ドイツ鉄道見本市で中国メーカーがパンフ写真に新幹線を無断使用
ドイツで開かれている鉄道の見本市「イノトランス 2012」に出展している中国メーカーのパンフレットに、ロゴを加工した日本の新幹線の写真が使われていることがわかった。
まさかの中国的商法に、日本の鉄道関係者からも怒りの声が聞かれた。
ドイツ・ベルリンで開催中の鉄道分野の国際見本市には、新たなビジネスチャンスを求め、世界49カ国、2,000を超える企業が参加し、最新製品や最先端技術などが紹介されている。
この見本市に、中国国内向けに製造している高速鉄道の車両を世界に売り込むべく出展していたのが、中国の大手車両製造メーカー「中国北車」だった。
しかし、ブースに置いてあった、研究所で行われている安全対策への取り組みなどを紹介するパンフレットに、目を疑う写真があった。
パンフレットの「ディーゼル機関車委員会の事務局が世界標準」などと書かれたページに使用されていたのは、ディーゼル機関車ではなく、日本の新幹線にそっくりの写真だった。
さらに、中国北車の「CNR」というロゴも、あとから画像処理をして貼りつけたような不自然さが見られた。
そして「中国北車には、さまざまな鉄道試験施設がある」と題されたページに使われている写真には、近くをなぜかJRの車両が通る姿も写っている。
中国版新幹線ともデザインが異なるこの車両だが、日本の新幹線の画像を勝手に使用し、自社製品のように捏造(ねつぞう)したのか。
担当者に話を聞いた。
中国北車の広報担当者は「(このパンフレットの写真は?)誤りです」と話した。
新幹線など鉄道にくわしい専門家に写真を見てもらったところ、写真は日本の新幹線で間違いないという。
鉄道ジャーナリストの梅原 淳氏は「これは、今でも東海道・山陽新幹線の『ひかり』、『こだま』で走っている700系ですし、こちらはことしの3月に引退した300系ですね。これは車両を、日本の東京の車両基地で写したもの、写真ですね。こちらも、これも日本の新幹線でして、右側を走っているのは、東海道・山陽新幹線の車両。こちらは、JR東日本の横須賀線を走っている電車ですね」と話した。
国際見本市で発覚した、中国企業によるあきれた写真の捏造商法に、同じ見本市に出展している日本鉄道車両輸出組合の井上邦夫専務理事は「こういうことは、本当にあってはならないことだと思いますし、どうしてね、こういうことをするのか、全く理解に苦しむという感じです。一般論として、しかるべき対応が必要なのかなという気はします」と話した。
写真を無断使用されたJR東海は「当社から中国北車への写真提供、技術供与の事実はございません。新幹線は当社をはじめとする、日本独自の技術であります」とコメントしている。