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診療報酬不正で指定取り消しに
9月21日 17時49分

茨城県阿見町にある東京医科大学茨城医療センターが、8200万円余りの診療報酬を不正に得ていたとして、厚生労働省の関東信越厚生局は保険医療機関の指定を取り消すことを決めました。大学病院が保険医療機関の指定を取り消されるのは異例で、医療費は全額、患者の自己負担となります。

関東信越厚生局によりますと、茨城県阿見町にある東京医科大学茨城医療センターは、平成20年4月から平成21年5月までの間、受け取る診療報酬の額が実際よりも多くなるよう、退院したり転院させたりした患者のデータを水増しする手口などで、診療報酬を不正に請求していたということです。
これまでの監査で、不正に得た診療報酬は3万件余り、総額で8284万円に上るということで、関東信越厚生局は保険医療機関の指定を取り消すことを決め、21日に発表しました。
指定が取り消されると、健康保険を使って診療が受けられなくなり、医療費が全額、患者の自己負担となります。関東信越厚生局は、患者の混乱を少なくするため、ことし12月1日から指定を取り消すことにしています。
東京医科大学茨城医療センターは、ベッド数が500余りで27の診療科があり、2次救急の指定病院となっているほか、がんの診療でも県の連携拠点病院に位置づけられるなど、茨城県南部沿岸の地域医療の中核的な病院の一つです。
厚生労働省によりますと、大学病院が保険医療機関の指定を取り消されるのは極めて異例だということです。

“影響大きく厳しい”

東京医大茨城医療センターがある阿見町の天田富司男町長は「メールで問い合わせが来るなど、町民が不安を募らせています。この病院には地域医療の相当部分を担ってもらっているので影響が大きく、このままでは地域医療が非常に厳しい状態です」と話し、茨城県や近隣の市町村と今後の対応を協議したいとしています。

“信頼を裏切り申し訳ない”

東京医科大学茨城医療センターの松崎靖司病院長は茨城県庁で会見し、「患者や関係者の信頼を裏切り、申し訳ありません」と述べて謝罪しました。
不正請求については「病院が赤字だったことに加え、法律を守ろうという意識に欠け、チェック体制にも不備があった」と述べました。
医療センターでは、入院や外来の患者に保険医療機関の指定が取り消されることを知らせ、問い合わせの窓口を設けることにしていますが、指定が取り消される、ことし12月以降の対応については「地域医療を維持するため、県などと相談しながら検討したい」と述べるにとどまり、入院患者を転院させる具体策などには触れませんでした。

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