実効上げつつある
湘南 茅ヶ崎市に於ける河川水質浄化実験
1、はじめに

写真1 |
湘南の神奈川県茅ヶ崎市は、昨年4月から政令市、中核市に次ぐ特例市となった、人口22万6千人余りの都市である。この茅ヶ崎市では、平成13年からEM活性液による市内中央部を流れる河川の水質浄化実験を行っている。その後この状況を確認した茅ヶ崎中央ロータリクラブでは、自分達も環境改善に貢献したいとして、市役所と協働で河川の水質浄化作戦を展開した。又、最近では、市立小学校が総合学習の一環としてEM土団子を作り川に投入すると言う運動に発展して来た。これらの状況の概要を報告する。
2、「千ノ川」の水質浄化実験

写真2 |
「千ノ川」は市内中央部を流れ約6km下流で他の川と合流し相模湾に流れる。上流域に於いては市街化調整区域が有り、下水路として利用されているため生活排水等が流入し、汚染度が高くなっている。又、農閑期は水量が特に少なく鯉が居ても背ビレが見える程度で、悪臭とユスリ蚊の苦情が絶えない状況であった。河川管理担当部署では他県でのEMでの河川の水質浄化の情報を得、検討の結果、「千ノ川」でも実験に取り組むことになった。EMの住処としてEMXセラミックスと木炭を川底に設置し、平成13年7月からEM活性液の投入を開始した。投入は出来る限り源流からとの考えから上流及び河川に流入する各支流からも行なった。(写真1、2)
この結果

写真3 |
3ヵ月後の10月には透明度も上がり川一面に小さなボラの子の大群が確認された(写真3)。その後も平成14年15年と継続して投入、常に魚や多くの鳥も姿を見せるようになっている。
又、住民からの悪臭やユスリ蚊の苦情も皆無となっているそうだ。
市役所での定期的な水質確認データの内、BOD(生物科学的酸素要求量)は、河川の基準はクリアしていないが、当初の半分程度を維持している。常時生活排水が流入している現状ではこの程度も止むを得ないか
(グラフ1)
グラフ1 |
EM活性液は、当初1tタンク1基で培養していたが、その後は2基に増やし、「千ノ川」流域以外の多くの小川にも定期的に投入し環境改善に役立てられている。
3、小学生が総合的な学習の時間で「千ノ川の浄化」
●EMによる環境学習

写真4 |
千ノ川」沿いにある市立円蔵小学校 では、総合学習の中に環境問題を取り入れている。その一環として、昨年1月23日に5年生(3クラス)及び6年生(3クラス)全員がそれぞれEMについて勉強した。小中学生にEMについて多くの授業をして来られた東京「大田区の小学校教諭による“微生物の基礎”、地元のEM実践者による“EMの活用状況”、市役所職員による“「千ノ川」の状況”について、各学年それぞれ一時間づつ講義を受けた。講義中は皆真剣に聞き入り、微生物はバイキンとのイメージが強かったが、EMのような善玉菌とその働きにびっくりし大変参考になったと多くの感想文に記していた。
●EM土団子の「千ノ川」への投入

写真5 |
その時の5年が6年生になり、総合学習の中にEMを更に勉強する班として、5名から成る”EM同好会“が誕生した。これが中心になりその実践活動の一つとして「千ノ川」の浄化にチャレンジすることになった。相手が「千ノ川」であり”EM同好会“のみでは無理であり6年生全員(約90名)で行なうこととなった。11月7日に全員で2時間をかけ、当初5,000個を造る目標が、皆で張りきって約10,000個のEM土団子を造った。2時間もの間、子供達が飽きずに継続できるか先生方も心配しておられたが、粘土が気持ち良いとかワイワイ言いながら時間一杯で見事に全部を仕上げた。校舎の屋上で熟成乾燥させ12日後の11月19日に市役所職員も一緒になって全員で一斉に川への投入を行なった。投入に当たっては、道行く人にも判る様に看板を架けた。製作から投入まで全員活き活きと臨んだ。特に熟成途中EMにより団子の表面が真っ白に成る様をみて皆びっくりするとともにEM君の力に感心したと多くの感想文にあった。今年の春頃には、ヘドロが減少し、水質も更に良くなる事を全員が期待している。今後水質調査班がフォローして行く事になっている。
EM土団子投入に当たっては、山土の調達・運搬、EMボカシ・活性液の作製、又土ねり機の準備など地元の農家や酪農家をはじめ潟Cーエムジャパンの絶大なるご協力のもとに行なわれた。又 瀬戸内海環境会議 村瀬道幸事務局長にも現地で投入場所の選定など多くのご指導を頂いた。
●源流対策
市役所の管理担当部署では、常時家庭排水が流れ込む現状では、各家庭でEMを活用し結果として浄化源が流れ込むように成ればと期待している。この第一段階として先ずは「千ノ川」の流域にある各学校或いは市営のプール等の清掃へのEM活用により学習効果とともに浄化源の役目になることも期待している。
3、松尾川雨水幹線の水質浄化作戦
 写真10 |
「千ノ川」の浄化状況を確認した、茅ヶ崎中央ロータリクラブでは、平成14年から自分達も環境浄化に貢献したいとして、市内浜見平を流れ相模湾に注ぐ「松尾川雨水幹線」の水質浄化をボランテアで行なうこととした。EMの住処としてEMXセラミックスとカキ殻を設置し、毎週100LのEM活性液の投入を行なうこととした。市と協働で川の上流と下流に看板を立てて実行した。このことは地方紙にも大きく取上げられた。 平成14年から15年と2年間継続され、もともと下水道が完備された地域であり見事に基準をクリアするまで水質浄化された。(グラフ2)
4、茅ヶ崎市に於けるその他の活動
茅ヶ崎市では、上記河川の浄化の他に平成14年に茅ヶ崎市役所の前に位置する中央公園の循環式池の青藻対策と水質浄化実験、平成14年15年と市内住宅街の公園や街路樹(桜)での防虫実験など、色々の方向からのEM活用実験も行なわれており今後の成果が期待されている。
又、茅ヶ崎市の担当部署では、全国自治体フェアや比嘉照夫教授の講演会への参加や先進自治体の視察と積極的な情報収集活動も行なわれている。
|