特集ワイド:いかがなものか 「原発」争点にならない自民党総裁選
毎日新聞 2012年09月24日 東京夕刊
自民党は次期衆院選の政権公約案で「10年以内に新たなエネルギーの安定供給構造を構築する」とし、総裁選の候補者たちもそう主張しているようだが、国民はもう十分に考えた。なぜまた10年も考えなければならないのか。
浜岡原発を停止させたのは首相官邸の力だった。官僚が自ら体質を変えられないなら政治の力に期待したいのだが、次期首相になる可能性のある人たちが国民の方を向いていないのは、お寒い限りだ。
◇過去の反省ない証拠だ−−衆院議員・亀井静香さん
これだけの規模の原発事故が起きた後にもかかわらず、総裁選でどの候補からも脱原発についての深い言及がないのは、口では謝罪をしても、これまで自民党が進めてきた原発推進政策への反省がない表れだ。米スリーマイル島事故、旧ソ連のチェルノブイリ事故を対岸の火事のように見ていた。電力需給や経済成長を原発継続の理由にあげている候補が多いが、原発依存が危険であることがわかった以上、それらは理由にならない。
そうはいってももちろん、私自身にも責任はある。自民党時代には政調会長を務め、また派閥を率いてきた。にもかかわらず、地震国の日本に設置されている原発の危険性を直視しようとしなかった。これについては、申し訳ないと思っている。
私は03年に総裁選に立候補して小泉純一郎元首相に敗れたが、今回の総裁選はその時とは事情が異なる。現在の自民党は3年前の政権交代で野党になって以降、国民の信を失ったままだという点だ。ボロボロの状態のままだといってもいい。自民党は結局、経済至上主義から抜け出せておらず、それは野党になっても何も変わっていない。そのことに全く気付いていないように見える。