記者のひとりごと:死を待つ犬たちの声 /東京
毎日新聞 2012年09月21日 地方版
4年前、千葉県富里市の県動物愛護センターで、死を待たねばならない犬たちと出合った。保護棟の中で動き回り、間断なくほえる姿は、懸命に生きたいと訴えているようで胸が締め付けられた。首輪をした犬が多かったことが、やるせなさを一層募らせた。
都によると、10年度に都内で殺処分された犬や猫などの動物は2585頭。08年度の5686頭、09年度の4281頭と比べ減ってきたとはいえ、ペットブームの陰で飼い主に見捨てられる動物は後を絶たない。保健所に「飼えなくなった」と泣きつく相談は、今も多数寄せられるという。
最近は、行政が動物愛護団体と連携して希望者に譲渡する機会を増やすなど、殺処分を避ける取り組みも進んでいる。8月には生後間もない子犬や子猫の販売を規制する改正動物愛護法も成立した。
今年も20日から、動物愛護週間が始まった。どうすれば人間の都合で殺されてしまう動物を減らせるか。その一歩として、死を待つ犬たちの鳴き声を、一人一人が想像してほしい。【柳澤一男】