教師のいじめ認識をめぐり、市教委幹部(手前)に質問する委員たち=大津市役所で
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昨年十月に大津市立皇子山(おうじやま)中の男子生徒が飛び降り自殺した事件をめぐり、当時から一部の教師がいじめを疑っていたが、校長が「いじめではない」と判断していた問題で、十九日開いた市議会教育厚生委員会では、「もう少し細かく調べる必要があったのでは。判断が甘すぎる」などと対応への批判が相次いだ。市教委は「細かい情報共有があれば、学校の判断も変わっていた可能性はある」と不備を認めた。
この問題では十八日、生徒が自殺した日に男性教師の一人が「いじめ行為ととらえ、指導する」との文書を藤本一夫校長に提出したが、藤本校長は「事実とは違う」とみなし、市教委にも報告しなかったことが明らかになった。
学校側が今月上旬、あらためて教師十三人に聞き取りし、うち三人が当時から「いじめの疑いを持つべきだ」と考えていたことも分かった。
こうした経緯について、委員からは「市教委へ報告が上がらなければ意味がない。教師からメッセージが出ているのに、校長で止める体質が間違っている」「七月の時点では、教師全員がいじめの認識がなかったと説明していた」などと非難が相次いだ。
市教委は「情報共有に課題があった。十分に検証し、市教委と学校の連絡を密にしたい」「七月時点での校長の認識が間違っていた」と弁解に終始。十八日まで情報が表に出なかったことに対し、「隠蔽(いんぺい)だと思われかねない。聞き取りした時点で市民に示すべきだった」とする委員の指摘に、市教委は「事実の確認作業ができていなかった」と釈明した。
委員会では、男子生徒の遺族が市や同級生らに損害賠償を求めた民事訴訟の資料提出についても説明があり、加害者とされる同級生側から市側へ、資料で個人情報など隠された部分を開示するように要請されたことを明かした。市教委は「開示については検討し、次回の訴訟期日に回答する」と説明した。
(滝田健司)
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