特集 EMと自然農法

掲載記事:「えむえむ関東49号」より


アトピーの子供たちに自然農法米を!
埼玉県比企郡川島町「白井沼地区」 小久保吉男さんを訪ねて
はじめに
 訪問した日は丁度「エコライフ川島生ゴミリサイクルの会」で「畑、田圃でつくるEMボカシづくり」の実践学習中。小久保さんを含む16名が畑を前に爽やかな5月の風を受けているところでした。
忙しい中、早速小久保さんに自然農法米を作って数年経つ田圃を案内してもらい、EM自然農法の米づくりについてお話をお伺いしました。
畑と田圃を会場にEMボカシつくり学習会
地区の概要
 川島町「白井沼地区」は代々、先祖の土地を守る意識が強いというか、田圃での稲作への愛着が強く、殆ど休耕地がない地区とのこと。
小久保さんの田圃は全部で作付面積96a。そのうちのレンゲ米田圃34aを案内していただいた。
レンゲの花を咲かせて、自然農法を始めて数年経ち、EMボカシの投入やEM発酵液で取り組み、EMでの自然農法での米づくりに切り替えて約4年経過。

自然農法に取り組むようになった経緯

自然農法に取り組むようになったいきさつはお米アレルギーのお孫さんや、繭玉ひとつの量のご飯も食べられない子供たちに無化学肥料で農薬消毒は一切しない、痒くならない、安心して食べられるご飯を食べさせてやりたいとの強い思いであったとのこと。

小久保さんとEM自然農法田圃
慣行農法から自然農法になってからの変化
しかし、先代の慣行農法から自然農法に切り替えた当初は、収穫量が半減、品質も低下。「おかしなことして、・・・それ見たことか」と総スカン、批判を受けた。それでもめげずに続け、3年で量的には見事回復させた。
自然農法にした当初は、消毒はしないは、田圃に変なものは入れるは、川からとったザリガニや小動物も一緒に入れる(自然の除草の役目をしてくれる)は、何をやっているのかと冷ややかに眺めていた友人たちも、違いに興味を示し、次第に理解を示してくれ、草によっては防虫効果になるので、いつまでも草ボウボウにしていると、さらに興味を持って見ている。
一番の勇気は草を刈らない勇気だった。
最近では、隣接する田圃の持主も、接する範囲は除草剤もまかないで残しておいてくれるようになった。友人はありがたいとつくづく思っている。
もともと微生物を使用して、土壌改良していた。そばを流れる川の泥で作物を作れば、完全なる無肥料、自然農法。ドラム缶に100L分のヘドロを採ってきて、ナス1本植えれば何も肥料をやらなくても60や100個は、楽に作れる。川をせきとめてその泥に稲を植えれば、一切無肥料の米が出来る。泥のなかの微生物、栄養分で充分米が出来る。それと同じことがEMで出来た。という興味ある話を聞かせてもらいました。
まわりは、すでにうねってあり、水が張られている田圃もある。6月に入ってから田植えの予定をしているが近所の方々も興味を持って見ているようです。

自然農法米の販路
販路はすべて自主流通。子供がアトピーで困っている人たちが学校や病院で話を聞き、口コミで広がり、食物アトピー(特に米)で悩んでいる人への供給が全て。

これからの展開と課題、夢など
 過去に失敗した体験を基に、さらに昨年の経験を生かして、EMでの除草に取り組み成功させたい。少なくとも雑草が伸びなければと考えている。
EM自然農法を現状の田圃にあった方法を考え、今までの方法にプラスして新しく試し、チャレンジしたいことがある。とのこと。
EMと出会う前に元々微生物を使って自然農法をしていたが、比嘉教授の話を聞いて好気性と嫌気性の微生物が同居している微生物群があるとは信じていなかった。とにかく比嘉先生が言うようにEMは正式な教育では教えていない。今までの学んだことをすべて捨てようと考え、白紙(無)になって取り組んだ。
穴を掘って生ごみボカシ堆肥を入れ南瓜を作ったら、一昨々年は直径110cm、一昨年は100cmの南瓜西瓜が出来た。今年は出来た南瓜をお正月まで味を変えずに保存する方法に挑戦したいと思っている。
とにかくEMの成果の素晴らしさを実感している。
今年は、目標10a当たりプラス1俵を!と、一人でも多くのアトピーの人に食べて貰いたいと目を輝かして語る言葉に、聞いているこちらの方もワクワクしてくる気がして、EMの良い波動が伝わってくる感じがしました。

環境への取り組み
 田圃の側を流れる川が浄化され、蛍が帰ってきた話も同時に聞かせてもらいました。
EM田圃の水を抜き、川へ流し込んだら、流し込んだ岸に反対側に比べて、10倍位タニシが増え、タナゴが住みつき、アメンボは勿論、ナマズ、そしてメダカが群れをなして見られるようになり、夏には水口(みなくち;田に水を引く水の入り口。)の下流で蛍が飛び交うまでになった。
大きなメダカが住みつくようになったことがその道の商売人に伝わり、漁に来て、岸辺が荒らされてしまうなどの被害が出て困ったとのこと。その後、上流で護岸工事がされ、元に戻ってしまった。
さらに、環境浄化をしている友人の話と合わせて、河川の浄化のポイントを教えていただきました。
EMでの河川浄化に初めて取り組む場合は
@ 川の構造を知ること
A 適当によどみがある場所があること
B 川面に垂れている草木(柳など)があること
C その場所のヘドロを乾燥させてEMダンゴを作って投入することが早道である。
などのアドバイスをいただいた。
現在、引越ししたばかりの家の前を流れるヘドロのたまった川にわざわざ

浄化に取り組んでいる家の前の川
鯉を入れ、鯉の住家の床つくりによって、ヘドロをなくす浄化活動も始めておられる。

食物のアトピーで困っている子供に、食べても、決してかゆくならない無化学肥料、無農薬の安全で、美味しいEMでの自然農法米つくりに・・・
さらにEMでの環境浄化にも常に前向きに取り組まれている小久保さんの思いに熱いものを感じ、レンゲ畑からふいてくる爽やかな五月の風を、心地良く体一杯に感じた一日でした。
そして、収穫の頃の取材を又、是非ともお願いしたいと思いました。

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