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国際
【国際情勢分析 矢板明夫の目】懸念される習時代の日中関係
習氏は太子党仲間を使って、胡主席の対外政策を批判し、対抗したい思惑がある。国内では脆弱(ぜいじゃく)な権力基盤しかもたない習氏が、強い対外路線を打ち出すことで、軍内と保守派の支持を取り付けて求心力を高めようとしている。この傾向は、習政権がスタートする今秋以降、さらに顕著に現れる可能性が大きい。
江氏の反日より厳しく
これまでに中国の指導者の中で、日本に対して最も厳しかったのは、愛国主義教育と称する反日教育を進めた江沢民(こう・たくみん)前国家主席(86)だが、複数の中国人学者に聞いたところ、習氏は江氏よりも厳しくなる可能性が大きいという。
江沢民時代、日本とは歴史問題でぎくしゃくしたが、経済分野での交流拡大にはほとんど影響がなかった。日中関係は大枠でいえば友好的だったといえる。だが、習近平時代になると、日中間の構造的対立がいよいよはっきりして現れそうだ。すでに日本からの中国への投資や貿易額の拡大が頭打ちになる一方、新たな対立軸がいろいろ現れてきている。これまでに日中双方の主な矛盾といえば、歴史認識と台湾問題だったが、近年、尖閣諸島や東シナ海の資源開発問題も浮上した。今後は、知的財産権など経済面の問題や、日米同盟の太平洋地域における軍事演習など軍事面の対立も顕著化する。
江沢民時代に進めていた“反日教育”を受けた世代が大人になり、中国の対日世論もさらに厳しくなりそうだ。対日強硬な中国の新たな指導者とどう向き合うか、日本はしっかりと備える必要がある。(やいた・あきお 中国総局)
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