ランニングしながらケネディ(左)と話し合う闘莉王=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(31)が23日、ストイコビッチ監督への直談判と、主力選手との個人面談でチームを鼓舞した。優勝戦線から大きく後退した広島戦から一夜明けたこの日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターでのミーティングで約10分間も“演説”。練習中も主力数人と話し合いを持った。さらにストイコビッチ監督にも直談判するなど、異例の東奔西走。残り8戦で首位との勝ち点9差となり、逆転優勝へもう1敗もできない状況で、闘将が沈みかけたチームを踏みとどまらせる。
逆転優勝への道筋が限りなくかすむ衝撃的なロスタイム敗戦から一夜明け、闘莉王が動いた。先発組がクールダウン前に行ったミーティング。ストイコビッチ監督が約15分間、プレー面での反省を促した後だった。指名されたわけではなく、闘莉王が自ら切り出した。
「オレたちはもっとやれるはずだ。まず次の試合でそれを証明しよう。次勝たないと始まらない」。約10分間の演説の中で、闘莉王はそうチーム全体を鼓舞したという。さらに玉田、藤本らの名前を挙げ、主力組攻撃陣の奮起を促した。
その後のランニング中にはケネディに歩み寄り、身ぶり手ぶりを交えながら会談。広島戦で2失点に直結するミスを犯したダニエル、そしてダニルソンにも積極的に話し合いを持った。「昨日の負けはいただけない。オレたちは優勝しなきゃいけないチーム。それを覚悟してほしかった」。突然の言葉と行動の意図を、闘莉王は「覚悟」という言葉に集約させた。
その覚悟に、聖域はなかった。練習後にはストイコビッチ監督にも歩み寄り、約5分間、大きく身ぶり手ぶりを交えて直談判した。熱くなった闘莉王をなだめたジュロヴスキーコーチは「特別な話ではない。どうやってここから優勝できるかだ」と説明。闘莉王本人は「監督はオープンな人だから、いろんな話ができる。オレはそういう人好きだよ。もう1回胴上げしてあげたい」と思いを吐露し、わだかまりがないことを強調した。
異例の行動だが、DF阿部は「日本人だと自分が悪者になりたくなくてなかなか言えない。トゥーさんの存在は大きい」と称賛。残り8節からの奇跡へ、これ以上の起爆剤はないはずだ。
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