なぜこんな体験が可能なのか。現実世界のライブ映像は、カメラ映像をHMDに映すだけでよい。ライブ映像かのように映し出された録画映像部分の処理は多少、複雑だ。
録画映像は、360度撮影可能なパノラマカメラで体験者が座る位置から事前に撮影されたもの。改造したHMZ-T2に仕込まれたジャイロセンサーが、カメラの方向、つまり視点を把握し、その視点からの映像をディスプレーに送る。ヘッドホンから流れる録画映像の中の女性の声も、女性の位置によって音像がちゃんと変化するため、よりライブ映像だと錯覚しやすい。
基本的なシステムは、独立行政法人の理化学研究所が開発し、今年6月に発表した「代替現実(SR)システム」がベースとなっている。今回はソニーが理化学研究所の協力を得て独自にコンテンツを作成、エンターテインメント分野への応用を模索した。すでに手応えを感じている。
■「一緒にHMDの未来を作っていけたら」
「正直、不安だったんですけど、皆さん、ちゃんと驚いていただけています。前情報を仕入れずに来ていただいた方も、仕組みを理解している方も、皆さんだまされてしまう。その結果に、我々もちょっと驚いています。手応えはかなりありますね」
「デバイスとしてのビジネス、そして、ソニーが抱えるコンテンツ資産の活用、両面で大きな可能性を感じている。いろいろな可能性がある中で、今回は現実と録画を勘違いするSRをテーマにしましたが、同じような仕組みで、ゲームのような仮想世界を現実のように感じるVR(仮想現実)や、現実世界の映像に仮想のものを溶け込ませるAR(拡張現実)も実現できる」
TGS初日を経た中村マネジャーはこう話した。まだ、改造したプロトタイプ-SRの市販化や、具体的なシステムの商用化が決まっているわけではない。だが、中村マネジャーは「いろんな業界の方に実験の様子や結果を見ていただくことで、一緒にHMDの未来を作っていけたらと思っている。逆にいろんなアイデアをいただきたい」と前向きだ。
中でも、最も応用の可能性があると考えているのが、ゲーム分野。だからこそ、ゲーム業界関係者が集まるTGSという場を選んだ。
■実験が示唆するゲーム専用機の未来
例えば、一人称視点でゲーム中の世界を移動したり、敵と戦ったりするゲーム専用機の人気分野「FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)」は、シナジー効果が高い。現状はコントローラーのスティックで視点を操作するゲームが多いが、今回のシステムを応用すれば、首の向きを変えるだけで視点操作が可能になり、没入感は格段に高まる。
HMDを応用した没入体験。これこそが、ゲーム専用機の未来なのではないだろうか。
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