2012.01.21 Saturday 23:01
長光歌子さん関連
2011.01.21 フィギュア高橋選手のコーチ指導 敦賀、中高生ら銀盤上熱中(福井新聞)
＞２０１８年の福井国体に向け、福井県スケート連盟は２１日、バンクーバー冬季五輪フィギュアスケート男子銅メダリスト高橋大輔選手を育てた関西大アイススケート部の長光歌子コーチ（６０）を敦賀市のニューサンピア敦賀に招き、選手育成の研修会を開いた。
2010.05.26 高橋との絆は続く フィギュアコーチ・長光歌子（下）
長光歌子の話し方には、ユーモアが漂う。バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔とのやりとりは、ときに漫才のようだ。
しかしそんな光景は、かつての教え子には信じられないものらしい。「昔はメチャクチャよ。私のコートのガサっという音だけで、子供たちは凍り付いてたみたい」。情熱を持て余した若かりし日の指導。すぐに手が出て、生徒の態度が悪ければ家に帰した。「『練習で泣いて試合で笑え』と自分が言われたことを単純に実践してたのよ。本当によく怒ってた」。長光は恥ずかしそうに振り返る。
転機の１つは1980年代。91年世界選手権に出場した浅沼まりとの出会いだった。誰が見ても才能があるとわかる子をつぶしてはいけない。浅沼がスケート靴で氷をけっても、「（できない）自分に腹を立てているんだ」と我慢した。以前なら、態度の悪さにかっとなったところだが、言葉をぐっと飲み込んだ。「すごい葛藤があったけれど、我慢を覚えた」。それとともに、教え子をじっと観察する目が養われていく。
浅沼のジャンプの才能が生きるよう、海外の振付師に頼った。当時は曲選び、振り付け、技術指導をすべてコーチが一人でしたが、10人ほどの生徒を抱えて、選手の体のケアまで目を配る余裕がなかった。
海外のコーチのもとへ
そんな経験のすべてが高橋に注がれた。2002年世界ジュニアを高橋が日本男子で初めて制すると、海外のコーチのもとへ一緒に武者修行に出かけた。自分のところで収まる器ではない。囲い込むのではなく、本場のコーチに預けて、より高いレベルにいけるようにと考えた。「歌子先生はこの人に任すと決めたら任す。そこがすごい」と高橋。
長光は「やみくもに頼むわけじゃないけど『餅（もち）は餅屋』よ」という。体が硬い、故障が怖いと思えばトレーナーに頼む。ジャンプについては「自分は４回転を跳んだことがないから」と、実際に跳んだことがあるソルトレークシティー五輪代表の本田武史を関大に呼び寄せた。「新しい採点ルールについていけない」と思えば、技術審判の岡崎真に声を掛け、みてもらう。「年上の男性が近くにいた方が（相談もしやすくて）いい」。変なプライドを振りかざさず、臨機応変な対応。結果的に長光は、観客の視点で客観的に高橋を見る機会を得た。
高橋がケガのリハビリ中、一度も病院を訪ねなかった。「続かんかも」との弱音も「はあ、そうな」と笑って聞き流した。本当に逃げ出した時は慌てたが、戻ってくる確信があった。敏感な高橋は言われなくても察知している。あれこれ構い過ぎない方がいい。「結果が出なくても怒られた記憶がないし、ノビノビやらせてもらってきた。先生は絶対（な存在）」（高橋）
３月の世界選手権で高橋が優勝。素晴らしいシーズンを終えてトリノから帰国する直前、長光はホテルの浴室で転倒し右腕を骨折した。「これで厄落としよ」。人生、塞翁（さいおう）が馬。ケガは新たな門出への祝福と思っている。
nikkei.com/sports/column/article/
2010.05.24男子こそ表現力 フィギュアコーチ・長光歌子（上）
「書かんといてほしいんやけど……」。昨年８月、そう断った上で、長光歌子（59）は語り始めた。ゆったりした関西なまり。「すべてはまったら、あの子が（五輪で）勝って当たり前やと思う。漠然とだけど、絶対表彰台に乗る」
五輪での４回転回避は一度も考えなかった
僕よりも“男前”
あの子とは、２月のバンクーバー五輪フィギュアスケートで銅メダルを獲得した高橋大輔（関大大学院）。このときの高橋はまだケガから復帰してショーで約１年ぶりに滑ったばかりだったが、長光はすでに確信しているかのようだった。
「思い込みがすごいんですよ。僕よりも“男前”で、ドーンとしている」と高橋。信じることは大きな力になる。五輪本番、４回転ジャンプを跳ぶのをやめてリスクを回避した方が金メダルに近づくのでは、との声が出たときも、「回避は一度も考えなかった。守りに入ると失敗する傾向があったし、まして跳ぶのは高橋大輔だぞって」と長光。「私は能天気だから、器が違うって言い続けてきた。やっとやってくれたわ」
２人の出会いは11年前。合宿先の仙台のリンクに、１人の少年が入ってきた。「先生の生徒でしょ」と言われ、「違うわ」と応えた。それが高橋だった。岡山から振り付けに来て「ワルソー・コンチェルト」に取り組んでいる。「中学２年には難しい曲や」と思っていたら、振付師が急用で帰ってしまった。
11年前、高橋の才能を確信
代打に立った長光は接してみて、うなった。「動きが柔らかい。体から曲が出てくる感じ」。３回転ジャンプはまだ２種類しか跳べなかったものの、見たことのないセンスがある。楽しくて凝った振り付けになったが、高橋はそれを１週間足らずで滑り切った。その姿に「この子は絶対、世界に出ていく」と感じた。ここから二人三脚が始まる。
長光には「男こそ、踊らないといけない」という信念がある。「バレエでもそうだけど、男の人の方が体力はすごい。だから表現に余裕がある」。トップレベルの男子はジャンプなどの技術力に大差はない、勝敗を分けるのは表現力。ずっと昔からそう思っていた。「男がチャラチャラ踊って、どないすんねん」と関係者に冷やかされても、信念は揺るがなかった。ケガの影響で技術点が安定しない高橋をバンクーバー五輪で救ったのは、その踊り。演技構成点の高さだった。
長光の構想では五輪の採点を待つ「キス＆クライ」に、ジャッジへのアピール力を持つ欧米人のコーチもいるはずだった。しかし、高橋が拒絶。ニコライ・モロゾフコーチを離れた後、金妍児（キム・ヨナ）のコーチ、ブライアン・オーサーに付くことを薦めたが、答えはＮＯ。五輪だけでも振付師のパスカーレ・カメレンゴに頼もうとしたが、それもかなわなかった。
「（長光コーチだけでいいと決めたのは）僕の直感。（今回の五輪で）歌子先生はすごいと再認識した」と高橋。そんなまな弟子を長光は「まだ子供だと思っていたら、最近ちょくちょく大人だなあ、と驚かされるのよね」。波長の合う２人によって、フィギュア日本男子初のメダルはもたらされた。
www.nikkei.com/sports/column/article/
2010.02.19【フィギュア】中学時代から続く師弟の絆 高橋大輔銅メダル
二人三脚で歩んだ「道」が銅メダルに結実した。バンクーバー五輪で１８日（日本時間１９日）、フィギュアスケートで日本男子初のメダルを獲得した高橋大輔（２３）＝関大大学院。１０年前から長光歌子コーチ（５８）と世界の舞台を戦ってきた。「親子のような関係」ではぐくんできたジャンプや世界一と称されるステップが、フェデリコ・フェリーニ監督が旅芸人の人生を描いた「道」の映画音楽に乗ってバンクーバーのリンクに舞った。
試合後、得点を待つ「キスアンドクライ」に座った高橋は、笑顔を見せながらも落ち着かない様子だった。左の長光コーチは、そんな高橋に優しい表情で声をかけ、背中をさする。２人を残して２位。笑顔が浮かんだ。
「２人はコーチと選手の関係以上。本当の親子のように見える」。２人をよく知るスケート仲間や友人らは、口をそろえる。
高橋は中学２年から長光コーチに師事してきた。仙台市の合宿で知り合い、ジャンプだけでなく、後に高橋の持ち味になるステップや踊りのセンスも磨いた。時には海外で共同生活をしながら、著名なコーチに２人で頭を下げ、指導してもらった。
高橋の“反抗”もあった。思春期には一日、口をきかないことも。関大進学後に長光コーチの自宅に下宿したときは、調子が上がらないと家を飛び出し、「やめたい」とつぶやいた。長光コーチは常に高橋を支え、スケートに集中できる環境を作ってやった。
「大学生になれば、それぞれの考えもある。一方的に指示するだけではなく、選手の意見を必ず聞く」という長光コーチ。その姿勢は、演技の選曲や衣装選びにまで及んだ。
高橋同様、平成２０年から長光コーチの下で指導を受ける関大３年のスケート部員、沢田亜紀さん（２１）は「長光コーチはどんなに悪い演技だったとしても、必ず良かったところを見つけて気持ちを前向きにしてくれる」と話す。
高橋が練習中に右足に大けがを負い、選手生命が揺らいだのは２０年１０月。半年ぶりにリンクに戻っても、すぐにジャンプの練習ができなかった。長光コーチは逆手に取り、ステップやスピンの練習を徹底させ、高橋の武器をより強化した。
ショートプログラム３位で迎えたフリーの演技。直前、長光コーチから一声かけられた高橋はリンクに飛び出した。４回転ジャンプは転倒したものの、磨きがかかったステップを世界に遺憾なく見せつけた。
沢田さんは「滑る前は少し緊張しているようだったが、転倒で吹っ切れたよう。銅メダルは２人でつかんだ結果」と、先輩と恩師の健闘をたたえた。
sankei.jp.msn.com/vancouver2010/news/100219/oai1002192153031-n2.htm
初回設定日：2010.02.19