尖閣:常時巡察で実効支配の無力化図る中国

 日本政府による尖閣諸島(中国名:釣魚島)国有化措置に対抗し、中国が周辺海域に監視船を常時配備することで事実上、日本の実効支配を無力化している。中国が派遣した16隻の監視船が尖閣周辺海域にとどまり、中国漁船に対する立ち入り検査まで行っている、と読売新聞が20日付で報じた。

 20日午前10時50分ごろ、久場島の北北西43キロの海域で、中国の漁業監視船「漁政204」の乗組員3人がゴムボートで中国漁船に乗り移り、船舶検査活動を行う様子が目撃された。読売新聞は、こうした活動について「同水域内の漁業管轄権は日本側にあることから、海上保安庁では同諸島の領有権を主張する中国側のパフォーマンスとみている」と報じた。また、朝日新聞は「中国農業省漁政局の高官は19日、朝日新聞の取材に対し、中国政府が監視船を尖閣周辺にさらに増派して『常時巡航』させる方針を決めたことを明らかにした」と報じた。

 中国の監視船は今月18日以降、尖閣周辺にとどまり続け、日本の領海に随時出入りしている。しかし海上保安庁の巡視船は、無線で領海から出るよう警告するだけにとどめている。中国の監視船の侵入を積極的に制止すると、武力衝突が発生する可能性があると懸念しているからだ。

 1972年の日中国交正常化交渉で尖閣諸島の領有権が問題になったが、無人島状態で「現状維持」すると両国が合意した。78年、当時のトウ小平・国務院常務副総理が日中平和友好条約締結のため日本を訪れ、記者会見で「次の世代は、きっとわれわれよりは賢くなるだろう。そのときは必ずや、お互いに皆が受け入れられる(尖閣問題の)良い方法を見つけることができるだろう」と語った。

 中国は2000年以降、尖閣諸島の領有権を本格的に主張し始め、最近の日本政府による国有化措置を理由として、待ち構えていたかのように攻勢を強化している。日本政府が先に合意を破っていることから、実効支配をもはや認めることはできないというわけだ。

 中国が波状的に監視船や漁船を尖閣に送っても、日本は手をこまねいているばかりだ。領海であっても、自国に対する威嚇や犯罪行為に及ばない限りは通航を許容しなければならない「無害通航権」が認定される。もし海上保安庁の巡視船が中国の監視船の航行を妨害したり拿捕(だほ)したりしようとしたら、武力衝突につながりかねない。また、尖閣諸島の領海(幅12カイリ)の外側は日中共同の漁業区域で、中国漁船の操業も認められている。中国漁船が領海を侵犯して操業する場合、海上保安庁の巡視船は中国漁船を拿捕できるが、中国の漁船と監視船が一度に押し寄せて妨害するケースに対しては、さしたる対策はない。日本では、後の世代に任せることとした「領土問題」というパンドラの箱を、野田首相が何の戦略もないまま開けてしまい、尖閣諸島の実効支配が事実上無力化したという批判も出ている。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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