特集 有機JAS認証農家紹介

掲載記事:「えむえむ関東42号」より


環境保全と人々の健康増進に寄与する農業のとりくみ

佐原自然農法研究会

比嘉先生とご指導をうけた
篠原守さん御夫妻
EMネットちばの役員(理事)篠塚守さんは、本年2月23日・24日開催された第7回自然農法・EM技術交流会横浜大会の、水稲の部で発表され、その技術は全国トップレベルです。
ネット会員の皆様には、毎年秋に開催する「梨狩りと新米を食べようの会」でお世話になっている篠塚守さんを紹介します。先ず、取得されました有機JASの認定証の内容をお知らせします。

認定番号 AFASEQ-AA-011001
認定日 2001年10月31日
所属グループ名 佐原自然農法研究会 会長 篠塚 守
住所 千葉県佐原市多田596-1
電話番号 0478-57-1203
FAX番号 0478-57-1189
E mailアドレス Sinofol1@proof.ocn.ne.jp
有機栽培開始年 平成6年
有機JAS認定農産物名
出荷先 直売・宅配「大地を守る会」
栽培方法の特徴 除草対策として深水管理を基本としている。育土に自家製EMボカシ(米ヌカ3、魚粉1、油カス1にかに殻とくん炭を使って6ヶ月間嫌気発酵させる)を施用する。雑草制御にEMボカシぺレット、液状ボカシを使用し効果をあげている。

有機JAS認定を何故取ろうとしたのか
平成6年より、EM自然農法を始め、少しずつ面積を広げ、平成9年より約5haの水田と50aの梨園で栽培してきました。
米も梨も年1作しか収穫できないので、専業農家にとって失敗は許されません。しかし当初は梨において黒星病で全滅状態の年もあり、苦労の連続でした。平成12年4月に日本農林規格表示法(JAS法)が実施されまし
た。それまでニセの有機農産物がまかり通り、真剣に自然農法に取り組んでいる農家にとって疎ましいものでした。未だに大企業自らが肉や農産物にニセの表示、産地、賞味期限の改ざんをし、大きな社会問題になっていることは残念としか言いようがありません。
その点、有機JAS法は認定機関が第三者機関なので、生産者との利害関係が無く、中
立の立場で客観的な認証を行なうことで、消費者の皆様に大きな信用を得ることができます。
篠塚さん自身、認証に第三者が入ることで、今迄やってきた農業が生かされると思い、また主要販売先の「大地を守る会」からの要望もあり、認証を受けたわけです。現在、佐原自然農法研究会の水稲メンバー18名のうち、6名がJAS認定を受けました。

【佐原自然農法研究会の環境方針】
地球環境の危機が認識されて久しい。
私たちは、農業が自然破壊の大きな要因である事を自覚している。
原材料の調達から廃棄に至る、各ライフサイクルの環境負荷を、できる限り削減すると共に、生物学的環境を最大限活用することによつで、環境保全と人々の健康増進に資したいと考える。
従って、農業に対する環境法規制及び組織が同意する約束・基準を遵守するだけでなく、以下の諸努力を行なう。
 1,景観、快適、心地よさ、生物的多様性の保全
 2,化学肥料・農薬をはじめとする化学物質使用削減による土壌・水質・大気汚染の防止
 3,東京湾を守る人だちと共に″あおさ″の肥料化の利用研究
 4,エネルギー使用量の削減
 5.廃棄物の削減
 6,調達先の環境活動の考慮と、出荷先の環境活動への協力
また更に、営農活動を定期的に監視し、見直しすることによって、継続的改善に努める。

栽培技術の実際
有機栽培米の 場
水稲の一番の問題点は、雑草対策です。これをクリアすれば稲作の有機栽培は90%完成と言えます。
篠塚さんの水田は28枚もあり、水もちの良い所、悪い所があり、水管理には最も気を使い、水管理が不十分だと、コナギの大発生があります。雑草をいかに出さないようにするか、深水管理(15cmくらい)が基本です。秋の刈取後、ボカシを散布しておくと、微生物が多く発生し、小動物も増え、カモなど水鳥が沢山飛来します。水面に緑色の藻が発生して、水田の表面がトロトロになります。このような水田は、不耕起でも稲作が出来ます。
冬場に水を貯めることのできない水田は、春2回代かきを行ないます。これは1回目で発生する雑草の芽を防ぎ、2回目の浅めの代かきでとりのぞきます。そして木酢液を10a当たり2.5ャの原液で散き、米ぬかボカシペレット50kg、屑大豆40kgを施用し、深水にします。これで一応万全ですが、自然との戦いで、毎年試行錯誤を繰り返しています。
病害虫は特に問題はないが、カメムシにはEM5号(ストチュー)にニームの葉と実を入れてEMで発酵させ散布しています。
消費者との交流田植え

これからの展望
佐原まつりなど
地域との交流もさかんに実施
今の農業は、水田や畑、又果樹、加工品に至るまで農薬・化学肥料の多投で環境の悪化が著しく、既に地球は病んでおり、EM技術の浸透が急務であると考えます。
佐原自然農法研究会では、会員を増やし、すべての農産物が有機栽培にすべく努力しています。
そのために、消費者の方の農業に対する理解と消費者に安全な農産物を供給することが重要です。消費者と生産者(農家)の交流の場を作り、実際に農業の現場をみて、意見や要望をお互いに話し合い、信頼関係を築くことこそ有機農業を育てていく基礎となります。篠塚さんはお米の他、梨、味噌、餅、発芽玄米を生産されています。価格的には少々高めですが、すべて手作りで、信頼に基づいた安全でおいしい農作物は年々販売額が伸びているのも当然と言えましょう。
これからも、共存共栄の社会で消費者との信頼関係を裏切らないよう自然と調和のとれたEM自然農法を推進することを力強く約束されています。
章食品営業許可も取り自家製み
その販売、赤米発芽玄米にも取り組む
(平成14年3月取材)

味噌にはNPO法人関東EM普及協会の
すいせんシール(EM活用二次製品)
も活用している


みじかなEM情報TOPページへ