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スポーツ報知>コラム>城田憲子の「フィギュアの世界」

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日本のメダリストのコーチたち~山田満知子〈7〉

多くの選手からかわいがられている村上佳菜子(前列左から3番目)

 成長著しい村上佳菜子は、振付師などのコーチをはじめ様々な分野の方々がバックアップしている。身長も伸びて大人の風格も出てきているなか、山田コーチと二人三脚で歩んでいる。

 城田「今は山田先生の一番弟子として、佳菜子ちゃんが頑張ってきたけど、先生もずいぶん長い間、いい選手を育て続けてきたわよね」

 山田氏「おかげさまで絶えることなく、誰かしら表に出ていくね。うちは一から育っていく子がほとんどでしょ? 氷の上でヨチヨチ歩きの段階から作らなくちゃいけないから、本当にちょこちょこっと、ですけれど」

 城田「佳菜子ちゃんと言えば、去年、タラソワの所に振り付けに行かせた時は驚いたな」

 山田氏「そう、あのタラソワ。彼女がどんな考え方をして、どんな教え方をするのか、一度きちんと知ってみたかったんですよ。真央のコーチをしてた時、中京(大のリンク)によく見えていて、話はしたんだけれど。実際に習った佳菜子が言うには、『先生とよく似てるよ』と(笑)」

 城田「なるほど(笑)」

 山田氏「すごく家庭的なんだって。そう言えば真央の時も、浅田さん(母・匡子さん)がいつも言ってた。『タラソワ先生は山田先生とそっくり』って。でも浅田さんは、気に入った人のことは『先生にそっくり』って言うの。だからアメリカでラファエルに習ってた時も、『先生そっくり』って。私、いろいろな人に『そっくり』って言われるんだけど(笑)」

 城田「いい先生は、みんな山田先生にそっくり(笑)。佳菜子ちゃんは、今年もまた違う振り付けの先生の所にいったんでしょう?」

 山田氏「SPの振り付けが去年も習ったマリーナ(ズウェア氏)だけれど、フリーがパスカーレ(カメレンゴ氏)。オリンピックの年までに色々経験をさせたくてね、長光(歌子)先生や大ちゃん(高橋大輔)と話したんですよ。『カナをどこにやろう?』って。最初はパスカーレの奥さんのアンジェリカ(クリロワ氏)やシェイ・リーン(ボーン氏)を勧められたんですよ。シェイ・リーンならものすごく元気なプログラムを作るから、佳菜子ちゃんに合ってるんじゃないか、って。でも、ちょっと違う方向にも行きたいって話になって、今年はパスカーレに」

 城田「新しいフリー、すごくいいプログラムだっていうじゃない?」

 山田氏「タンゴなんですよ。タンゴでもバラード風のいい所を中心に、色々な曲を組んでくださって、良い感じに出来上がったんじゃないかな? 去年とはまた違う佳菜子が出来たかな、って思ってるの」

 城田「マリーナ先生とは、去年に続いて2年目」

 山田氏「デトロイト(米国)のリンクで振り付けをしてもらうんだけれど、そこに行けば、タニス(ベルビン氏)がフットワークも見てくれるしね。マリーナにタニス、さらにバレエの先生、顔の表情を教えてくれる先生…。彼女たちのレッスンをみんな受けられるんですよ。マリーナ先生には去年、佳菜子のことをだいぶ気に入ってもらえたみたい(笑)。『すごく可愛くて、すごく楽しいレッスンができた』って、言ってくださった。『カナコ、来年はこんな曲がいいわね!』なんて、ものすごく張り切って力を入れてくれてるの。パスカーレも張り切ってくれたし、すごく恵まれたよね」

 城田「カナちゃん、きっと教え甲斐があるのよ」

 山田氏「先生たちからは『カナコは教えてて楽しい』って。先生の動きの真似を『こうですか?』って佳菜子がやってみると、それがすごく面白いんだって。照れて動きが小さくなるタイプではないからね。先生の方も大笑いしながら、『もう1回やってごらん!』なんて感じで、いつも楽しく教えてもらうみたい」

 城田「先生の所は、日本の振り付けの先生にも色々習ってるんでしょう?」

 山田氏「そう。フラメンコのプログラムの時にはフラメンコの先生を呼んで、ずっと佳菜子についてもらったりね。去年は創作ダンスですごく有名な方で、シンクロの金子先生(正子コーチ)のお手伝いもされてる平山素子先生にも協力いただいて。去年の佳菜子のSPは、(樋口)美穂子先生の作ったものに平山先生がストーリーをつけてくださったんですよ。ただ手をあげてではなくて、ここはリンゴをもぎとるように、ここは犬が後ろからついてきて…そんな風に物語を足してくださった。そしたらすごくエネルギッシュなものになってね。平山先生も『先生、一緒に頑張りましょ」って言ってくださってるので、また今年も助けていただくと思う。さらにTETSU先生という、中京高校(現・中京大中京)の先輩でもある振付師さん。彼のダンスチームの公演を見に行って、すごくいいなと思って、そこから知り合いになったの。彼にも、今年の佳菜子のエキシビションナンバーを見ていただきました。黒いコートを着たプログラム、美穂子先生の作ったものに、TETSU先生から色々なアイディアを出していただいてね」

 城田「エキシビションナンバーも、競技用のも、今年のカナちゃんはいいのがそろえられた」

 山田氏「まあ、試合のプログラムは、これからジャンプを入れ始めたらどう変わってくるかが心配だけれど…。でも、とにかくいいプログラムを用意してもらえて、佳菜子はいい環境で進められている。だから頑張ってほしいなと思ってるんですけど。あれがまた、わがままでね! 本当にもう、困っちゃう(笑)」

 城田「山田先生が困るほど、わがまま言える子がいるんだ!」

 山田氏「佳菜子は末っ子だから、要領はいいんですよ。上のお姉ちゃんたちのようにドンくさいわけじゃない。でも要領がいい、では困る時もある。もうちょっとこう…真面目に頑張ってくれたらねえ(笑)。でも、悪い子ではないんですよ。トップに行こうという気構えが少し足りないかなあ、と」

 城田「ああ、そんな性格は、なんとなく分かるわね」

 山田氏「何がなんでもスケートで進んでいきたいとか、あそこまでいきたいんだ! っていう、そんな貪欲さが無いですね。無欲で純粋、といえば聞こえはいいけれど、ま、これからどうなっていくんでしょうね(笑)」 城田「カナちゃんは上にお姉さんがいるのよね? 妹だから、今はまだ甘えん坊な所があるんでしょう。少したてば、自立していくんじゃないかな」

 山田氏「みんなといても、いつでも妹みたいにしてるからね。大ちゃんだろうが、(安藤)美姫ちゃんだろうが(鈴木)明子ちゃんだろうが、みんなにかわいがってもらえる。美姫ちゃんには『チビ』って呼ばれてるけどね(笑)。織田君も小塚君も、なんだかんだと声を掛けてくれる。それは佳菜子のいい所かな。真央もそうなのよ。『カナおいでー』『カナ、ご飯食べに行こー』って、いつもカナカナカナ(笑)。試合の時も、佳菜子だけは真央の部屋に入れるんです。真央は佳菜子に対してはお姉ちゃんみたいな顔して、偉そうにしてる(笑)。そんなだからまあ、得な性分よね」

 城田「明るい性格だものね、カナちゃん。山田先生のおうちに泊まったりもしてるんでしょう?」

 山田氏「うん、時々。夏には毎年、私は孫たちと一緒にハワイか沖縄に行くんですけど、そこにも佳菜子は参加する(笑)。だからちょっと、親しくしすぎちゃってるのかもしれないな。先生と生徒の区別がつかなくなってる。それでちょっと、わがまま言ったりもしてね…」

 城田氏「山田先生の方が、かわいくてしょうがないんじゃないの?」

 山田氏「うん…。でもカナも、美穂子先生にはそこまでわがまま言わないのよ。うちのお弟子さん、ちっちゃい子たちはみんなそうだけれど、美穂子先生は怖いから、みんなが気を使う(笑)。ところが山田先生は違う風に見えるみたい。山田先生は怖くない、絶対大丈夫だから…ってみんなそんな感じなの(笑)」

 城田「山田先生、そんな甘い先生だったかな(笑)」

 山田氏「本当よ! 私の所に来るとニコーって笑うだけの子が、美穂子先生には『こんにちは!』ってしっかり挨拶したりして」

 城田「本当に? じゃあ、みどりちゃんの所は違うんだ。先生も、経験積んでるから?」

 山田氏「みどりの頃は、相手が自分の娘みたいなものだったから」

 城田「今はもう、選手たちのおばあちゃま?」

 山田氏「そうそう、本当にそんな感じですよ(笑)。今教えてる子どもたちは、孫みたいな年ですからね」

 城田「先生のお孫さんとカナちゃんが、同じくらいの年だものね」

 山田氏「で、選手のママたちがうちの娘とおなじくらい。かつてはママの方が年上で、私のことを色々言って、という時代もあったのよ(笑)。今やママたちも娘みたいなものだから、そりゃあ付き合い方も変わりますよ(笑)」

 城田「そう言えばそうなるのねえ…。でも孫みたいな年のカナちゃんも、今年、高校3年生?」

 山田氏「そう、背も伸びたでしょ。もう子供じゃなくて、お姉さんっぽい体型になった」

 城田「ショーで見た時かな。 え、誰だろう? って初めは思ったもの。あとであいさつに来てくれた時に、『ああ、カナちゃんだ』って」

 山田氏「今、161センチですって。伸び伸びやってるし何でも食べるから、背もどんどん伸びて。ダイエットのことは、以前の選手にはすごくうるさく言ってたけれど、今は私からは言わない。自分で少し気をつけてるみたい」

 城田「先生がうるさくない分、ちゃんと自分でケアするのね」

 山田氏「私と一緒に食べるとすごくたくさん食べちゃうから、『今日は先生とご飯行かない』って言うこともあるのよ。『家に帰って、自分で作って食べる』って」

 城田「先生はわがままって言うけれど、カナちゃんなりに頑張っているのよ。そんなカナちゃんとソチ、その次の平昌(ピョンチャン)五輪を目指していくわけでしょう?」

 山田氏「佳菜子の場合は…オリンピックは多分、ソチに出られたら、その次のオリンピックまではやらないと思う」

 城田「あんまり選手生活に、執着がない?」

 山田氏「たぶん始めっから、ない(笑)。実際にどうなるかは分からないけど、たぶんそうなるね。私と一緒で、どちらかといえば楽しく生きていきたいタイプだから、それほど、がっつかないと思うんですよ。そんな気持ちが(ソチの)次のオリンピックまでにどう影響するか、だよね。次まで、どのあたりを目標にしていくか…。色々考えてるところなんですよ」(つづく)

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(2012年9月13日17時12分  スポーツ報知)

著者略歴 城田 憲子(しろた・のりこ)

 1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。

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