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陸自 米海兵隊と初の上陸訓練
9月22日 19時22分

陸自 米海兵隊と初の上陸訓練
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陸上自衛隊は今月、沖縄のアメリカ海兵隊と初めて、グアム島や北マリアナ諸島のテニアン島などで上陸訓練を行っていて、22日、その様子が公開されました。

訓練には、沖縄・九州にある部隊の陸上自衛隊員およそ40人と、沖縄の海兵隊のおよそ2200人が参加していて、このうち18日からグアム島で始まった上陸訓練の様子が、22日、公開されました。
訓練は、離島が攻撃された場合を想定し、小型のボートを使って上陸するもので、現地時間の午前9時すぎ、自衛隊と海兵隊の合わせておよそ60人が、沖合に停泊した艦艇から出発しました。
隊員らを乗せたボートは7隻で、横一線に並んで海上を進み、一斉に砂浜に乗り上げました。
砂浜では、上陸した陸上自衛隊員らが、物陰に身を隠したり、低い姿勢で銃を構えたりしながら前に進み、周辺に相手の部隊がいないか確認するなどしていました。
陸上自衛隊の井藤庸平3等陸佐は、「訓練は特定の国を想定したものではないが、国内では上陸訓練の場所が限られているので、グアム島などを離島の一つと見立てて訓練できるのは意義がある」と話しています。
また、アメリカ海兵隊ボート中隊のトービン・ウォーカー中隊長は、「訓練を通じて日米の信頼関係をさらに深めることができるので、今後も訓練を続けることが大切だ」と話しています。

オスプレイ発着可能の艦艇も参加

訓練に参加した陸上自衛隊のおよそ40人は、先月下旬、沖縄の海兵隊員と共に、沖縄県うるま市のアメリカ軍基地「ホワイト・ビーチ」で、アメリカ海軍の強襲揚陸艦「ボノム・リシャール(4万500トン)」と、揚陸艦「トーテュガ(およそ1万6000トン)」の2隻に乗り込みました。
陸上自衛隊の部隊は、2隻に乗り込んだまま、およそ2000キロ離れた北マリアナ諸島のテニアン島に移動しました。
「ボノム・リシャール」は、ことし4月、長崎県の佐世保基地に配備されたばかりで、甲板を強化するなどの改修が施され、沖縄への配備が計画されている新型輸送機「オスプレイ」の発着艦が可能になっています。
訓練では、この艦艇に指揮所が置かれ、自衛隊と海兵隊の指揮官が、情報を交換しながら、それぞれの部隊に指示を出しています。
この艦艇が所属する部隊のキャサール・オコーナー司令官は、先月の就任式典で「オスプレイの配備により、自衛隊との活動で、より高い能力を発揮できるようになる」と述べています。

日米双方の思惑は

日米両政府は、ことし4月に発表した共同文書で、「動的防衛協力」という新たな考えを打ち出しました。
日米共同での訓練や施設の使用、それに警戒監視を拡大することで、アジア太平洋地域で日米の存在感や能力を示そうというもので、今回の訓練もその一環です。
グアム島や、北マリアナ諸島のテニアン島周辺では、日米共同の訓練場の整備が検討されていて、日本側が費用を負担するかどうかなど、年内に具体的な内容を決めることにしています。
こうした動きの背景には、南西諸島の防衛態勢を強化するため海兵隊のノウハウを吸収したい自衛隊と、国防費の削減を求められるなか、日本の協力を取りつけ、グアム島の戦略拠点としての重要性を高めたいアメリカ軍の、双方の思惑があるとみられます。
さらにアメリカ海兵隊は、ことし4月、南シナ海に面した島でフィリピン軍と上陸訓練を行ったり、先月末からはオーストラリア北部の訓練施設で、オーストラリア軍と合同演習を行ったりしていて、中国が活動を活発化させているアジア太平洋地域で、日本やオーストラリア、それにフィリピンなどとの連携を強めたいというねらいもあるとみられます。

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