第二十一回 時代劇を盛り上げるアノ声! 名ナレーター列伝(ペリー荻野)
名時代劇には、名ナレーターあり。忘れられない語り手が数多く登場している。
大御所といえば、忘れてはいけないのが、芥川隆行。ラジオ東京(後のTBS)アナウンサー出身で、TBS系の「水戸黄門」「大岡越前」をはじめ「木枯し紋次郎」「影同心」「三匹が斬る!」「清水次郎長」などなど代表作は数多い。
以前、TBSの後輩にあたる鈴木史朗アナに聴いた話では、「…ご老公は旅立っていった」と、「水戸黄門」毎回の締めくくりの名文は自ら原稿を書いていたという。私は同じ話を「水戸黄門」の第一部脚本を執筆した宮川一郎さんにも聞いている。「はじめは僕が書いていたんだけど、だんだん(芥川さん)あとはよろしくってなっちゃってね(笑)」名脚本家と名ナレーターならではの連携だった。
貫禄充分の声といえば、「暴れん坊将軍」シリーズの若山弦蔵。
その記念すべき第一部第一話のナレーション第一声は、川の浅瀬を水しぶきをあげながら白馬で疾走する吉宗(松平健)の姿にかぶせて、「吉宗評判記 チョンチョン!!(拍子木の音)暴れん坊将軍!」であった。悪い町奉行を成敗した吉宗は、新たに大岡忠相(横内正)を町奉行に任命。そこで若山ボイス「名奉行大岡越前はかくして誕生した」うーん、決まった!
「いつの世にも悪は絶えない…」この声だけで、「鬼平犯科帳」の世界に引き込む中西龍。
元NHKアナで、かの美空ひばりがほれこんだ声ということでもよく知られている。奔放無頼な人柄で知られ、先日、NHK時代、後輩だった草野仁ご本人にインタビューした際、「中西さんは盛り場から出勤したとか、いろいろ武勇伝がありましたが、とにかく楽しい方でした」と聞いた。あの渋い声の持ち主が楽しい方…というのは意外だが、局内でも人気があったらしい。
名優の名ナレーションというのも、お楽しみのひとつ。役所広司主演「八丁堀捕物ばなし」では、長老同心役のいかりや長介が「えー、このころの八丁堀は…」と解説。
ドキュメンタリータッチの大作「天皇の世紀」では、滝沢修がどっしり感たっぷりの語りを聴かせる。藤田まこと主演「剣客商売」シリーズでは、橋爪功が語りだったが、地上波でまもなく放送される北大路欣也主演の「剣客商売」のナレーションはいったい誰が? これも興味深いところ。
「暴れん坊将軍」「鬼平犯科帳」「八丁堀捕物ばなし」「天皇の世紀」「剣客商売」は時代劇専門チャンネルにて7-8月放送!
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