大相撲の元小結で、東十両１２枚目のグルジア出身、黒海（３１）＝本名・ツァグリア・メラブ・レバン、追手風部屋＝が秋場所（東京・両国国技館）１３日目の２１日、日本相撲協会に引退届を提出した。３日目の１１日から「右膝内側側副靱帯（じんたい）損傷」を理由に休場し、既に負け越しが決まり、来場所は幕下陥落が決定的となっていた。

　欧州出身初の関取だった黒海は今後、母国に戻り、相撲の普及を図るとともに政界進出も念頭にあるという。断髪式の時期は未定。

　師匠の追手風親方（元前頭・大翔山）は２０日に黒海から最終的に引退の意思を確認。取材に「本人に幕下に落ちて、もう一度、相撲を取る気力がなくなった。右膝、首、肩と故障が重なり、この３場所はけいこもできず、しこを踏む程度だった。ここまでよく頑張った」と話した。

　黒海は９９年にレスリングの欧州ジュニア選手権フリースタイルで優勝し、０１年夏場所に初土俵を踏んだ。突き押し相撲を持ち味に、０３年夏場所で欧州出身で初めて十両昇進を遂げた。０４年初場所で新入幕を果たし、０６年秋場所から２場所、小結を務めた。敢闘賞も２回受賞した。【新井隆一】