性犯罪:量刑基準の引き上げ相次ぐ

08年の女児性的暴行事件を機に、量刑基準を3回強化

 女性の人格を破壊する性犯罪者に対し、裁判所の処罰はますます強化される傾向にある。

 大法院(最高裁に相当)は、2009年に初めて量刑基準を制定して以来、今年1月までの間に3回にわたって性犯罪関連の量刑基準を引き上げた。これには、チョ・ドゥスン事件(08年に起こった女子児童に対する性的暴行事件)、トガニ事件(光州インファ学校で起こった障害者に対する性的暴行事件)などで、性犯罪者に対する裁判所の「手ぬるい判決」が社会問題化したことが影響した。修正後の量刑基準では「酒に酔っていて正気ではなかった」ことを理由に減刑する、いわゆる「酒酔い減刑」がなくなった。

 水原地裁驪州支部は20日、4歳女児に対する強制わいせつ事件で、被告に対し量刑基準の最高刑に当たる懲役15年を言い渡した。この判決も、性犯罪を厳罰化するという裁判所の雰囲気を反映したものだ。

 性暴行犯に10年以上の実刑を言い渡すケースは、今月に入って数件あった。

 今月7日に昌原地裁は、2009年5月から昨年末にかけて、夜道を歩いていた10-20代の女性5人に対し強制わいせつや性的暴行に及んだ罪で起訴されていたヤン被告(56)に対し、懲役13年の刑を言い渡すとともに、個人情報の公開と電子足輪の装着を命じた。裁判は当時「ヤン被告を社会から長期間隔離する必要がある」と指摘した。今月9日にはソウル中央地裁が、20代の女性を拉致して性的暴行を加えたとして起訴されたホ被告(26)に対し、懲役13年の刑を言い渡し「拉致され恐怖で震えていたであろう被害者に性的暴行を加え、羞恥の念や屈辱感を与えた行為は、いかなる場合でも容赦し得ない」と説明した。また、ソウル北部地裁は今月12日、未成年の実の娘に性的暴行を加えた凶悪な父親に対し、懲役15年の刑を言い渡した。児童(13歳未満)に対する性的暴行は、傷害を伴わない単純なケースであっても、量刑基準は懲役8-12年を基本として最大15年まで適用される。

 成人に対する性犯罪も同様に、以前より処罰が強化されている。釜山地裁は今月10日、20代の女性に性的暴行を加え、金を奪ったキム被告(30)に対し、懲役9年の刑を言い渡した。キム被告は、捜査機関に自首していたが、判決は「罪状は重く、被害者の精神的衝撃を考慮して厳罰とする」と厳しく指摘した。

 裁判所の関係者は「ここ数年、むごい性犯罪が頻発しているため、法改正による法定刑の引き上げが続いている。裁判所の量刑も、その影響を受けざるを得ない」と語った。

李美智(イ・ミジ)記者
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