魚はすべて近眼ですが、一般的に浅海魚は深海魚より視角が発達しているようです。とくにシーバスのように生きた餌を捕食する魚の場合は、獲物を確認して捕獲するために、目がよくなければ生きていけません。 ところで、魚の感覚や行動に大きな関わりをもつ器官であります脳の形についての話しをしましょう。シーバスの脳とクロダイの脳を比較してみますと、面白いことが分かりました。 下にあります図を見ると分かるのですが、嗅葉(しゅうよう)がよく発達していて嗅覚主導型の習性と考えられるクロダイに対して、シーバスの脳は視葉(しよう)がよく発達しております。このことからシーバスは視覚主導型の習性である事がうかがえます。 運動の中枢である小脳冠はどちらも大きい点は、クロダイやシーバスはともに行動が敏捷であることを表しております。 ポイントはクロダイに見られない点ですが、シーバスの場合、上生体(じょうせいたい)が特に発達していることが上げられます。 ところで魚の色彩感覚についてですが、網膜にごく小さい電極を挿入して水平細胞の電位を測定する方法で、ある程度知ることが出来るようです。この実験によれば、シーバスにはかなりの色覚があるとされているようです。 ただしプラグには、シーバスが常食にしている小魚の体色とは大きくかけ離れた、派手なものが少なくなく、意外と好結果を出しているようです。この点ではシーバスに色覚があるという説とは干矛盾してしまいます。 面白いことに、シーバスは動くものには興味を示しますが、餌の小動物でも静止していたり、直線的な等速運動をしているときは襲おうとはしない傾向があります。 このことはシーバスの捕食行動には、視覚以上に側線感覚を含めた聴覚も大きく関与している、という点を証明しているのではないでしょうか? 水中で動く物体は、視覚的な刺激だけではなく、必ず何らかの音を伴います。そして、水中の音は空気中よりはるかに良く伝わるという訳です。 シーバス釣りのヒットルアーの第一要件に動きのよさがあげられているのは、これらの点から良く理解できます。以上のことからシーバスに捕食行動を起こさせるのは、ルアーの色よりむしろ、『動きとそれに伴う音』が重要な要因といえるのではないでしょうか? |