米国は今回のミサイル指針をめぐる交渉でも従来と同様、韓国に対して民間による固体燃料ロケットの開発を認めようとしていないことが、23日までに明らかになった。今回の交渉で米国はロケット技術の軍事用への移転だけでなく、軍用技術の民間移転にも反対しているようだ。
ある韓国政府筋は「宇宙ロケットの開発に当たっては、液体と固体燃料を併用するのが世界的な流れだ。しかし韓国はミサイル指針があるため、液体燃料のロケットにしか依存できない」「米国は韓国が固体ロケット技術を利用し、最終的にICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を目指していると今も疑っているようだ。それが韓国側の強い要求を最後まで拒否する理由ではないか」などと述べた。
液体燃料は長持ちする上に制御もしやすいが、固体燃料に比べて瞬間的な推進力が弱いため、発射の瞬間にどうしても限界が露呈する。そのため宇宙開発を進める各国は、ロケットの一番下にある1段目に液体と固体燃料を併用するケースが多い。
韓米ミサイル指針は固体燃料ロケットについて、総推進力100万ポンド秒(lb/sec)以上のロケットは開発できないよう制限している。これは日本のH2Aロケットが補助ロケットとして使用する小型の固体燃料ロケットのわずか10分の1レベルだ。今年5月の韓国の人工衛星「アリラン3号」の打ち上げには、このH2Aロケットが利用された。この制限の影響で、韓国が開発中の宇宙ロケットの1段目は、全て液体燃料ロケットだ。ロシアから持ち込まれる羅老号の第1段ロケットや、2021年の打ち上げを目指して開発が進められている韓国型ロケットの1段目も、100%液体燃料ロケットが使用される。これに対し米国は、第2次大戦の敗戦国である日本に対しては、ICBMに転用可能な固体燃料ロケットを自由に開発することを認めている。その結果、日本は03年に小惑星探査船「イトカワ」を宇宙に打ち上げ、帰還させることに成功した。
韓国軍は固体燃料ロケットを使った短距離ミサイル(玄武2、射程距離300キロ)をすでに保有している。しかし軍用の固体燃料ロケット技術を民間に転換できないという規定は、今回の交渉でも緩和されなかった。軍が開発した技術という理由のため、平和目的の宇宙ロケットにはこの技術を使えないのだ。ある外交筋は「(戦犯国である)日本には民間による固体燃料ロケット開発を認めておきながら、韓国に対してはこれを認めない理由が非常に気になるところだ」と述べた。