特集ワイド:いかがなものか 「原発」争点にならない自民党総裁選

毎日新聞 2012年09月24日 東京夕刊

 一方の民主党は「2030年代に原発稼働ゼロ」の閣議決定を朝令暮改で見送った。方丈記の「古きは廃れ、新しきは成らず」という言葉のようです。「古き」は民主党、「新しき」は自民党。ゼロを口にはするが言葉があまりに軽い民主党と、そもそも言葉にしない自民党。これでは脱原発は「成らず」です。

 「(事故が)もう一発来ないと、この国は分からないのか」という思いです。

 ◇「ゼロ」の民意、見ていない−−科学史家・吉岡斉さん

吉岡斉さん=阿部周一撮影
吉岡斉さん=阿部周一撮影

 総裁選の候補全員が「原発ゼロ」に否定的というのは非常に残念な状況だ。口々に「今それを言うのは無責任」と主張しているが、そういう発言自体、圧倒的に多くの人々の民意を無視したものの言い方だ。他候補との差別化を図れば票に結びつくと思うのだが、なぜ「脱原発」の推進を政治的キャンペーンに利用する候補が現れないのだろうか。

 自民党が原発維持から転換できない背景には、経済産業省の巻き返しがあると思う。経産省は福島第1原発事故後も「即時・無条件・全面再稼働」の姿勢を譲らなかった。既得権益を守りたいという両者の思惑が合致し、硬直した対応につながっている。

 民主党政権がトーンダウンして「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指すとした「革新的エネルギー・環境戦略」を閣議決定しなかったのも、やはり経産省の影響があるだろう。しかし、この戦略は政府が意見聴取会を開き、パブリックコメントを募るなどして民意を反映させる「デュープロセス」(適正手続き)を経て決めた方針だ。立法化が実現していないとはいえ、民主党から自民党に政権が移っても簡単に変えられるものではないはずだ。転換するなら、改めて国民の合意を取り付ける必要がある。

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