岩手のニュース

岩手復興の象徴、起業続々 前年比55%増の65件

仕込み作業をする熊谷さん(左)と高橋さん=宮古市大通1丁目の大黒や

 日本政策金融公庫の創業融資を利用した起業が、ことしに入り岩手県内で増えている。起業前か起業1年以内の事業者に対する貸付件数は4〜7月は65件と、前年同期比55%増となった。被災地支援で金利が下がったことが浸透。震災から1年を経てようやく復興の動きが見えたこともあり、一念発起する人が現れ始めたとみられる。

 4〜7月の融資金額も岩手は4億5420万円で、前年同期の2.7倍となった。
 一方、震災直後の昨年4〜6月に前年同期比69%と高い伸びを示した宮城県は159件で35%減だった。
 同公庫盛岡支店によると、同じ被災地でも宮城は復旧の早い大都市・仙台でいち早く起業が急増したのに対し、岩手県は中規模の都市が沿岸部に分散しているため立ち上がりが遅れた。
 盛岡支店国民生活事業の坂口肇融資第2課長は「震災を機に解雇されたり、勤め先の将来に不安を感じたりした人が1年たって決断し始めた。地元のために役立ちたいと起業するという例も多い」と話す。
 宮古市の熊谷充さん(36)は8月、大手宅配会社の地元支店を辞め、板前経験のある元同僚の高橋和仁さん(38)と公庫の融資制度を利用し、市中心部に居酒屋「大黒や」を開店した。
 暗くなった街ににぎわいを取り戻したいと、浸水した靴店を借り受けて改装した。熊谷さんは「復興事業で県外から来ている人にも宮古の魚を食べてほしい。客が楽しんでくれれば、街の活性化になるはず」と意気込む。
 起業を後押しする動きは、岩手県内で続々と生まれている。
 盛岡信金と盛岡市などは8月、1事業者につき最大500万円を投資する「もりおか起業ファンド」を設立。盛岡商工会議所は盛岡市で開いていた「創業塾」を昨年から宮古市でも開いている。盛岡市の被災者支援団体「SAVE IWATE(セーブイワテ)」なども7月、地域課題の解決に向けた起業を目指す人のためのビジネススクールを盛岡市に開講した。
 セーブ・イワテの加藤昭一事務局長は「被災地で生きていくにはなりわいが必要だ。さらに起業のニーズを掘り起こしていかなければならない」と気を引き締める。


2012年09月24日月曜日


Ads by Google

△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS