岩手のニュース

新庁舎構想区にホテル 釜石市、復興計画後手に

箱形の客室を積み上げる工法で建設が進むホテル=釜石市只越町2丁目

 東日本大震災の津波で浸水した岩手県釜石市中心部で建設中のビジネスホテルが、市が復興計画に盛り込んだ新庁舎建設構想エリアにあることが19日分かった。市は7月、中心部を被災市街地復興推進地域に指定し、復興事業の支障となる建築行為を制限。ホテル建設は指定前の6月15日に建築確認を終えており、法的に問題はなく、市は新庁舎構想の見直しを迫られることになる。民間の動きに押され、市の対応は後手に回っている。
 ホテルを建設するのは、金融・不動産大手のオリックス(東京)。民有地を借りて、釜石市の建設会社「山元」に運営を委託する。箱形の客室を積み上げる工期の短い工法を採用。重量鉄骨一部6階建て、シングル客室70室を備え、6月に着工、10月末に完成する。
 オリックスの担当者は「被災地の復興に携わる人たちの宿泊施設が不足している需要に応えたい」と語り、新庁舎構想については「知らなかった」と話している。
 これに対し、市は着工後の7月30日、市議会特別委員会で、予想図を示し新庁舎建設構想を説明。老朽化し、分散する現庁舎の課題を解消するのが狙いで、ホテル建設地には立体駐車場建設をイメージしていた。
 結果的にちぐはぐな対応となり、市内部の調整不足も垣間見える。
 市中心部には土地区画整理事業を導入するが、市の都市計画決定は当初予定より遅れ、11月にずれ込む見通し。定まらないまちづくり計画にしびれを切らし、ほかにも事業所や住宅の自主再建が進み「虫食い状態」になる懸念が出始めている。
 市都市整備推進室は「新庁舎構想は固まったものではなく、見直し中」と釈明するが、「法的に問題なければ、民間開発を止めることはできない。民間の動きに合わせていくが、日々動いている」と計画策定の難しさも訴えている。


2012年09月20日木曜日


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