後半ロスタイムに勝ち越され、試合終了前に引き揚げる名古屋・ストイコビッチ監督=瑞穂陸上競技場で
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名古屋グランパスは首位広島に1−2で敗れた。勝ち点は41のまま。広島は同50で9差となった。2位仙台は神戸に2−1で逆転勝ちし、同48。3位浦和はG大阪に0−5で大敗した。同45のまま。磐田は新潟と0−0で引き分け。鳥栖は柏を3−1で破り、横浜Mは鹿島に2−1で勝った。清水はC大阪に2−3で競り負け、川崎はFC東京を2−1で下した。最下位札幌は大宮に0−5で負けて5連敗。
まるでスロー再生のようにゆっくりとした、悲劇的な放物線だった。後半ロスタイム3分、DF森脇のヘッドは必死に伸ばした楢崎の手をかすめてゴールバーに当たり、無情にネットに吸い込まれた。その直後、ストイコビッチ監督はピッチに背を向けた。持っていたペットボトルをたたきつけると、試合終了を待たずして1人ロッカーへと引き揚げた。優勝がはるかにかすむホイッスルを聞くことも、終了後の森保監督との握手も、指揮官は拒んだ。
是が非でも勝たなければならない一戦だった。勝てば3差、負ければ9差となる首位広島との直接対決。今週は通常よりも綿密な戦術練習を行い、報道陣には具体的な練習内容を報じないよう異例の要請を行った。
ただ、そこまでして隠した奇策は完全に失敗。5バックで守る広島に対して前線に5人を並べる作戦は余計に攻撃のスペースを消してしまい、MF藤本は「練習でやった感じだったけど、あれだけ狭いなかでは難しかった」とうつむいた。
後半は3バックに変更して相手のトップ下2人を抑える手が奏功。ただ、同点に追いつき、勝ち点3を欲して前がかりになった終了間際に、カウンターで陥落した。
「広島は11人で引いて守った上に、ベンチも引いて守っていた」。落ち着きを取り戻して会見に現れたピクシーは相手の守備的な戦術を批判したが、それ以上に「子供じみたミス、プロじゃないプレーだった」と自軍の選手たちへの失望が大きかった。
それでも、会見の最後にはこう言った。「残りの8試合、われわれに選択肢はありますか? それは全部勝つことだけだ。ミラクルを起こせるか、難しいがやろうと思っている」。8連勝フィニッシュ、そしてその先の逆転優勝へ−。ピクシーはまだ、あきらめていない。 (宮崎厚志)
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