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保険不適用は不当 初の裁判へ
9月23日 19時24分

保険不適用は不当 初の裁判へ
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シルバー人材センターの会員のお年寄りが、作業中にけがをしても保険が適用されず、全額自己負担になるのは、不当だと訴えて国に対し、初めての裁判を起こすことになりました。
健康保険も労災保険も適用されないこうした会員は、全国に15万人以上いると推計され、専門家は、「行政の縦割りが背景にあり、早急に対策を検討すべきだ」と指摘しています。

訴えを起こすのは、奈良県内の70歳の男性の家族です。
男性は、3年前、シルバー人材センターから委託された木のせんてい作業中に、足の指の骨を折る大けがをしましたが、全国健康保険協会奈良支部からセンターの作業は、「業務」に当たるため、男性が入っている娘の会社の健康保険は適用できないとして、治療費など85万円余りを支払うよう求められたということです。
男性側は、保険の適用が認められないのは不当だと訴えて、今月末にも、国などに対し、初めての裁判を起こすことにしています。
業務中のけがには、一般的に労災保険が適用されますが、シルバー人材センターから委託されて作業を行う会員は、雇用関係にはなく、そもそも労災保険の対象になっていないため、このままでは、かかった治療費を全額、自己負担することになるということです。
全国シルバー人材センター事業協会によりますと、同じように「健康保険」に入っている会員は、全国1300か所にあるシルバー人材センターの中で、15万人以上いると推計され、富山や岐阜などでも、健康保険の適用を認められないケースが相次いでいるということです。
健康保険と労災保険は、それぞれ、旧厚生省と旧労働省にあった別々の局が所管していて、龍谷大学の脇田滋教授は、「背景には、行政の縦割りの弊害がある。厚生労働省は、シルバー人材センターの実態に即して、早急に対策を検討すべきだ」と指摘しています。

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