているのか不安だ」「お金を払えばいいのかと言った委員がいたが、万引きをしたら返せばいいの? おかしな質問だった」「監査委員の給与は高額だ。区議会議員の監査委員(2名)は区議としての給料と政務調査費の他に監査業務のために月に15万円の手当てをもらっている。ちゃんと監査してほしい」。 そのほか、和田中に関する報告や疑問の声が相次いだ。 「地域本部と言っているが、町内会とうまくいっておらず地域とつながっていない」「和田中の地域本部のメンバーは、ほとんど校長が選んだ卒業生保護者のOG・OBで構成されており、選挙によって選ばれているのでもない。これで地域の声が反映されているといえるのか」「昨夏の和田中プール事故で意識不明のままの生徒は養護学校に転校になった。和田中だと事故ももみ消されてしまうのか」「夜スペの受講者は19名だったが、今年度の募集では40~50名で大幅に増え、習熟度別クラスになるという」「ふきこぼれ対策なら、きちんと教員を雇ってやるべき。塾に無料で学校を使わせて、保護者が無償労働で支えるなんておかしい」 安さにとびつく保護者が増える一方、住民の和田中への疑問は次々と湧いている。これらの疑問に答え、法を守っているかどうかをきちんと調査することが、杉並区の教育の質を守っていくうえで重要と思われる。法を無視した取り組みの行き着く先がどうなるかは、すでにさまざまな社会現象が証明している。 (しみずえいこ) 杉並・和田中の「夜スペ」に区民が仮差止めの申立て
目次 ・報道と地元の実情に大きなギャップ ・和田中の保護者にもくすぶる不満 ・教師から聞かれない評価する声 報道と現場の実情に大きなギャップ 東京・杉並区立和田中学校が大手進学塾「サピックス」と提携して1月から始めた有料授業、通称「夜スペシャル」に対し、3月24日、杉並区民49人が「公共用財産である学校施設を一営利企業の塾に利用させるのは違法」などとして、区などに対し、授業の本格実施の仮差止めを東京地裁に申し立てました。ちなみに、筆者は申立人の一人です。 申立人ら5人は同日、東京地裁司法記者クラブで記者会見を行い、申し立ての理由、背景などについて発言しました。その概略を報告します。 【なぜ仮の差止めを申し立てたか?】 T:皆さんは新聞報道などで、「夜スペ」はうまくいっていると思っていらっしゃることでしょう。しかし、和田中、藤原校長に関する報道と地元の不満と怒りには大きなギャップがあり、愕然としています。従って、こういう声があるのだということを表すために、これを一つのステップとして差止めを申し立てました。手続きを含め、非常にいい加減ではないかということで本日、区民58名で杉並区に住民監査請求も出しました。 私たちには納税者として区に公共用財産を適正に管理させる権利があり、これを侵害されたため、学校施設の目的外使用許可の差止めを申し立てました。保全の必要性としては、これ(夜間塾)が4月から本格実施されると、公立学校施設で一企業による有料授業が既成事実化する、また「サピックス」という一企業の私権の設定になってしまう。このようなことが他の公立学校に波及していけば、学校は商業ベースに染まり、子どもたちは営利のターゲットとなってしまいます。従って緊急に差し止める必要があります。 地方自治法第244条では「公の施設を設ける目的」を「住民の福祉を増進する」と定めています。同法第238条の四では「行政財産は・・・・これに私権を設定することはできない」と規定しています。公共用財産を営利企業に便宜供与することは禁じられているのです。学校施設確保に関する政令3条では「学校施設の目的外使用の禁止」を定めており、私的営利を目的としない等々、特例は厳しく設定されています。 お手元にある「特別補習事業(夜スペ)実施に係る覚書」をご覧下さい。公共施設を使って行うのに、正式な書類はこれしかありません。これは和田中地域本部夜スペ実行委員長を「甲」とし、サピックス中学部代表者を「乙」として覚書を交わしていますが、最後の署名押印のところでは「甲」は和田中地域本部事務局長になっており、「乙」は「サピックス中高等部代表」となっており、書類の体裁をなしていません。しかも日付は平成20年1月24日付です。有料授業が始まったのが、この2日後の1月26日です。いかにも付け焼刃で、1月23日の教育委員会で追及されて、あわてて作ったということが分かります。当初、1月の初めから実施すると言っていた時はどうだったのか。手続きは何もやっていなかったのではないかと思われます。都教委が指摘するのが当たり前です。 もう一つ「特別補習事業の実施要綱」というのを見てください。これも1月22日に急きょ、あせって作ったとしか思えません。2ページ目の付則の2を見てください。「この要綱が施行される前に行われた本事業に関連する手続き等は、本要綱に即して適正に行われたものとみなす」とあります。なんですか、これは。つまり、要綱がなかった時にやったことも正当だ、とこの付則に書いたわけです。こういうものも何も作っていなかったので、あせりまくって後付けし、強引に実施した。だから土台、無理があるのです。 プロの先生方に言わせれば、この事業は単なる塾への丸投げで、おもしろいことでもなんでもないというのが現場の評価です。みなさん、その辺をぜひ見抜いて記事を書いていただきたいと思います。 和田中の保護者にもくすぶる不満 【近隣中学校の保護者などの声】 O:お母さんたちも、藤原先生がお決めになったことを粛々と実施しているということだと思います。一般住民として思うのは夜、学校を使うということで、17名という限られたお子さんのために、お弁当を出してみたり、光熱費を使うという、そのお金がどういうふうに出ているのか、不思議です。中野養護学校というのが近くにあるのですが、その養護学校を出た子たちが、週1回相談コーナーということで、夜、学校に来ていたけれども、校長先生がもういけないということで、使用できなくなってしまいました。とても不公平だと感じます。 私は個人的には塾が学校に参入するのもこの時代はアリかなと。それは持っていき方だと思うのですが、公の教育とはなんだろう、と今回のことですごく思うわけです。公にはいろんな子がいるわけですから。塾では、成績順にクラス分けするのもアリだし、私学だったらそういうこともあると思います。でもいろんなお子さんがいる中で、選んでやっていくのは、いくら地域本部がやっていると言っても、学校がやっていると子どもたちは思っています。子どもの中に特権意識を校内で作っていいのでしょうか。その塾のノウハウというものが、どの子にも等しく行き渡るのであれば、個人的にはそれはそれでいいと思いますが、17人選んだという。申し込んできた中で何人かは学力的にだめだから、今回あきらめてくれということがあったと聞きます。それは子どもにとって、きついんじゃないかと思います。これは地域のお母さんたち何人かが思っていらっしゃいます。ただ、和田中の中ではそういう意見は出ませんね。思っていらっしゃる方もあるのかとは思いますが、出にくい雰囲気です。それがちょっと不思議というか、悲しいことです。 それから、和田中の保護者から内部告発の手紙が出たということです。個人攻撃の部分が半分らしい。そういうものも出だした、ということはやっぱり不協和音が出ているということです。藤原先生は自分も教職員も保護者も一丸となってとおっしゃっていますが、実は一丸というのはどんな一丸なのかなと。また、ここがモデル地区となって地域支援学校というのが全国にできていますが、和田地区の形をモデルにするというのはちょっと違うのではないかと思っています。 【地域って何】 W:いま、杉並区も学校選択制になっていますが、他の中学は隣接地域しか選択できないのに、和田中だけが杉並区全域から選択できるようになっており、元の和田中の学区域からが3分の1、隣接地域からが3分の1、あとの3分の1は越境入学も含めた遠距離から通う生徒です。こんな状況で、地域を大切にと言われても、いったい何なのかと区民は疑問に思っています。 【プール事故を隠蔽】 Y:和田中ではありませんが、孫が区立中学に通っています。近所では「夜スペ」は不公平だという人が多くいます。去年の7月に和田中の体育の授業で、1年生の子がプールで潜水中、25mの5m手前で無呼吸で意識不明になって救急車で運ばれました。直後には問題になったのですが、ご両親が問題にしないでくれと言ったとかで、このことはもう公にしない、と新聞にも報道されず、区民にも知らされず、教育委員会すら取り上げなかったんです。いま、そのお子さんがどうなっているかというと、意識不明のままです。和田中の籍は抜かれて、済美養護学校に移されてしまったということが分かっています。保護者の希望ということですが、実際はどうなのでしょうか。 それから、さきほどの匿名の内部告発の手紙が、私たちの間でぐるぐる回って大騒ぎになっています。杉並区内の全校のPTA会長宛てに送られたのですが、藤原校長がすぐに回収しろという命令を出しました。藤原校長はこのことを警察に言い、指紋でも筆跡でも調べて犯人捜しをするというので、そこまでするかと驚きました。 藤原校長には教員免許がなく、山田区長が特別に連れてきた人ですから、校長会に報告もしないし、独断でやっています。数日前に大きく報道された和田中のPTAがPTA協議会から脱退するというのも、PTAの意見ではなく、校長が突如言いだしたことです。これも「夜スペ」も、区民のニーズではなく、藤原校長の独断です。新聞はそこまで分かっていないようですが、私たち区民が要求したことではなく、上からどんどん来ているのです。いまに、小柴さんみたいに杉並から第二のノーベル賞受賞者を出すのだという。できる子に注目して特別扱いし、中学2年生127人中のたった17人が夕飯まで食べて校長先生も仲良く一緒に特別に授業を受ける。他の子どもたちはもちろん、彼ら自身も含め子どもたち全体に複雑に影を落としていると思います。新聞社にはそういうことも知ってほしいし、私たちはこんな授業はやめてほしいと思っています。 【和田中の学区は?】 K:私も、区内の中学校に通う2年生の子どもを持つ父親です。地域が藤原校長と協力して一生懸命やっているんだからいいじゃないかという論調で全国紙が報道していますが、みなさん御存じのように、杉並区立の中学校は今統廃合問題が大変な話題になっているわけです。私の息子が行っている学校も統廃合の対象になって、住民が統廃合しないでほしいということで延期になった経緯があります。 その一方で、和田中の「地域」って何かというと、先ほどWさんがおっしゃったように、和田中にだけ学区がないのです。全杉並区対象、いや近隣の区からも来れる。バスに乗って来れるのは和田中だけ。そんな中で、しかも和田中の近隣にあるわけでもない「サピックス」という進学塾が突然入札もなしに選ばれて、塾の教育をやる。全くインチキな仕方で、生徒を集めているとしか思えない。そのあおりを食っているのは、和田中周辺の杉並区で言えば東側の地域で、生徒が減少しています。みんな和田中に生徒を吸い上げられていて、杉並の教育は非常にアンバランスな生徒の配置になっているわけです。 夜に塾をやることで一番心配なのは、かなり遠距離から和田中に通っている子どもたちの中でもし事故があった時に、対応してくれるのかということです。プールの事故一つ見ても、その後どういう対応をしたのか、どういうフォローをしたのか、全部緘口令を敷いてうわさでしか聞いていない。ますます不安になるわけです。そういう実態の中で地域とは何かが疑問ですし、校長が協力して一生懸命やっているというのとは全然違うのだ、ということを肌身で感じています。PTAの間には噂で流れてくるのです。それをこわがって、おそらく藤原校長はPTA協議会も脱退して、校長会にも顔を出さない。鎖国みたいなことを始めて、校長がやると言えばなんでも通るのか。教科書採択もそういう面があると思いますが、そういうトップダウンのやり方で、本当に地域が盛り上がる学校教育ができるのか、非常に疑問に思っています。しかも、藤原校長が辞めるわずか1ヵ月、2ヵ月前にバタバタと始められているわけです。 教師から聞かれない評価する声 【すべては校長独断で始まった】 W:「夜スペ」は、教育委員会にも区議会にも何の相談もなく、藤原校長の独断で決められ、教育委員も区議会の文教委員も新聞報道でこのことを初めて知ったわけです。教育委員会でも文教委員会でも審議すべき議題ではなく、報告事項として報告されただけでしたが、教育委員も与党の文教委員もほとんど全員が批判的でした。さらに都教委からもストップがかかったのを、「学校教育外」と無理やりこじつけて強引に実施したわけです。 O:一般の保護者として思うのは、メディア(での露出)がすごいですよね。それはそれなんですけど、子どもたちの顔がアップで映りますよね。あの女の子たちは「夜スペ」で、夜9時半に終わるということも全国に知らしめているわけです。これだけいろいろ事件があって、それをやっていいのかと思います。子どものこと考えてるのかなと非常に疑問に思います。子どもを大事にするのであれば、取材の仕方を考えるべきだと思います。 発言がひと段落すると、記者から「申立人の中には和田中の保護者が入っているのですか?」と質問が出ました。 W:入っていません。いま、子どもを通わせていると、なかなか声はあげられないですね。それは和田中でない他の区立中学の保護者も同じです。『内申に響くから、賛同するけれども名前は出せない』と言われました。それで、カンパだけ下さった方も多くおられます。 O:和田中の大多数の雰囲気は、いまの改革流行りで、教育の方でも新しい何かをやってほしい、何でもいいからやってみろ、という雰囲気があって、やってみて判断するという感じだと思います。ただ、数人の子どもだけとか、テレビに顔を出すこともかまわないとか、疑問があるし、でも改革はどんどんやっていくというそのアンバランスなところに無理があるんじゃないか、と思います。反対意見が出ないのは、とにかくやってもらわなければわからない、というところがあると思います。 T:教師からの評価は全くありません。調べたら分かりますけど、あの学校に行きたくないという人と、あの学校から出たいという人が、多くいます。校長だけが目立って、何かやっているふうに見えますけど、あれが学校なんでしょうか? 校長は全部のクラスは見られません。彼は民間人としてマネージメントに来たのです。それが、公教育を振興させるのではなく塾に丸投げしたといえます。また、地元の町会長が新聞に投書していますが、地域と学校が一体になって一生懸命やろうとしているのに、地域を壊しているじゃないかという怒りがあります。こうしたことが、あまりにも一般に知られなさすぎます。われわれは地元にいますから、隠していることが全部、分かるわけです。だから、このギャップをこのままにしておきたくない、と思っているのです。 |