尖閣諸島をめぐる日中の関係悪化がついにスポーツ界を直撃した。18日に開幕したバドミントンの「ヨネックスオープン」(代々木第一体育館)に参加予定だった中国選手が全員、出場を取りやめたのだ。尖閣諸島国有化の影響とされるが、突然のボイコットはスポーツ精神をないがしろにする「悪質」な行為と見られている。このため“制裁金”は合計1500万円以上、世界大会には“出入り禁止”になる可能性も浮上。さらなる波紋が広がっている。
トップ選手が集まるバドミントンの名門大会を、ロンドン五輪で金メダルを独占した中国選手がドタキャンする異例の事態が起こった。中国からは22選手が出場を予定していたが、先週末になって全員不参加を表明。それも中国バドミントン協会から直接の連絡はなく、世界バドミントン連盟を通して「今の情勢のなかで派遣できない」という判断を伝えてきただけという。
その代償は大きい。バドミントンでは、国際大会「BWFスーパーシリーズ」をケガなどで棄権した場合、罰金が1人(1組)250ドル(約2万円)がかかる。それ以外の理由となると、なんと5000ドル(約40万円)に跳ね上がるという。40万円×22人では、約880万円を払わなければならない。
さらに大会側は、中国選手、スタッフのため大会期間中に都内の高級ホテルを手配済みだった。推定700万円分の損害だが「中国協会側に請求します」(大会関係者)と、当然補てんを求めるという。中国側は実に、合計1500万円以上の“支払い”を要求される可能性があるのだ。
しかも「ここまでのドタキャンなんてする選手、国は今までもありませんよ」(同関係者)とかなり「悪質」と見られている。ロンドン五輪男子サッカーで韓国選手の“竹島メッセージ”が大問題になったように、どの競技団体でも、スポーツは政治利用されてはならない、との認識がある。それだけに、最悪の場合は世界連盟から出場停止処分、世界大会への“出入り禁止”を科せられるという。
中国側はこれだけの“出血”を覚悟してでも、日本に行きたくなかったということか。ただ、スター選手のプレーを楽しみにしていたバドミントンファンに対して、一切の配慮がなかったことは確か。日本協会の今井茂満事務局長は「スポーツにここまで影響するのは残念」と話したが、今後も尾を引きそうだ。