特集 EMと自然農法

掲載記事:「えむえむ関東56号」より
=EMネット千葉発=


真の「身土不二」をめざして
長生郡一宮町 斉藤繁雄
写真1 斉藤繁雄さん(中央)と奥様
・中国からの研修者
自然農法との出会い
 平成6年、勤め先の上司から「EM」という言葉を初めて聞きました。そして「EMで梨を作ってみないか」と勧められたのです。上司いわく、「EM」で作ると「五寸人参が七寸人参」になるらしいのです。初めは「そんな馬鹿な」と話をいい加減に聞いていましたが、あまりにも熱心に勧めるので、ボカシを買い、生ごみのボカシあえを作り、自家用のナスを栽培してみました。
 すると、今までとは全然違う勢いの良い樹形で、なるなる、霜が降りるまで収穫できました。そして畝間からカボチャが自然に芽が出てきて1本から15個も収穫できるではありませんか。
 この体験でEMは凄いなぁと思い、それから色々と勉強を始めました。中でも共生舎(長生郡長南町)という所で、月に一度夜、自然農法を主にEMの勉強会が開催されており、約2年間天野先生と伊藤先生からEMについて色々教わり、農業にEMを活用するようになりました。


写真2 カモも飛来する自然農法田
慣行農法から自然農法へ
 水稲は、自然農法(有機無農薬)に切り替え8年目となりますが、田んぼにはイトミミズ・エラミミズ・ミジンコ・ユスリカの幼虫などの小生物が多く発生しています、また鴨・シラサギ・ツバメが慣行栽培の田んぼに比べ極端に多く、自然農法の素晴らしさを語っているようです。
 除草技術はまだ100%確立していませんが、毎年不安と期待で良い緊張感があります。ポット育苗で坪当たり33株と粗植で栽培していますが、収量は近隣の慣行農法の方に比べ、最初の3年位は減収しましたが、今では寧ろ上回っているくらいで、特に異常気象の年は自然農法の威力を発揮しているようです。 梨については、有機減農薬(農薬散布10回以内)栽培ですが、EM(100倍活性液・U型ボカシ等)を使用してから、糖度そのものは大して上がった訳ではない(11〜13度)のに、甘くて美味しいとのお客さんの評価、うまく言えませんが、確かに味が濃くなった気がします。
 また、昨年後半の異常気象で「豊水」にウルミ(果肉が蜜状になる)が多く発生し、共済組合で職員が直接各圃場を巡回して被害状況を確認していた時も、EM農法のお陰で我が園ではほとんど被害がありませんでした。
写真3 直売所「身土不二の里」
 そして、こうした生産物は100%自家販売しています。お米は固定客に年間契約により販売。梨は直売所で販売したり宅配も扱っています。今では口コミでお客さんが増え、生産量が不足するほどになりました。
 5年前からは梨園の隅に小さな直売所(身土不二の里)を作り、近隣の農家の方々(10名)と一緒に自家用野菜を週3回販売しています。
自然農法を始めてから、近隣の農家や一般家庭に「生ごみのEM処理」を勧め、その人達と我が家でボカシ作りを行うまでになりましたが、仕込み中色々な話(農業、環境の話題が中心)をすることで、特に非農家の人達と交流が深まりました。最近では我が家からボカシの材料を持って行き、自分で生ごみ用のボカシを作る方が増えました。今後もより多くの方々がボカシを自分で作り、活用して頂けるよう啓蒙活動を続けていきたいです。


写真4 梨狩りを楽しむ消費者
私流・自然農法アイデア
 お米(玄米)の栄養分の90%はヌカに含まれているといわれます。自然農法の米ヌカならば尚の事、捨ててしまうのはあまりにももったいないです。
 自然農法の米ヌカ(新鮮なもの)を焦げないようキツネ色になるまで煎ったら、すり鉢ですったら米ヌカきな粉の出来上がりです。牛乳に入れて飲んだり、みそ汁やスープに入れたり、ハンバーグやカレーに入れたり、ご飯にかけてもいいですね。是非色々なアイデアでヌカを食べてみてはいかがでしょうか。皆さんが思っているより遥かに「甘くて美味しい」ですよ。
 現在は勤めと農業の二足草鞋で時間的に制約がありますが、二年後には定年です。定年後は帰農予定で、時間にもある程度余裕ができますので、EM然農法に更なる磨きをかけ、旬の農産物を地域の消費者へ提供する、真の「身土不二」を目指すと共に、直売所を中心にEMの活用について地域普及に励みたいと思います。
以上

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