風疹の大流行が止まらない。例年は春先から初夏にかけて感染が広がり、100〜300人程度の患者の報告例しかないが、今年はすでに1300人を超える勢いだ。特に人口が密集する都市部で突出。妊娠中の女性が感染すると胎児に深刻な影響が出るおそれがあり、自治体は対策を急ぐ。
「のどが痛くて、熱があるんです」。8月下旬、大阪市天王寺区の「上本町わたなべクリニック」を訪れた20代女性は苦しそうな表情を浮かべた。
40度近い高熱。血液検査で風疹との結果が出た。同クリニックでは今年2人目の患者だった。渡辺章範(たかのり)院長(38)は「大人の患者はこれまでほとんど無かったのに」と驚く。初期は風邪と似て、診断が難しい。若い人は呼吸困難などの重症になりやすいという。
風疹の流行は今年、4年前に国が全国調査を始めて以来、最大規模となっている。国立感染症研究所(東京)によると、患者の報告は8月下旬までの集計で、昨年1年間(374人)の4倍近い1333人。
地域別にみると、東京都305、大阪府273、兵庫県222、神奈川県121の順で、人口密集地での患者報告が多い。広島県9、岡山県5、四国4県で計5など徐々に周辺地域へも広がっている。