特集 EMと生ごみ堆肥化事業

掲載記事:「えむえむ関東45号」より


生ごみ資源化で町おこし 循環型社会の構築

特定非営利活動法人なんぶ農援隊理事長 鈴木俊輔

なんぶ農援隊の発足
給食センターなどの事業所
8ヶ所の生ごみを月4t回収
NPOなんぶ農援隊は、4年前に発足した環境の会なんぶ(全町の一割強、220世帯・530人が加入)の活動の中で、EM(有用微生物群)を利用した生ごみの資源化に取り組む実戦部隊として、平成13年10月60名の参加で結成されました。結成にこぎ着けるまでには、先進地への視察・行政への協力要請・システム・プランの作成・小規模実験・研究会・諸講習会への参加研修・資金計画・土地・施設・機械・運搬車輌の確保と、解決しなければならない問題が山ほどあり、NPO法人の認証手続きも自分達の力で行いました。暮れも迫った12月26日・県の認証がおり、28日登記が完了しました。

なんぶ農援隊のめざすところ
回収した生ごみをぼかしやおからなどで水分調整して粉砕しタンクに入れ熟成させ、実践田や畑で使ったり、にわとりを飼育している。
なんぶ農援隊は、@環境保全A町づくり推進B保険・・医療・福祉の増進 を活動の目標として設立しました。現在、専従で活動に参加している3名を中心に、半専従1名、隊員の協力で、業務店を対象に月3〜3.5tの生ごみをEMの発酵を利用して、土壌改良材・発酵飼料への資源化処理を行っています。実験農場(2反)では、無化学肥料・無農薬でEM土壌改良材とEM発酵鶏糞を使用した自然農法による、特産品づくりに取り組んでいます。昨年、中富町特産の粒の大きい、「曙」大豆の種を使用し本家をしのぐさらに粒が大きく、柔らかく、煮崩れしない、糖度の高いものができました。収量も通常の2倍、未熟も少なく、虫食いも余リありませんでした。『EMなんぶ大豆』と命名し、今年は町民の皆さんに呼び掛け、EM農法による栽培と収穫の5%をなんぶ農援隊にいただけることを条件に、種を無償でお分けして特産品化に向けて動き始めました。

粉砕後タンクに入れて塾生
近い将来、この大豆と自然塩による、古式製法の味噌と豆腐が造られる予定です。パセリも香りがあるがエゴ味のない、噛んでいると甘みのある、しなやかで日持ちのよいものができています。ネギも刺身と一緒に食べるのに適したいいものができました。米・花・ヤーコンを加えて、南部特産のEM農産物として、集荷・賑売にもかかわっていきたいと計画しています。
また、発酵飼料を使って、平飼・自然飼育の有性卵の生産も始めています。現在90羽の鳥が産卵し、M・L卵が主ですが92〜98gもある3L卵も生まれています。南部町では過去に、ブロイラー業者が工場を建て、ゲージ飼を町内に広めていた時期があり、臭い・うるさい・もうからない・蝿が多いというイメージが強く残っていて、地域住民の理解を得るということで大変苦労をしました。少しづつ誠意を持って、私たもの飼育法と町起こし、安全な卵の普及、循環型社会の構築という大きな目的をご理解いただきながら、ひとつの段階として1000羽飼育の目標を達成しました。ちらほらとですが、自分の家の鶏に使ってみたいと発酵飼料を買いに来る方、農援隊の飼育法でやってみたいという方もでてきました。食材の安全性が
混ざり物がない質のよいものは、
発酵飼料として蘇生卵を生産している
問題となっている昨今ですが、卵も大量生産で薬漬け、色も栄養も添加された安い卵が出回っております。平飼い・放し飼い・発酵飼料飼育などブランド卵は、毎日食べるには一般庶民には手のでない値段だったりします。農援隊が目指すところは、庶民が毎日食べられる価格で、安全で、鶏舎は、臭くなく、蝿のいない、活力のある卵づくりを広め、町の特産品としていき、活力ある町づくりにつなげることです。こうした願いを込めて、『EM活力玉子・蘇生卵』と名付けました。またこの卵は、卵アレルギーの子供も食べられる卵で、お母さんたちにはとても喜ばれ、農援隊では優先的に提供しています。将来生産量が増えてきたら、学校給食などで利用しでいただければと考えています。

発酵堆肥をつかって質の良い大豆
「曙」を生産
全町の生ごみを資源化するためには
生ごみの回収量も鶏の成長とともに、現在の3〜4倍に増やしていかなければなりませんが、農援隊の最終目標である、町内の生ごみのすべてを資源化するということを実現するためには、行政の協力と町民の意識改革無しには達成できません。来年は、環境の会なんぶの会員を軸としたモデル地区を設定して、一般住民の生ごみゴミ収集についてのマニュアルづくリを始めたいとおもっています。

行政・住民・企業・NPOの協働
20世紀は、経済の成長『豊で便利で快適な』生活を求め続け、走り続けた時代でしたが、中央集権・地方の過疎が強まり、住民はその見返りを求め、行政要求としで行政にサービスを求め、行政も行政の都合で住民組織を利用するといり持たれ合いが当たり前になってしまいました。そうした中で、自然の環境が壊れ始め、生物の生存の危機が懸念されるようになりました。21世紀は、まずこうした20世紀のつけをまず支払なければならないとおもいます。スローフード・スローライフが唱えられるようになり、実行する人もふえ始めています。地方分権が中央・地方で論議されていますが、地方分権は住民の自律そして、行政の在り方の転換無しには実現不可能とおもいます。住民の自立した活力を引き出し、行政がそのための政策・システムづくり・財政措置を立てる、そして、住民と行政のパートナーシップをつなぐ役割を様々な分野のNPOが果たしていく。こうした役割分担をそれぞれが意識していかなければ、自然破壊・地球環境の破滅を逃れることはできないということが、だれの目にもはっきりとわかる時がすぐにやってくるとおもいます。

大きな成果で環境の浄化に期待が高まる

25万円でてづくりした貯湯タンク利用の800Pの活性装置
こうしたなかで農援隊では、峡南衛生組合のゴミ焼却施設にEM活性液を利用して防臭・防虫をする事業に取り組んでいます。また、南部町商店街の下水の悪臭を無くす商工会の環境活動に協力して活動しています。
低コストで、高い効果を上げるためには、精度の高い活性液製造機と技術が要求されます。私たちは、販売されている製造機は、200ャで100万円以上の価格で、購入はできませんでした。そこで中古の800ャ貯湯タンクを利用して、工夫を重ね、安い費用で自動制御装置のついた製造機を自前でつくりました。製造方法・技術面も研究を続けた結果、精度の高い活性液を安価で製造できるようになりました。低コスト化は、普及に大いに役立つことになりました。ほとんどのゴミ焼却施設では殺虫剤・防臭剤を頭上から散布する方法が採られ、たいした効果がなく健康が心配される現状にあります。この施設も同様でした。EM活性液を撒布して30分ほどで悪臭は急激に緩和され、2週間経つ頃には、蝿がいなくなり・焼却施設がさわやかな室気に包まれるようになり、現場の作業員の方に大変感謝されています。
商店街の下水も、梅雨を迎えて、いつもの年ですと悪臭に悩まされる時期ですが、今年は余り臭くないと喜ばれています。こうした成果が、TVニュースで報道される中で、県内のゴミ焼却施設や他町でも下水の悪臭について、相談・問い合わせ・見にきて欲しいとの要請がくるようになり、対応に忙しい状態です。可能な限り協力していきたいと体制を整えています。

里山化計画も実行に
行政をはじめ地域のEM普及に貢献した比嘉教授講演会。NHKのニュースでも報道された。
南部町も中山間地域にあり、鹿、猪、猿、熊などの獣害に悩まされています。山の天辺から人家の脇まで杉・檜を植林した結果であることは明らかです。環境の会なんぶと協働して、人家近くの里山化にも取り組み始めました。会員の持っていた杉・檜の山、約700坪ほどですが、杉・檜を伐採して富士桜・緋寒桜・ブナ・紅葉・クヌギ・椎・椿などの、広葉落葉樹の森にしていきます。その中で、自分のところも里山化しようという動きが出てきてました。山奥に実のなる木を植え、中間の杉・檜の植林地も極力混植林とし、人家近くは広葉落葉樹林とすれば、獣害に悩まされることも少なくなり、景観も美しい山里になることを実践の中で、提起していきたいと考えています。

田舎暮らし支援で活力ある町づくリ
田舎で育って都会向きの人もいます。都会では田舎で生活することを望んでいる人が大勢います。なんぶ農援隊は、近い将来田舎で暮らしたい人が体験生活できるシステムを作っていきたいと考えています。本当に住めると確信した人には、できる限りの応援もしていきます。
このような思いのなかで、元気があり、環境を大切にして、一人一人が自立して、町の経営に参加して活力あふれる町づくりの基盤作りに頑張っています。


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