米ペプシコにスナック菓子を供給するカルビーの真意
東洋経済オンライン 9月21日(金)20時12分配信
「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「じゃがビー」などで有名なカルビー。国内スナック菓子市場では、約5割のシェアを握る圧倒的なガリバーだ。
そのカルビーが米国食品大手のペプシコ(本社・ニューヨーク)と北米で本格的なタッグを組んだ。カルビーは9月20日、ペプシコとの業務提携を発表。米国オレゴン州で来春稼働する新工場で生産するポテトスナック「Jagabee」(日本名「じゃがビー」)を、ペプシコ傘下で菓子メーカーとして世界最大手である、フリトレー社のルートを通じて北米で販売する。
カルビーは2009年にペプシコと資本提携を交わしていたが、具体的に連携するのはこれが初めてとなる。北米における「Jagabee」の販売やマーケティング活動は、ペプシコグループに独占権を与える。
今回の提携は、カルビーにとって北米事業の大きな転換点となる。カルビーが20日に発表したニュースリリースには一言も触れられていないが、実は北米で販売する「Jagabee」には、当面「フリトレー」社の製品ブランドが冠される。つまり、カルビーはフリトレーにOEM(相手先ブランドによる生産)供給を開始するのである。
カルビーは1970年に北米へ進出。現在はカリフォルニア州の工場で「かっぱえびせん」と、さやえんどう系スナックの「Snapea Crisps(スナッピークリスプス)」を生産している。これには「カルビー」ブランドが冠され、カルビー独自のルートを通じて現地販売しているものの、カルビーの北米事業は12年3月期で売上高16億円とグループ全体のわずか1%にも満たない。
カルビーは2020年までに海外売上高比率の目標として30%を標榜。北米と中国はその重点地域で、19年3月期までに北米事業は売上高500億円を達成する計画を立てている。だが、40年以上をかけて培ってきた自社の販売ルートでは、この目標はあまりにも壮大だ。
そこで切り札としてカルビーが今回決断したのが、北米では自社ブランドへのこだわりを捨てるということだろう。フリトレーは北米のスナック菓子市場でトップシェアを持つ強力な販売網を持つ。「じゃがビー」はカルビーの最新ノウハウが詰まったスナック菓子だが、北米におけるカルビーブランドは弱い。そこで、カルビーは「Jagabee」の北米展開については、OEMメーカーに徹する代わりに、強いブランドを持つフリトレーのルートを活用して北米事業を一気に拡大できるかどうかの賭けに出た、と見ることもできる。
カルビーはフリトレーが主力とする「ポテトチップス」を除き、「Jagabee」以外のスナック菓子を北米で新たに現地生産する可能性もあるという。関係者によれば、今回の提携がペプシコ側から持ちかけられたのは今年春ごろ。半年近い交渉を経て下した大きな決断。カルビーの海外戦略の重要なカギを握っている。
(秦 卓弥 =東洋経済オンライン)
最終更新:9月21日(金)20時12分
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