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真正保守政権を構想する~連続フォーラム 西田昌司氏編 3

2012/04/08 18:11

 

 こういうことをやっているんですね。その典型がTPPじゃないですか。

TPP問題

TPPなんてものは皆さんご存知の通り、これは百害あって一利なし。何のプラス面もないです。TPPで言うと、自民党の中でも本当に何度も何度も議論したんですよ、これは。自民党の中でも賛成だと言う方がおられるんですね。ところがそれは殆ど、我々が議論してこれに納得して「違う、これは駄目だ」という事を分かっていただきました。一つはまず賛成を仰る方、一番はね、要するに「アジアの成長を取り入れるんだ」と言うんですよ。「アジアがこれからどんどん大きくなっていくじゃないか。アジアの成長を取り入れるんだ」と言うんだけれども、その一番成長しているのは何処かと言えば、中国ですよね。ところが中国も(TPPに)入ってないんですよ。中国が入ってないのに何でアジアの成長なんだと。その事自体おかしいんですが、それを言うと「いや、これは反中国だから良いんだ」と。つまり「中国をこの枠から追い出して、日米同盟を強化する為の仕組みなんだ」と、こういう話を言われるんで、「一体どちらが真実なのか」と言いたいんですが。

要はこの事は二つの事を意味していましてね、一つはどちらにしましても経済が発展するという事と、それから要は米国、日米同盟。軍事的な意味でですね、米国との同盟関係を強める。この二つの意味で言っていたんだと思うんですけれども、そもそもアジアの発展が日本のプラスで、どんどん日本は良くなるんですか? ならないんですよ。ならないというか要するに、アジアでどんどん物を売っていくと言うんですけれども、元々アジアで一番物を買ってくれている中国が入っていないんだからTPPでそれがどうのこうのという事は、基本的に無いんですが、それよりももっと私が言いたいのは、根本的な考え違いをしてるのは、何でアジアが成長すると日本が儲かるという風に思うのか。

その理由はこう言う事でしょ。アジアで沢山、例えば中国でもベトナムでもいいですよ。そこで沢山物が売れます。だからその売る為に、物をどんどん作って、ここ愛知県で言ったらトヨタでですね、自動車をどんどん作ってそれを輸出します。そうすると貿易で儲かります。こういう意味ですよね。ところが―― 勿論そういう点はあるんでしょうけれども多少は ――しかし多くはそうじゃないんです。というのは、今貿易の、主力は何かっていうと結局は現地生産なんですよ、現地で作る。特にアジアの様な、元々所得が低い国に売る時に、日本の高い人件費で作った物を作っていくと、元々これ割りに合わないんですね。向こうが買うだけの力が無い。ですから向こうで作らなきゃならない、という事になるんですけれども。

それ以前に一寸皆さん方思い出して欲しいんですよ。1985年、今からもう20年以上前ですけどもね。プラザ合意というのがありましたね。これ何かと言うと要するに米国が、「もうどんどんどんどん車や家電製品、輸出してくるのはやめてくれ」と言ったんですよ。これは何故かというと、米国でどんどんどんどん日本製品を買ってしまうから、米国で工場がどんどんどんどん閉鎖されていく訳です。つまり米国の雇用が無くなる。その分日本の雇用が増えている訳ですね。だからその時は日本はどんどんどんどん良かった訳ですよ。

しかしそれがもう駄目だという事があのプラザ合意で、米国との間で約束した訳ですね。「もうやめます。その代わり米国で工場を出して作りますから」と、こういう形の約束をしてきたのがあのプラザ合意ですよ。 
これは米国との約束じゃなくて世界中の中でそういう話になっているんですよ。つまり物を売るんだったら現地に来てそこで雇用を作ってやって下さい。つまり日本が一方的に儲かる仕組みなんてのは世界が認めないという話なんですよ。 
ですから現実に現地に工場を建てて、現地で人を雇って、そこで作って売っていくっていう仕組みがずっと出来ている訳ですね、今ね。ですからそういう事がありますから実際問題、関税を撤廃するって言ってもですよ――TPPで――初めから関税は関係ないんですよ。現地で作っているんですから、そもそもね。

ですからTPPをやったら一体幾らGDPが増えるんですかと野田さんに聞いたら、「2.6兆円です」と。日本のGDPが約500兆円ですよ。それが10年で2.6兆円といっているんですよ。そんなもん誤差の範囲内の話でね、増えた事にならないんですよ。正にそういうね、現実に「アジアの成長を取り入れるんです」と言っている野田さんですらですよ、一体幾ら成長を受け入れて伸びるんですかと言えば殆ど0.数パーセント。0.6%とかそれ位の話ですよ、GDPでいうとね。もう意味ない話をしてる訳ですよ。なんでそうなるかというと要するに貿易立国で日本はこの経済が成り立っているんじゃないという現実なんですよ。ここが一番大事なポイントなんですがそれを分からない人が結構居るんですね。ところがこれを、こういう話を自民党の中でも言いましたので、「成る程、確かにそうだな」と。それと余りアジアの成長を取り入れるということ自体、意味がない。

財界は何故TPPに賛成なのか

ただ、財界がですね、応援するのは分かる訳ですよ。財界の方にとっては兎に角どんどん海外投資しやすい仕組みにしてくれたら、自分達の会社が日本の中と違ってもどんどん海外にどんどん進出してですよ、物が売れますよね。そうすると自分達は儲かるじゃないか。企業にとっては別にプラスになるかも知れませんよ、そういう形で。しかし企業のプラスが、企業の利益が国民の利益に必ずしも一致するとは限らない。というよりも経済がこれからグローバルになってくると逆様の現象を起こしている訳ですね。ですから企業は儲かるんですよ。ところが日本の国民は儲からない。それは何故かというと現地でどんどん作れる様にしてくるから結局国内で給料を払わない。国内で雇用を守らない。これが実は一番大きな問題なんです。だからTPPは財界がやってくれというのは分かるけれども我々自民党は絶対駄目だと、この事を自民党の中でも随分これを言って自民党の中の大層はそういう話になった訳です。

ですから一寸話がずれますが今年の1月22日、東京の高輪プリンスホテルで党大会があったんです。その時に財界代表で米倉経団連会長が挨拶する。その時にTPPを是非やってくれと。その時に「TPP反対だ!何言ってんだ」。そういう無礼な野次をした人が居ると言われているんですが、まぁ私なんですがね。

これは何で言ったんだというと、これは(先に)言ってたんですよ、要するに。つまりアカン・いけない理由は今言った様にね、これは財界が言うのは分かりますよ。しかしこれは日本の為にならないんだから。我々自民党の仕事というのは正義の味方じゃなくて日本の味方なんですから。日本の国益、日本人の利益を代表しなければならないんですから財界が幾ら言っても駄目なものは駄目。そういう風にこれはやらないといけないですよ」という事を何度も自民党の中で言いましてね。そこで米倉会長が来るのは分かってて、あの人が(TPP)賛成なのは分かってますから、まずこちらの意向をちゃんと伝えて、「あなた変な挨拶したらとんでも無い事になるからね」、という事で「ちゃんとやっといてくれよ」という話は言ってるんですよ、私は。

ところが言っているのにも拘わらず、我々の党大会の前の日が民主党の大会だったんですね。民主党の大会で同じ様にですね、「TPPやりなさい」という話を言ったそうですよ。そこで野次が出たか出なかったか知りませんがね。そういう話が私の耳にも入ってきましたから「こりゃ駄目か。私達が折角言っているのに、この男は何を考えとんのや」と。もし本当に来たらこれはもう抗議をしなしゃあないなと思ってたんですよ。

そしてその当日ですね。この高輪のプリンスホテル。見てたら大きい会場なんですけれども、こういう発表者の席(目の前の演台を指差す)、段を上がってありますね。その前の、本当その席(すぐ目の前の観客席を指差す)が……私の席だったんです。……偶々ね。 
京都の席がそこだったんですよ。これもね、後ろの方からだったらどうしようか思うんですけど真ん前ですからね。言わざるを得ないと。そこでそういう、まぁ無礼とは知っていますが野次をして…。

というのはですね、要するに来賓に対して野次を飛ばすのは勿論失礼なんです。だからこんな事はすべきじゃありません、褒められたもんじゃありません。しかし問題はそれ位ですね、我々自民党の中はこのTPPに対して問題意識持ってるよ、という事を彼らにも本気で我々はこれを絶対止めるよという事をね、知らせなきゃ駄目なんですよ。要するに我々が本気だという事を示してくということが大事なんです。単に……一番大事なのは単に、要するにアリバイ作りでやってるんじゃないんです。本当に駄目だと思ってるから「駄目だ」と、こう言っている訳でね。それを言わない限りこれは流れちゃうんですよ。だからそういう事を我々が一つ一つやっていく。表面上、賛成反対とかやる話じゃないんです。

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2012/04/08 20:59

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