ニールセン博士のAlertbox

リンクタイトルは行き先が予想できるものに

公開:1998年1月11日付 著者:ニールセン博士

ウェブで最大の問題は、ハイパーテキストリンクをたどる際、どこへ向かっているのかがユーザにわからないということだ。最近になって、ユーザが選択する前に、リンクの短い説明をポップアップ表示できるウェブブラウザが出てきた。こうした説明で、リンクが導く先を予告でき、ユーザのナビゲーションを改善することができる。

このリンク説明のことをリンクタイトルと呼んでいるが、これは簡単にコーディングできる。例えば、私の名前をアンカーにするためのHTMLコードは<A HREF="http://www.useit.com/jakob/" TITLE="著者経歴">となる。私の名前の上にカーソルを置けば、1秒ほどして「著者経歴」という言葉がポップアップするはずだ。リンクタイトルに対応しているブラウザ(ほとんどは未対応)なら、の話だが。

私の名前が何にリンクしているか疑問に思ったユーザに対して「著者経歴」というタイトルをポップアップさせれば、リンク先にどんな種類の情報があるかを知らせることができる。特に、これがEメール送信用の「mailto」リンクではないということを明確にできる。

リンクタイトルのガイドライン

Windows 95とMacintoshとで表示された同じリンクタイトル

最後に注意しておきたいのは、リンクタイトルがあるからといって、リンクタイトル抜きでリンクアンカーやその周辺のテキストを理解可能なようにしておく必要がなくなったわけではないということだ。リンクの意味は、リンクをポイントしないでも理解できるようにしておこう。リンクタイトルは、あくまでも補助情報にとどめておくべきだ。また、この先も当分の間は、リンクタイトルを表示できないブラウザを利用するユーザはなくならないだろう。

リンクタイトルは早期に採用しよう

普通、私は、登場から1年経たない新しいウェブ技術は採用しないようにアドバイスしている。ほとんどの場合、新しいものを採用するということは、自らトラブルを招くようなものだし、古いブラウザを使っているユーザを疎外することにもなる。

リンクタイトルは例外だ。1年待つ必要はない。第一に、これを利用しても、リンクタイトルを表示できないユーザには何の迷惑もかけない(ただし、ガイドラインにしたがって、リンクタイトルなしでも理解できるリンクアンカーにしておくこと)。第二に、リンクタイトルを理解できないブラウザでは、単にそれは無視される。このタイトルは新しいタグでもなければ、ページのレイアウトに影響を及ぼすようなものでもない。リンクタイトルをどう扱おうが、ページの見え方はまったく同じである。唯一の欠点は、モデム接続の典型的なウェブページでみて、ダウンロードに約0.1秒ほど余計な時間がかかるということだ。これは、かなりきついペナルティだが、その価値はある。リンクタイトルを表示できるユーザなら、ナビゲーションのユーザビリティが向上するからだ。

これを書いている時点では、リンクタイトルが見えるユーザは、わずか25%くらいにしかならないだろう。通常なら、この程度では新しいウェブ技術を採用するに足りない。だが、リンクタイトルをページに追加するのはとても簡単だし、古いブラウザのユーザにも何ら危害を加えない。よって、他に先んじてリンクタイトルの利用を開始するというのは、合理的な判断だ。リンクテキストは、(単にページの見え方を派手にするのでなく)実質的にナビゲーションの助けになるウェブの改善としては初めてのものである。ウェブで何かを見つけるというのが、ユーザにとって非常に大きな問題であることは誰もが承知している。となれば、彼らに対してできる限りの助力を惜しむべきではない。

1998年1月11日


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