民主代表選:4氏立候補 野田氏の再選濃厚 21日投開票
2012年09月10日
民主党代表選の仕組み
民主党代表選は10日午前に告示され、21日の投開票に向けた選挙戦が始まった。再選を目指す野田佳彦首相(55)と、赤松広隆元農相(64)、原口一博元総務相(53)、鹿野道彦前農相(70)の4氏が立候補を届け出た。論戦では、消費増税を巡って党分裂を招いた首相の政権運営や、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加の是非などが争点となる見通しだ。ただ首相以外の3氏の支持に広がりはなく、首相再選は確実な情勢だ。
今回の代表選は菅直人前代表の任期満了に伴うもので、党員投票も行う代表選は菅氏と小沢一郎元代表が争った10年9月以来3回目。21日の臨時党大会で国会議員投票を行い、事前に郵便投票した地方議員票、党員・サポーター票とあわせて開票する。民主党は今年1月の党規約改正で代表任期を2年から3年に延長しており、新代表の任期満了は15年9月末となる。
首相の陣営には、岡田克也副総理、前原誠司政調会長ら政府・党執行部の中枢が集まり、野田グループや菅グループの多くが支持する。前原グループは自主投票だが、多くは首相支持に回る見通し。旧民社党グループも首相支持の構えだ。
赤松氏の陣営は赤松氏の政策グループや旧社会党グループが中心。原口氏は党内に残留する小沢グループ議員らを基盤に立候補した。鹿野氏は昨年に続き2回目の立候補。
首相は10日午前、官邸に入った際、記者団から意気込みを問われたが無言だった。
首相以外の3氏は70人以上の離党者を出した首相の党運営をそろって批判。赤松氏は東京都内で記者団に「民主党の原点を立て直す。71人の離党者を出して党は分裂状態で、溶けてなくなるんじゃないかという危機感がある」と語った。
原口氏は国会内で記者会見し、「代表選は、政治への信頼を失わせてしまった(政権の)総括と謝罪のためのものだ。党が分裂した責任から(首相は)代表としての責任は逃れられない。増税の前にやるべきことをやる行革遂行政権を作る」と述べた。
鹿野氏は国会内の記者会見で「立候補を決意した」と正式に出馬表明し、「民主党は3年間を反省せねばならない。70名以上の同志が党を離れ、大きな傷を残した責任を明確にすることが大切だ」と話した。
内閣支持率が低迷する首相に対し、「選挙の顔」を求める党内の不満は根強いが、国民の生活が第一を結党した小沢氏の離党で「反野田」勢力の核は消滅した。首相は再選されれば、内閣改造・党役員人事を行う方針だ。【田中成之】