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'12/9/11

ずさん帳簿管理を再審議へ


 呉市の旧交通局で金庫室に保管していた回数券などの金券が帳簿の金額より約1億8千万円足りなかった問題について、市議会産業建設委員会は11日、再度審議する。ずさんな帳簿管理がなぜ長年続いたのか。不正流用の懸念はないのか。疑問点や課題を整理する。

 ▽組織的欠陥

 市は問題発覚後、元交通局の職員19人から聞き取りをした。現存する帳簿や伝票、明細書などと照らし合わせ調査を進めた。

 その結果、回数券などを管理する出納担当者が営業所などへ払い出すごとに帳簿へ記載するルールが守られていなかったことが分かった。数字が合わないと気付きながら放置したり、上司も在庫と帳簿を照合せずに「異常なし」と内部報告していたりしていた。

 監査事務局は毎年定期監査をしていたが、交通局廃止を控えた昨年度を除き、実際に在庫を点検していなかった。

 ▽お粗末ミス乱発

 市の調査で判明した帳簿の誤記載はお粗末の一言に尽きる。帳簿はパソコンの表計算ソフトを使っていたが、例えば1千円のエコ回数券の在庫を翌月の欄に入力する際、1万枚多く記入。これだけで帳簿と在庫で1千万円の食い違いが生じた。

 また2009年5月の帳簿では千円回数券を6千枚増刷したとしているが、伝票を確認するとそんな事実はなかった。このミスで帳簿の金額は在庫より6百万円膨らんだ。ミスは64カ所、積み重ねた誤記載は約1億4千万円分になったという。

 ▽不正の可能性は

 保存年限を過ぎた書類は廃棄されているため、残る約4千万円分は調査不可能だ。金券を持ち出し換金するような行為はなかったのか。市は「不正があったとは考えていない」とする。理由の一つとして「帳簿はとても信用できず、金庫の在庫が正しいと考えざるを得ない」(都市部)と説明する。

 金券は旧交通局庁舎5階金庫室で保管。施錠し扉のそばで職員が勤務しており、誰かが簡単に入れる状態でなかったという。市は、広島県警OBの専門官を通じ市内や広島市の金券ショップを調べたが、大量に持ち込まれた事実はなかった。

 11日の市議会委員会では監査事務局から資料の提出と市の責任問題が議論される。




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