北陸の経済ニュース 【9月7日02時16分更新】

設備投資「薬の富山」に照準 大手ゼネコン、受注拡大に動く
 大手ゼネコンが、富山県の医薬品メーカーからの受注拡大に動いている。清水建設(東 京)は地元の業界団体である県薬業連合会に入会、6日には富山市で医薬セミナーを開催 し、メーカー関係者向けに業界動向や設備施工の自社技術を紹介した。富山県内では今後 も製剤工場や研究施設などの設備投資が増える見込みであり、「薬の富山」を舞台に顧客 開拓の動きが活発化している。

 「富山の医薬品業界の勢いを実感している。発展の一助として設備投資のパートナーに なれるよう努力を重ねています」

 清水建設がANAクラウンプラザホテル富山で開いた医薬セミナー。今木繁行執行役員 北陸支店長はあいさつで、設備の設計から稼働まで一貫して担える技術力を強調し、受注 に意欲をみせた。

 医薬品分野にテーマを絞ったセミナー開催は、全国でも富山のみで、関連メーカーなど 45社約150人が参加した。同社は県内での引き合いが増えており、情報提供を通じて 、新規の顧客開拓や、リニューアル工事などの受注につなげる方針だ。

 実際、会場に展示された施工実績のパネルでは、大手の海外工場などに並んで、日医工 (富山市)、ダイト(同)、陽進堂(同)、救急薬品工業(射水市)など県内メーカーの 工場が紹介されていた。前田研一富山営業所長は「薬関連の受注で言えば、富山は東京、 海外に次ぐ多さだ」と説明する。

 別の大手ゼネコン担当者も富山県での設備投資について「常にアンテナは張っている。 7年前に医薬品製造の完全委受託が解禁されてから、富山はぐんと伸びた。今は後発薬で も見込みがある」と期待を寄せている。

 県によると、2012年以降も医薬品製造に関する県内の設備投資は総額648億円が 予定されており、受注案件の増加が予想される。

 こうした中で、清水建設と、プラント建築の千代田テクノエース(横浜市)は4日、県 内の薬業界の実情をつかむため、県薬業連合会にも入会している。

 ただ、医薬品関連では独特の空調設備などに対応した設計施工能力が必要とされ、設備 投資額も数十億円と規模が大きい。富山県に営業拠点を持つ建設会社の担当者は「受注に は製造技術に対する理解と豊富な経験が必要だ」と指摘する。さらなる受注獲得には、業 界のニーズをいち早く把握し、対応できる技術力が求められそうだ。


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